第九話
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次は吹奏楽部のキャプテン、剛田雷人くんを探した。
音楽室に行ったが、今日は部活自体が休みだということを、自主練習に励んでいる部員が教えてくれた。剛田くんのクラスである三組に行くと、ちょうど部室へ移動するところだった。そんな剛田くんを引き留めて、そのまま教室で話を聞くことにした。
「どうしたんだ?光?」
光は知念さんの時と同様に、剛田くんにも説明する。運動部同士でのつながりはなんとなく理解できるが、文化部である吹奏楽部ともつながりがあるのか、と思って部活同士の関係性に思いをはせていると、剛田くんは、驚くことを言った。
「あぁ〜どうだろうな。実は今日の二限と三限の間に遺失物ボックス開けたんだよ。」
「え?そうなの?」
僕と光は同時に驚いた声を出した。
同じ日に、あの腐海の森のような遺失物ボックスが二回も開けられたのか、と思うと、なんだか運命的なものが働いたのか、と疑いたくなる。
「あぁ、でもその時にはたぶんその携帯、あったぞ?」
「ちょっと待ってくれ、なんで剛田くんは遺失物ボックスを開けたんだ?」
僕はそのちょっとした驚きから戻ってくると、光を押しのけて質問した。クマ先生が『朝にはあった』と言っていたから、それより後に開けた剛田くんの証言は、現状携帯の行方が確定する最新の情報ということだ。もし剛田くんが僕の携帯を持っていたら、理由はどうあれ、見つかったことになるんだから、万々歳だ。そんな期待がでてしまったのか、剛田くんは僕の剣幕に少し面食らってしまったので、あわてて説明した。
「あ、ごめん。僕、一組の花崎薫だ。その無くなった携帯の持ち主で、光と一緒に探しているんだ。」
もう一度時系を追って携帯がなくなった経緯を説明すると、「なるほど、俺の話は重要な情報だな」といって剛田くんは続きを説明してくれた。
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