大群、槍、防衛
地下墓地、道の先から現れるスケルトンの群れ。
奴らは武器を手にしてこちらに向かってきている。
「ヤマガミ!射線あけろ!」
先生がマスターの背後にサッと回り込むと、マスターは魔法矢を乱射する。
「砕けろ砕けろ砕けろ!」
放った矢でスケルトンは確かにボキボキと折れているが、しばらくすると折れた骨が集まって元の形に戻り、またゆっくりと動き出す。
先生が、最初に槍でふっ飛ばしたスケルトンを踏みつぶしながら言う。
「ラチがあきませんな、これでは」
「だったら火葬してやる!火きゅ……」
「わーっ!待って待って!こんなとこで無闇に火なんて使ったら空気が無くなって僕ら死んじゃいますよ!」
「じゃあどうしろって言うんだ!」
「そう言われても」
「そもそもあいつ等はどうしてこっちに来るんだ!目玉も鼻も耳も皮膚すらも無いのに!」
「どうやってこっちを感知してるのかって話ですか?」
「それはアレでしょう、魂の匂いみたいな……」
「そもそもあの骨どもに魂があるなんてのがおかしいんだ!死者の魂が現世に物理的ちょっかいをかけるだなんてあり得ない話だ!」
「魔法はあるのに」
「お前らの脳内ではこの世界がそんな幻想的に見えるのか?」
「それはまあ、はい」
「わからん……」
スケルトンはその間にも距離を詰めてきて、そして走り出した!
マスターを庇うように僕と先生がスケルトンの前に立ちはだかり、構える。
「いけるのかい、マジロ君?」
「修行の成果を2人に見せたくてウズウズしてたくらいです!」
「頼もしいものだね!」
スケルトンの大群はその勢いのまま、
僕と先生の間をすり抜けてマスターを襲おうとする。
「あれっ!?」
とっさにマスターが魔法障壁を張ったものの、それでもスケルトンはマスターへの攻撃をやめない。
「これはいったい……」
「RPGならHPの低そうなヤツを先に狙うのは常道ではあるが、露骨すぎやしないかね」
「スケルトンの眼には僕らは映ってないんでしょうか?」
「魂の匂いを嗅ぎつけているってわけではないのかな」
スケルトンを背後から叩き壊しながら先生と相談する。
「早くなんとかしろ!流石に魔力がもたない!」
だんだんとマスターのシールドが小さくなっていくのがわかる。
ここは一旦逃げ……と考えた瞬間、スケルトンがこちらに気づいたように振り向いて、襲い掛かる。
僕らは攻撃を受けながらまた相談した。
「急にどうしたんでしょう?魔力切れを狙っての執拗なマスター狙いじゃなかったんですかね?」
「いやこれはむしろ……もしや……」
先生が急に後退し始める。
スケルトンの方を向きながらなので撤退というわけでは無さそうだけど?
「ふむう、せっかくのお披露目がこんな形でとは口惜しいが、そうも言ってられないね」
先生が不満げな声を出すと、槍を覆っていた布をめくる。
予想はしていたけど、やはり槍は新品のモノだった。
刃の部分が長めに作られており、平たい形なので斬るも突くもできる、いわゆる和槍のような形だ。
柄の部分にはウロコのような模様がある。
ぱっと見はそこまで変わったものではなさそうだけど……。
「その槍、刃に金属特有の光沢が見えないですね」
「良いところに気が付いたね。そう、この刃は金属製じゃない。いつぞやのファイアードレイクの頭骨から作られているんだよ。どういう理屈かはわからないが、金属よりよほど硬くて切れ味がいい。だが、それだけじゃあない」
「というと?」
「まあ見たまえ」
先生が念じるように眉間にシワを寄せ、小声でブツブツと何かを軽く呟いた。
そして、槍を突く構えを見せる。
さっき後退した分、スケルトンは槍の届く位置にはいないけど、それでも先生はグッと足を前に踏み出す。
すると、槍の先に炎が集まり、それが槍で突く衝撃と共に槍の射程外まで飛んでいき、スケルトンを焼きながら砕く。
「これは、魔法!?」
「うん、そうらしい。とはいえドレイクの頭骨という触媒を使って初めて放てるようになったモノだけど」
「いつのまにこんな魔法を習得して……」
「強くなりたいと願ったのはキミだけじゃないってことさ」
「あ……」
先生は軽く僕にウインクをした。
「オイコラ!火使ったら空気無くなるって言ってただろ!使うな!」
「そういえばそうだった!なんでわざわざ火の魔法を使ったんですか先生!」
「ああいや、何も理由がないわけじゃあないんだよ!私を信じてくれたまえ!」
そう言われてもなー!大丈夫なのかなー!?
高評価等、ぜひよろしくお願いいたします。




