表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

第八話

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

「うん、職員室のキーボックスの事なんだけど…。あのキーボックスの番号って、先生に教えてもらった?」

「え?えぇ…。」

知念(ちねん)さんは、僕を再度ちらっとみて、歯切れ悪く肯定する。おそらく「部外者にそんな事教えていいのか?」という視線だろう。(ひかる)が慌てて事情を説明している間、僕はいたたまれなくなって、視線を外した。少し立ち位置を変えると、遠くの方に藍沢(あいざわ)さんがシュート練習をしているのが見えてしまい、慌てて知念(ちねん)さんと(ひかる)に視線を戻す。

「なるほど。私が携帯を盗んだかって聞きたいのね?」

 知念(ちねん)さんは、冗談交じりに笑いながら事情をくみ取ってくれた。

「まさか知念さんがそんな事するはずはないと思うけど、何か知ってたらと思って。」

「ふふ、ありがとう。結論から言うと盗んでないけど、今日の昼休みの時にキーボックスは開けたわよ。」

「そうなの?」

「うん。ちょうど新品のバスケットボールが届いたんだけど、部活の開始までに運ぼうと思って、体育館横の用度室の鍵が必要だったのよ。それで昼休みにキーボックスを開けて取り出したってわけ。」

どうやら、休日くらいしか開けることがないと思っていたキーボックスは、顧問の先生によっては、結構ゆるく管理されているようだ。

「その時に遺失物(いしつぶつ)ボックスの鍵はあった?」

知念(ちねん)さんは、今度はバスケットボールを指先でくるくると回しながら、開けた時のことを思い出しているが、うーんと難しい顔をしながら、考えている。

遺失物(いしつぶつ)ボックスの鍵って地味だから全然気にしてなかったけど、開けた時に違和感がなかったからたぶんあったんじゃないかな?でも、自信ないかも。ごめんね。」

遺失物(いしつぶつ)ボックス自体は見た?」

「わからないんだよね…あそこごちゃごちゃしてるからさぁ…携帯あったかなぁ…なんかマジックとかハンカチとかあったのは覚えているのよ…。」

「そっか、ありがとう。」

「どういたしまして。あまり力になれなかったかも。見つかったら教えてね。」

 知念(ちねん)さんはそう言って申し訳なさそうな顔をしながら、部活に戻っていった。


「とてもいい子だろう?女バスの部員だけからじゃなくて、運動部全員から人望が厚いんだ、知念(ちねん)さんは。俺も大助かりさ。」

そういって(ひかる)は、体育館から音楽室に向かう間、知念(ちねん)さんがいかに素晴らしい人かを力説してくれた。


ぜひ感想や評価、ブックマークをお願いします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ