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第十六話

Twitter(X)リンク:https://twitter.com/jun_satoh_novel

僕は、バドミントン部が練習しているグラウンドの端に向かった。今日は女バスが体育館を占領しているので、バドミントン部は外のグラウンドで基礎トレーニングと素振りをしているそうだ。

「ごめん、清水(しみず)さんを呼んでくれないかな?」

僕は、近くにいた部員に清水(しみず)さんを呼んでくれるように頼んだところ、呼ばれた清水(しみず)さんはびくっと体を飛び上がらせ、こちらを振り向いた。

呼び出されると思っていなかったからか、焦りで口をパクパクさせながら、早足でこちらに向かって歩いてきた。

その後、清水(しみず)さんと僕は、体育館裏の人気がない場所に移動した。そこにある大きな木の陰には、(ひかる)剛田(ごうだ)くんが隠れている。ここなら会話は聞こえないだろう、というところで止まって、お互いに向き合いながら話をした。

「何かしら?」

清水(しみず)さんは僕と目を合わせることなく、下をむいて答える。

「僕の携帯、持っていたら返して欲しいんだ。黒いケースに、アイドルのステッカーが貼っているやつなんだけど。」

 僕は、前置きもなく単刀直入に呼び出しの目的を伝えた。清水(しみず)さんは、僕が携帯を探していることを知っていたはずだから、きっと何もかもわかっているに違いない。

「……。」

永遠に感じられるような数秒間の沈黙の後、ようやく清水(しみず)さんが僕と目を合わせた。

「なんで、私が持っているってわかったの?」

少し震えるような声から、清水(しみず)さんが勇気を絞り出しているのがわかる。もしかしたら泣いているかもしれない、と思わせるほど、小刻みに肩が揺れている。

「ごめん、泣かせるつもりはなかったんだけど…。二限目に剛田(ごうだ)くんが遺失物(いしつぶつ)ボックスに僕の携帯があることを見ていたんだ。それで、盗んだ人は昼休みにキーボックスをあけた女バスの知念(ちねん)さんか、五限に開けた清水(しみず)さんのどちらかに絞られた。それで…」

清水(しみず)さんは、もしかしたら本当はそれを望んでいなかったかもしれないが、僕は推理を続ける。

「それで、遺失物(いしつぶつ)ボックスから無くなっているのは僕の携帯だけじゃなくて、マジックに似たリップグロスも無くなっている、ということに剛田(ごうだ)くんと(ひかる)が気付いたんだ。知念(ちねん)さんは遺失物(いしつぶつ)ボックスにマジックがあったかも、と証言していた。だから、清水(しみず)さんが怪しいと気づいたんだよ。それに、さっき僕と(ひかる)が一組の教室に行ったとき、もしかしたら僕たちの姿を遠目でみて、急いでトイレに駆け込んだんじゃないかな。そして、出てきた時には少し唇が(ひかる)っていたように思ったんだけど…。」

「していたわ…トイレでグロスを塗ったの…。」

清水(しみず)さんは観念したのか、真っ赤になりながら、消え入りそうな声で認めた。


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