第十二話
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次に話を聞きに行ったのは、バドミントン部の清水久美さんだ。
清水さんは僕たちと同じクラスで、二年一組だ。まずは教室に行ったが、清水さんはいなかったので、軽く周囲を探しながら体育館に向かう。すると、トイレから出てくるところを見つけたので、そのまま廊下で引き留めた。トイレから出てくるところを男子から引き留められるという状況が恥ずかしかったのか、清水さんは怒っているような表情でしぶしぶ立ち止まって話を聞いてくれた。今度は僕が、さっきの二人の時と同じように事情を説明すると、清水さんは少しぶっきらぼうにこたえる。
「キーボックスは開けたけど、遺失物ボックスの鍵があったかどうかは覚えていないわ。遺失物ボックスに花崎くんの携帯も、たぶんなかったわね。」
清水さんは、短いけれど、きれいに手入れのされた自分の手の爪を触りながら、こちらを見ようともせずに答えた。
「いつ開けたんだい?」
光が清水さんの機嫌など意に返さずに質問すると、爪からようやく目線を上げて答えてくれた。
「今日の五限目終わりよ。ところで、先週の木曜日に体育館を使ったのは野球部よね?」
清水さんは、こちらの質問にはもう答えたわよ、と言いたげな表情で、逆に光へ質問を返した。
「そうだけど…。」
「体育館の床はちゃんと掃除してよね。少し砂が残っていたわ。野球部は普段グラウンドで練習しているんだから、備品を体育館に入れるときは、ちゃんと土を入れないようにして欲しい。体育館の床が傷つくと良くないと思う。」
「ああ!ごめん。最終チェックが甘かったかもしれない。体育館を適当に使っているわけじゃないんだ。次からは気をつける。」
清水さんの怒涛の勢いに、さすがの光も申し訳なさそうにしていると、しょうがないわね、というようにため息をついて清水さんは教室の方へ戻って行った。
清水さんに対して僕たちは、それ以上に詳しく話を聞けなかったので、剛田くんと約束した職員室へ向かった。もう一度三人で遺失物ボックスを確認するのだ。
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