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閻魔帳  作者: こたつぬま
3/7

閻魔帳入手

再現ドラマ注意事項

・えんまちゃんの本名はえんまちゃんじゃありません。芸名です

・登場する人物名はすべて仮名です


えんまちゃんは公園が好きだ。えんまちゃんの家の近くには広い芝生の公園があり、噴水もあり遊具もそろっている。鼻歌を歌いながらてくてく歩いているとジャングルジムの前で1冊のノートを発見した。

「落としものかな」

ひょいっとひろいあげる。表紙には閻魔帳と書かれている。

えんまちゃんは近くのベンチに腰かける。パラパラとめくるが中身は白紙ばかりだ。

先頭のページに何か書かれている。

「閻魔帳ルール?地獄の種類?」

えんまちゃんは目を見開く。ルールにはこう書かれている。罪人の名前を呼ぶと現世の善悪がすべて表示されます。顔写真も表示されます。生まれ落ちた環境も死ぬまでの経歴も表示されます。判決の参考にしてください。前世と唱えると前世の罪も暴かれます。

前前前世と唱えると前前前世の罪も暴かれます。

「へーっ」

地獄の種類にも目を通す。ご丁寧にイラストまでついている。

八大(八熱)地獄、八寒地獄、十六小地獄、それぞれ犯した罪によって行く地獄が違うようだ。針の山、血の池、賽の河原、焼けた鉄バサミで舌を抜かれている罪人もいる。串刺し、釜茹で、火あぶり、イラストを見ているだけでゾッとする。閻魔大王は細かい地獄の種類を覚えたり犯した罪の度合いによって罪人をどこに送るかを的確に判断しないといけないから大変そうだなと、えんまちゃんは思った。

「えんまちゃん何してるの?」

友だちでクラスメイトの山田リサが声をかけてきた。

「ちょっとね。あ、ちょうどいいや」

「?」

「山田リサ」

名前をつぶやくと閻魔帳にリサの情報がブワッと表示される。

「おーっ!」

えんまちゃんはペラペラとページをめくる。

「リサちゃん今朝、花瓶割って猫のせいにしたでしょ」

「えっ?なんでしってるの?やばっ」

「昨日の夕飯はカレーとからあげだね。からあげは自分の分を一個弟にあげた」」

「すごい!天井裏から見てた?」

リサは過去の行いを当てられて感動している。えんまちゃんは閻魔帳が本物だとわかり胸が高鳴った。これを使えばクラスメイト達をびっくりさせられる。

翌日、えんまちゃんは閻魔帳を学校に持って行き占いと称してみんなを裁判する。

「タロウくんは駄菓子屋でお菓子万引きしたでしょ。黒縄こくじょう地獄行きだね」

「サブローくんはゲーム買ってもらえなくてママに暴力振るったから無間むけん地獄だね」

「サユリちゃんはありもしないウワサを広めて人を傷つけた犯人だから焦熱しょうねつ地獄だよ」

「ケイコ先生は保護者と不倫してるから八寒地獄行き。前世でも前前前世でも不倫してトラブってる。何度地獄に落ちてもちっとも反省してない。悪縁繋がりで同じ人と不倫を繰り返してる」

えんまちゃんは次々と罪を暴いた。それらは全て当たっていた。罪を暴かれたくない生徒や教師達は口止め料を払いにきたが、えんまちゃんはいっさい受け取らなかった。

「誰にも言わないよ。これからは徳を積んだほうがいいよ。じゃなきゃほんとに地獄に落ちるよ」

えんまちゃんの忠告を聞いてみんないい人になり学校は平和になった。多くの友だちに聞かれる。

「どうして犯した罪がわかるの?」

「閻魔帳拾ったからね」

「そんな不思議なアイテムがあるんだ!」

「おいらも欲しいなぁ」

「呪われたアイテムかもよ?使うたびに寿命とられるとか」

「得体が知れないもんはこえーな。触らぬ神に祟りなし」

クラスメイトたちは閻魔帳を恐れて触れようともしなかった。

他人の罪を暴くことのできる少女として町中に評判が広がった頃、不思議な出来事が起きた。夜中、部屋で1人閻魔帳で好きなタレントの罪を眺めていると背後から気配を感じて振り返ると虎柄のパンツをはいた赤鬼が立っていた。びっくりして椅子から転げ落ちる。

「おっ鬼だ!」

「よう。オレの落とした閻魔帳で楽しんでるみたいだな」

「すごい!鬼なんて実在するんだ」

「閻魔帳に触れた人間にだけ見えるぜ」

「鬼さん名前は?」

「ねえよ。赤鬼はみんな赤鬼って呼ばれてる」

「そうなんだ」

ベッドにあぐらをかいた赤鬼は自慢げに語る。

「閻魔帳は閻魔大王から盗んだんだ。今頃、地獄は大騒ぎさ」

「罪人を裁けないんじゃないの?」

「だいじょうぶさ。浄玻璃鏡じょうはりのかがみがあるからな」

「その鏡、知ってる。業鏡ごうきょうとも呼ばれてるんだよね。亡者の生前の一挙手一投足が映し出されるため、いかなる隠し事もできない。主に亡者が生前に犯した罪の様子がはっきりと映し出される。もしこれで嘘をついていることが判明した場合、舌を抜かれてしまうという。また、これで映し出されるのは亡者自身の人生のみならず、その人生が他人にどんな影響を及ぼしたか、またその者のことを他人がどんな風に考えていたか、といったことまでがわかるともいう。「業鏡」という呼称は、人間の生前の業をすべて(実際に行動したことから、心のなかできざしたことまで)映し出すことが出来る鏡であるという意味」

「くわしいな小娘」

「地獄の勉強いっぱいしたからね。いつでも閻魔大王になれるよ」

「お前が閻魔大王ね。それも、おもしれーな。亡者どもがびっくりする顔がみてえぜ。クック」

「なんで閻魔帳を盗んで人間界に落としたの?」

「地獄の仕事にも飽き飽きしてたからな。人間に閻魔帳を渡せば人間界が面白いことになるんじゃないか?って思ったんだ。興味本位の退屈しのぎさ」

「わたしは悪いことに使わないからね。面白くないと思うよ。悪人なら閻魔帳を使って新世界の神になる!とか言うんだろうけど」

「閻魔帳で世界の神になんてなれんのか?」

「やりようによってはね。悪事を暴かれたくなかったら口止め料払ってくる。罪を犯さない人間はいない。世界中の人間がわたしにお金を払うよ。純粋に地獄行きか天国行きか知りたい人からもお金取れるし。お金を1番持ってる人間がこの世界の支配者であり神なのさ。資本主義はマネーゲームだよ」

「拝金主義ってやつかね。善人のお前は閻魔帳をどう使うんだ」

「悪いことをすれば地獄に落ちる。来世にも影響するってみんながわかれば世界は平和になる。最高の世界をつくるんだ」

「世界を支配するんじゃなくて平和にすんのか。つまんねーやつ」

「悪かったね」

「まあいーさ。最後まで見届けよう。それより酒はないか?」

「おじいちゃんのがあるかも」

「大好物なんだ。一杯だけ頼む」

以後、えんまちゃんはたまに赤鬼にお酒を捧げることになった。周りに人がいない時におちょこに一杯だ。再現ドラマ終わり。

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