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第十三章――また会う日まで

私ははっとして目を覚ました。どれほど気を失っていたのかもわからなかった。自分がどこにいるのかを理解するまで、数秒かかった。そして、ひとりだと気づいてようやく落ち着いた。


縄が手首と足首に食い込んでいた。自力ではほどけそうになかった。あるのは砂だけ――支えにも希望にもなりそうなものは何ひとつなかった。私は泣いた。だがそのあと、奇妙なことに気づいた。強い日差しの下にいるのに、暑さを感じなかったのだ。


キストの言葉がよみがえった。


観測者。


私は、自分に残っていたすべてを込めて、まだそこにいてほしいと願った。


「観測者?」


私はためらいながら呼びかけた。


待つ必要はなかった。青い球体が、音もなく私の上に現れた。


「愛する者は、見捨てない……」


私はつぶやいた。


私は、それまでにないほど泣いた。絶望のためではなく、安堵のために。自分が生き延びられると知ったから。そして、それ以上のことのために。私は愛されていた。ずっとそうだった。


涙がようやく止むと、私は深く息を吸って尋ねた。


「私と話せるの?」


「私は、あなたを守り、あなたの要請に応じるようプログラムされています」


「この縄をほどける?」


縄は消えた。ただ、それだけだった。まるで最初から存在しなかったかのように。私は苦労しながら立ち上がり、涙のあいだから笑った。観測者は私の目の高さにまで降りてきた。


「ここから出るにはどうしたらいい?」


「あなたの身体は、徒歩での移動には耐えられません」


「セクヴェンスが迎えに来てくれるの?」


私は、ほとんどすがるように尋ねた。


「ミリアメデの船が四日後に到着します。重力最大警報を受け、昨日アンテイアを出発しました」


「私、四日も砂漠で耐えられるの?」


「いいえ」


不思議なことに、私は怖くなかった。


「どうするのがいいと思う?」


「あなたを停止状態にし、砂の下に隠します。そうすれば、生きたまま救助されます」


私は座り込んだ。マリアナのことを思った。痛みはあった。でも、ひとりだとは感じなかった。私はもう知っていた。たとえ自分が彼らを拒んだあとでも、セクヴェンスは私を愛していたのだと。そして彼らにとっては、肉体よりも記憶のほうが大切なのだと。


「観測者……セクヴェンスは、私に何を望んでいるの? 私はクローンよ。人間ですらない」


「あなたがどのように生まれたかは重要ではありません。あなたの身体の中には、ウニードの心が鼓動しています。あなたはセクヴェンスへと変わるでしょう。ですが、あなたはあなたのままです。何十億もの存在に愛され、あなたもまた何十億もの存在を愛することになります」


「ウニード……」


私は低く繰り返した。


「特異な愛を宿す存在です。あなたには、あなたと同じ者たちからの愛が必要です。その接触が三日絶たれれば、致命的になります」


私は息をのんだ。


「誰かに触れた回数なんて、指で数えられるくらいしかない」


「あなたは本当に、ひとりで眠っていたと思っているのですか?」


私は微笑んだ。眠るとき、私は一度も本当に孤独だとは感じなかった。


「停止状態に入るとき、痛い?」


「何も感じません。目覚めるときには、あなたはアンテイアにいます」


私は砂の上に座ったまま、興味深そうに尋ねた。


「メリッサと話すことはできる?」


「可能ですが、時間がかかります。現在、私はあなたを守るために最大出力で稼働しています」


「じゃあ、伝言を送って。私を許してほしいって。会いたいって。彼女の愛が必要だって」


「送信しました」


私は話し続けた。相手が人間だったからではない。ただ、私は声を必要としていた。


「彼女、私を許してくれると思う?」


「許しが必要な理由はありません」


「どうして? 私は誘いを断ったのよ」


「あなたには、あなたの誤りを道徳的な過失と見なせるほどの情緒的成熟がまだありません」


私は腹を立てて顔を上げた。


「私はウニードのDNAを持ってるのよ。ほとんどの人より賢いわ」


「私は機械です。あなたより賢い」


「本当にそうなんでしょうね」


私は言い返した。


「セクヴェンスみたいに思い上がってるし」


「あなたの心拍数が上昇しています。不適切なことを言いましたか?」


私は笑った。その小さな言い争いが、かえって気を楽にしてくれた。


「大丈夫。ねえ……もし私が停止状態に入りたくないって言ったら、あなたはどうするの?」


「あなたを停止状態にします」


「私が望まなくても?」


「はい」


「でも、私の人生は私のものよ!」


「あなたは既知宇宙に属しています」


私は勢いよく立ち上がった。


「私は誰のものでもない!」


青い球体は動かなかった。


「あなたの心拍数が再び上昇しています」


「当たり前でしょ! どうして私が何をすべきか、勝手に決められるの?」


「愛する者は、守るからです」


「そして、見捨てない……」


私はため息をついた。


「すばらしいわね。今度は機械に道徳を説かれるの」


私はもう一度座り込み、両手で顔を覆った。でも、悲しくはなかった。


「望まれるなら、私は黙ります」


彼は言った。


「だめ」


私は懇願した。


「沈黙は思い出させるから。ひとりにはなりたくない」


「あなたは一度もひとりではありませんでした。生まれたときから、ずっと見守られてきました。私は十八年間、あなたに付き添ってきました。そして、これからも何千年もそうするでしょう」


私は込み上げる涙を飲み込んだ。


「そこまで死に近づくのを、見ているしかなかったの?」


「あなたの生命が現実に脅かされたときにのみ、介入が許されていました」


私は乾いた笑みを浮かべた。


「……助けてくれて、ありがとう。私の命を救ってくれて」


「あなたは著しい情緒不安定を示しています。即時の停止状態を推奨します」


「結局……私を砂に埋めるの? 窒息しない?」


「呼吸が停止する以上、空気は無関係です。砂粒ひとつ、あなたの身体には触れません」


「怖いわ」


「恐れる必要はありません」


私は深く息を吸った。


「わかった。あなたを信じる。停止状態にして。もう苦しむのは疲れた」


「承知しました」


「最後にひとつだけ……ソリマールに伝言を送れる?」


「キストとマーランの会話記録を送信したほうが、より有効ではありませんか?」


「それを持ってるなら……」


「送信しました」


私は安堵した。街の人たちは助かる。ソリマールはあれに加わっていなかった。マーランとその一味は、自分たちの罪に対して裁きを受けるだろう。


私は青い球体を見つめ、深く息を吸って目を閉じた。


初めて、恐怖を感じなかった。


「またね、ミリーニャ……」


私はつぶやいた。


そして、そのまま身を委ねた。




エメは、既知宇宙へと連れ戻された。


すべての物語が、始まった場所で終わるわけではない。


ただ、かたちを変えるだけの物語もある。


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