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第四話

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

「おい、光。何を撮ってるんだ。それ、僕の携帯。」

僕は仕方なく、妹の弁当を食べていた。弁当を開けた瞬間、母親への怒りがわき、それから、この量で午後の授業を乗り切れるかが心配になった。今頃、妹の鞄には、ダイエット中とは到底思えないような量の弁当が入っていることだろう。

念のため、すぐに弁当の写真を撮って、家族のグループチャットにメッセージを送ったが、まだ既読にならない。そのまま、携帯を置いて弁当を食べ始めた時に、横で一緒に食べていた(ひかる)に携帯を奪われ、動画を撮られたのだ。

「大丈夫、大丈夫。」

「何が大丈夫なんだよ。お前の大丈夫が、大丈夫だったためしはないだろ。」

僕は、返せ、と言って光から携帯を取り上げる。

「何してんだよ!」

携帯の画面を見た僕は、SNSにさっき撮られた動画がアップされていることに驚愕した。しかもご丁寧に、ウサギの加工までしてあり、♯かわいい系男子、♯彼女募集中、♯DMください、というハッシュタグまでつけられている。すぐに気が付いたはずだが、こうゆうことをする時の光は、どうしてこうも素早いのだ、と悪態をつきながら思う。

僕が投稿を削除しようとすると、今度は光が「何してんだよ!」と言って携帯を奪ってきた。

「いいじゃないか、かわいい系男子。そっちの路線も研究させてくれ。お前だけじゃなくて、俺にも彼女ができるかもしれないだろ。」

「自分で研究しろよ。撮ってやるからさ!」

僕は、逆に光の携帯を奪って、妹の弁当と光の弁当を交換した。

「わかった。俺もアップするから、お前も消すなよ?どっちが多く再生されるか勝負だ。」

そう挑発された僕は、もはや何もかもどうでもよくなり、動画を消すタイミングを逃してしまった。

気が付いた時には思った以上の再生回数と拡散回数が表示されていて、僕はまさか、と思った。そのまさかは、案の定勘違いだったようで、後ろの体育館に映っている女子生徒がかわいい、というコメントが散見されていた。そんなこんなで、僕はそっと動画を削除した。


*************************


くるみちゃんが僕に好意を寄せているなんていうバカみたいな話もきっと、蓋を開けてみたら(ひかる)が僕をからかうために適当に盛った話かもしれない、と僕は思う。

逆に女子たちが僕の悪口とかを言っていたとか、そんなのだったらどうしよう、と身震いする。女子中学生の噂とは、かくも恐ろしいのだ。期待は最小限に。その方がダメージは少ない。


もう深く考えることはやめておこうと、国語の授業に集中した。


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