第十三話
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「さて、情報は集まったぞ。」
光は、いかにも探偵風に腕組みをして、職員室の端にある小さな応接スペースのソファに座っている。簡単な用事の訪問者に対しては、先生たちがよくこのソファを使っているのだ。たとえば、学校内の備品を取り扱ってくれる卸業者さんだとか、特別授業の先生だとかが来ているときだ。パーテーションで簡単に区切られ、対面の二人がけソファと、真ん中にこぢんまりしたローテーブルが設置されている。その横にある、これまたこぢんまりした棚には、湯沸かしポットとティーバックのお茶が設置され、休憩時間には先生たちの休憩スペースとしても利用されている。職員室に抵抗のない一部の生徒たちは、たまに勝手に使用して、形だけの軽い注意を先生から受けているのをよく見かける。
僕たち三人は結局、光にならってその応接スペースに居座った。
「携帯が盗まれたのは、今日の朝から放課後の間だ。そして、遺失物ボックスの鍵が保管されているキーボックスを開けたのは、吹奏楽部の剛田くん、女バスの知念さん、最後にバド部の清水さんの三人で、開けた順番もその通りだ。」
光が、今までわかったことを、つらつらと説明し始めた。
「そして、俺が遺失物ボックスを開けた二限目終わりの休憩時間には、その携帯はまだあった。」
光に触発されたのか、剛田くんも探偵気取りで足を組み、それっぽく語りだした。
「あぁ。それで、昼休みにキーボックスを開けた女バスの知念さんの時も、五限終わりにキーボックスを開けたバド部の清水さんの時も、携帯が遺失物ボックスにあったかどうかは曖昧だ。おそらく、携帯が盗まれたのは、昼休み以降だな。」
僕は、二人の言葉に続けて、残りの情報を整理する。
「問題は誰がってとこだけど。あれ?」
「どうしたの?剛田くん。」
「いや、なんか、遺失物ボックスが、朝見た時と違うんだよなぁ…」
「携帯がないからじゃない?」
「いや、携帯じゃなくて…」
剛田くんは、ソファから立ち上がり、遺失物ボックスへと近づいていく。そして、上からや横からなど、いろいろな角度からぐるっとアクリル板の中をのぞき込んで確認した。そして、剛田くんは、何かを思い出したようにぽんと手をうった。
「あの変な形のマジックがないな。」
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