(3) 出会い
広人は学習面などに差支えがないように、入院の予定を夏休みの間と決めた。
そして八月・・・。
四月に検査しに来た以来の病院を目の前にし、大きなため息をついた。
(小児科ねぇ・・・)
もう一度言うが、広人は”高校生”である。
なかなか進まなかった足をやっとの思いで動かすと、小児病棟を探した。
「西5階か・・・」
エレベーターで5階まで行き、ナースステーションの前まで行った。
「あのぉ・・・、今日からここで入院してくれといわれたんですケド・・・」
奥から、いかにも主治医っぽい人が出てきた。
「柏原広人君だね。僕は君の主治医の高橋です」
「よろしく・・お願いします」
その後、手続きを済ませた広人は、主治医の高橋先生に案内され自分の寝床(病室)へと入った。
(うっわ〜・・・。予想通りっていうか、以上だな・・・こりゃ)
病室には、餓鬼 ガキ がき・・・まさにちびっこのオンパレードだった。
「まぁ、高校生の君にとっては多少過ごしにくいだろうけど、病気を治すためだから」
「はぁ・・・」
その時、後ろから女の子の声が聞こえた。
「先生〜、やっぱここの売店しけてるよ・・・。何もない」
声に振り向くと、そこには広人と同じくらいの年の女の子が立っていた。
パジャマにスリッパ、右手に財布、そして今の言葉からしてこの病棟の患者のようだ。
「僕にはどうしようもないからなぁハハハ」
「すごく退屈なんだけどぉ」
「それも今日で終わりかもしれないよ?」
「何で?」
先生が僕を見ながら、
「今日から同じ病棟に入る柏原君。君と同じ高校生だ」
「マジっすか!」
その子につられて、
「マジです」と言ってしまった。
「先生、私この人に病院案内してきていいかな?」
「ああ、いいよ」
その子は僕の顔を直視した後、かわいい笑顔を見せた。
「私、安藤古世。よろしくねvv」
これが、広人と古世の出会い・・・。
いたって普通である。