表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

第十二章――私が死んだ日

砂漠の静寂の中で、私ははっきりと車両の音を聞いた。理屈より先に、理解が来た。


「まさか……」


私はささやいた。


「そんなこと、してないよね」


私はマリアナのほうを振り向いた。


「私を裏切ったの? 通信機を使ったの?」


「マーランは、私たちが全部誤解してるって言ったの!」


彼女は取り乱して答えた。


「彼は……」


私は最後まで言わせなかった。


私は反対方向へ走った。そして、キストがひとりで車から降りるのを見た。衝撃で体が動かなくなった。マリアナは彼のもとへ駆け寄った。


彼女は彼を抱きしめた。


数秒のあいだ、二人はそのままだった。次の瞬間、キストは乱暴に彼女を地面へ叩きつけた。マリアナはうつ伏せに倒れた。キストは彼女の脚の上にまたがった。私は叫び声を聞いた――短く、途中で途切れた。続く動きは、あまりにも速く、私の頭が受け入れることを拒んだ。


彼女はそこで死んだ。


私はその場に立ち尽くしたまま、何ひとつできなかった。キストは立ち上がり、こちらへ歩いてきた。


私はあてもなく走った。吐いた。叫びたかった。でも、誰もいなかった。つまずき、鋭い石で脚を切った。痛みは感じなかった。砂丘のほうへ走った。無駄だとわかっていたのに。


彼は車を使わなかった。


走ってきた。


足元の砂が沈み込む。その数秒後、衝撃を受けて私は地面に叩きつけられた。倒れた瞬間、私は叫んだ。彼は私の脚の上にまたがり、両腕を押さえつけて動けなくした。


「もったいない」


彼は軽蔑を込めて言った。


「こんなにきれいな娘なのに」


「お願い……」


私は望みもないまま懇願した。


刃はためらいなく振り下ろされた。私はミリーニャを思った。メリッサに、妖精に、セクヴェンスに赦しを乞うた。自分のためではなかった。ただ、心を閉ざしてしまったことを。


刃が胸に突き立てられた。


圧力は感じた。痛みはなかった。


私は死を待った。


目を開けた。キストはまだ私を見下ろしていた。彼は刃を引き抜いた。私は自分の体を見た。


血はなかった。


傷もなかった。


私たちは、同じだけ困惑したまま見つめ合った。


彼はもう一度襲ってきた。さらにもう一度。どの一撃も、私には届かなかった。


「何が起きている……?」


彼はつぶやいた。


私の恐怖は、完全な絶望へ変わった。私は叫んだ。泣いた。彼が石を持ち上げたとき、私は息を止めた。


衝撃が来た。


何も起こらなかった。


キストは歯を食いしばった。


「最初から気づくべきだった」


彼は怒りに息を荒げていた。


「観測者がいる。力場だ」


彼は私の上に身をかがめた。


「そこまで守られているなら……殺す方法はひとつしかない」


私は車まで引きずられていった。体が砂の上に跡を残した。途中で、マリアナが見えた。血。開いたままの目。私は泣かなかった。ただ、すべてが終わってほしかった。


車の中で、彼は私の手足を縛った。


私たちは、さらに遠い砂丘へ向かった。


私は空っぽの状態に入っていた。まるで自分がそこにいないようだった。最後に残っていたのは、ミリーニャの姿だけだった。ひとつの仕草。ひとつの笑顔。私が知った、唯一の本物の愛。


車が止まった。私は砂の上へ投げ出された。


「こういうものが、何日もおまえを生かしてみろ」


彼は足で私を突きながら言った。


「助けを呼ばれたところで、地球にいちばん近い惑星でも七日はかかる」


私は砂丘のふもとまで転がった。


そして、意識を失った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ