02.プロローグ2
「これは所謂チートとかスキルとか加護でしょうか。」
「その通りです。最初にお伝えしましたように、この度の転生は文明の発展を促すことを目的としておりますので
あなたの世界の情報をいつでも参照できる【検索スキル】を、それと燃費は悪く使い勝手は悪いですが【創造魔法】を与えます。
【異世界言語スキル】もご用意しましょうか?」
光の玉は実に事務的に説明する。まるでゲームの初期ボーナスを配るNPCのようだ。
「いえ、言動や行動であまりボロを出したくないのでそのスキルは無しでお願いします。」
「承知いたしました。では、その他のご希望のスキルがありましたらご希望にお答えいたしますので、まずは列挙してみましょうか。
出し終えたらそのうち5つを先程の2つと合わせてあなたが転生する際に祝福として付与いたします。
もちろん隠蔽させていただきますので、他人から鑑定されても確認できないようになります。」
欲しいスキルか・・・。
「あの、僕は釣りが大好きなのですが、付与していただける【創造魔法】で釣り道具だけ
燃費を良くしていただくことは可能でしょうか。その分他の燃費が悪くなっても構わないので。」
「可能ですよ。その程度の要望でしたら燃費の心配は問題ございません。
釣りに関するスキルをお考えなのでしょうか。」
「あくまで趣味ですので自分の腕を磨いて上手くなりたいです。
ズルして釣りあげる魚には価値はないですから!」
スキルについて考えてみる。定番は転移魔法やアイテムボックスだが・・・。
「転移魔法とかアイテムボックスは人に見られるのは良くなくてこそこそ使うのがお決まりですよね。
便利だけど便利じゃなさそうで。」
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そして長い時間考えた。どれくらい吟味しただろう。
時間の感覚が曖昧になるほど、頭の中で何度も取捨選択を繰り返した。
便利すぎる能力は目立つ。しかし弱すぎれば、生き残れない。
ここまでに候補にあがったのは【分裂思考】【魔力貯蔵】【状態異常耐性】【礼儀作法スキル】【鑑定スキル】【剣術スキル】【演奏スキル】【美術スキル】だ。
貴族の人間として恥ずかしい存在にならないように、そして何かあった時に能無しにならないように芸術関係のスキルも挙げてみた。
教養を養うために費やす予定だった時間をスキルで補って、空いた時間で身体能力と魔法の向上に充てようという考えだ。
「寧斗様のおっしゃった【魔力貯蔵】はどのようなものをお考えですか?」
「魔力量が多い人って感情的になってしまうと暴走してしまうとかも定番じゃないですか。
ですから、魔力量は普通で、外部リソースとして日常の過剰回復分を貯蓄できるようになれば
他人に魔力を感知されたり鑑定されたとしても怪しまれずに済むと思いました。」
「なるほど、ではそのように手配いたします。
候補の中の【演奏スキル】と【美術スキル】は【礼儀作法スキル】に統合しましょう。
それと【剣術スキル】は候補から外していただいて構いません。剣術と魔法は実力を伸ばしやすいように
『器』を調整させていただきますので。」
高個体値的な・・・?
ゲームのステータスを思い浮かべて、思わずそんな感想が頭をよぎる。となると、残ったのは・・・
「候補が【分裂思考】【魔力貯蔵】【精神異常耐性】【礼儀作法スキル】【鑑定スキル】に絞られましたね。
他にご希望はございませんか?」
「十分です。ここまで自分の要望が通る異世界転生があるなんて思いもしませんでした。」
むしろ、ここまで自由に選ばせてもらえるとは思わなかった。
「ふふふ。では、ご希望の内容にて転生を行います。最期にお話ししたいことはございますか。」
「質問なのですが、前世の記憶についてはどうなるでしょうか。僕個人の希望としては
最初から記憶を持った状態にしてほしいです。」
「失念しておりました。ご希望通りにいたします。他にはございますか?」
「・・・ないです。後悔は沢山ありますが、前向きに『次』に活かしてみます。
まぁ、これまでの人生は働きすぎと考えすぎだったと思うので、『次』はもっと楽観的になろうと思います。
僕を選んでくれてありがとう。期待に沿えるかわかりませんが、頑張ってみます!」
言い終えたとき、不思議と胸が軽くなっていた。
やり残したことは山ほどある。でも、それを悔やんでばかりいても仕方がない。
次があるのなら。今度こそ、赴くままに自由に生きてみたい。
「ではこれよりあなたを転生させます。そうそう、【鑑定スキル】ですが通常のスキルよりも強力な【看破スキル】を祝福として授けます。
それと、あなたが使用する魔法に関して、あなたの生前の職業に合わせて少しだけ細工しておきました。
詳しくは魔法が上達してからのお楽しみということで、色々試してみてください。」
「それってどういう・・・」
僕が聞き返す前に、視界がブラックアウトした。
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僕が再び目を開けて映った光景。それは・・・
今にも号泣しそうな顔で僕の顔を覗き込む、4人の男女であった。




