第十二章――私が死んだ日
砂漠の静寂の中で、私ははっきりと車両の音を聞いた。理屈より先に、理解が来た。
「まさか……」
私はささやいた。
「そんなこと、してないよね」
私はマリアナのほうを振り向いた。
「私を裏切ったの? 通信機を使ったの?」
「マーランは、私たちが全部誤解してるって言ったの!」
彼女は取り乱して答えた。
「彼は……」
私は最後まで言わせなかった。
私は反対方向へ走った。そして、キストがひとりで車から降りるのを見た。衝撃で体が動かなくなった。マリアナは彼のもとへ駆け寄った。
彼女は彼を抱きしめた。
数秒のあいだ、二人はそのままだった。次の瞬間、キストは乱暴に彼女を地面へ叩きつけた。マリアナはうつ伏せに倒れた。キストは彼女の脚の上にまたがった。私は叫び声を聞いた――短く、途中で途切れた。続く動きは、あまりにも速く、私の頭が受け入れることを拒んだ。
彼女はそこで死んだ。
私はその場に立ち尽くしたまま、何ひとつできなかった。キストは立ち上がり、こちらへ歩いてきた。
私はあてもなく走った。吐いた。叫びたかった。でも、誰もいなかった。つまずき、鋭い石で脚を切った。痛みは感じなかった。砂丘のほうへ走った。無駄だとわかっていたのに。
彼は車を使わなかった。
走ってきた。
足元の砂が沈み込む。その数秒後、衝撃を受けて私は地面に叩きつけられた。倒れた瞬間、私は叫んだ。彼は私の脚の上にまたがり、両腕を押さえつけて動けなくした。
「もったいない」
彼は軽蔑を込めて言った。
「こんなにきれいな娘なのに」
「お願い……」
私は望みもないまま懇願した。
刃はためらいなく振り下ろされた。私はミリーニャを思った。メリッサに、妖精に、セクヴェンスに赦しを乞うた。自分のためではなかった。ただ、心を閉ざしてしまったことを。
刃が胸に突き立てられた。
圧力は感じた。痛みはなかった。
私は死を待った。
目を開けた。キストはまだ私を見下ろしていた。彼は刃を引き抜いた。私は自分の体を見た。
血はなかった。
傷もなかった。
私たちは、同じだけ困惑したまま見つめ合った。
彼はもう一度襲ってきた。さらにもう一度。どの一撃も、私には届かなかった。
「何が起きている……?」
彼はつぶやいた。
私の恐怖は、完全な絶望へ変わった。私は叫んだ。泣いた。彼が石を持ち上げたとき、私は息を止めた。
衝撃が来た。
何も起こらなかった。
キストは歯を食いしばった。
「最初から気づくべきだった」
彼は怒りに息を荒げていた。
「観測者がいる。力場だ」
彼は私の上に身をかがめた。
「そこまで守られているなら……殺す方法はひとつしかない」
私は車まで引きずられていった。体が砂の上に跡を残した。途中で、マリアナが見えた。血。開いたままの目。私は泣かなかった。ただ、すべてが終わってほしかった。
車の中で、彼は私の手足を縛った。
私たちは、さらに遠い砂丘へ向かった。
私は空っぽの状態に入っていた。まるで自分がそこにいないようだった。最後に残っていたのは、ミリーニャの姿だけだった。ひとつの仕草。ひとつの笑顔。私が知った、唯一の本物の愛。
車が止まった。私は砂の上へ投げ出された。
「こういうものが、何日もおまえを生かしてみろ」
彼は足で私を突きながら言った。
「助けを呼ばれたところで、地球にいちばん近い惑星でも七日はかかる」
私は砂丘のふもとまで転がった。
そして、意識を失った。




