尋問、再生成、儀式
門番の男(名前はボブソンと言うらしい)への尋問が始まった。
「お前らの組織のボスの名前は?」
「ハアァー……知らない。そもそも見た事すらない」
「顔を出さずに命令していたって事かね?」
「直接の指示はいつもNO.2っぽい男がやっていたから……」
「NO.2?そいつはどんな奴なんだ?」
「痩せこけた顔で…髪がボサボサで…ボスの事を神と呼んで崇めていた…」
「あの呪術師か……じゃあ、その男の名前は知ってるか?」
「『アイウート』」
「聞いたことない名前だな」
「あとでジョジュアに調べさせよう」
「組織の構成は?」
「それもよく知らない、少なくとも俺には部下はいなかった。横のつながりにしても俺が知ってるのは誘拐実行犯の仮面男だけだった」
「上下の繋がりがその程度なら、それほど大規模な組織ではないんだろうね」
「じゃあ次、組織の目的は?」
「ええと、『世界の再生成』だったか」
「『再生成』!?消滅って聞いたけど……」
「いったん消して一から作り直すっていうんなら両方合ってはいるな。その方法は?」
「知らない」
「知らない事ばっかじゃないかお前ェ!」
「そんなこと言ったって知らない物は知らないんだ!」
「まあまあ落ち着いて、街外れとはいえ騒ぐと誰かに見つかるかもですよ」
「ったく。じゃあ次は何を聞こうか」
「殺人行為は我々が初めてだったって言ってたね。それ以外に与えられた仕事はあったのかね?」
「材料の収集と運搬をしていた」
「『材料』?何を作ろうとしていた?」
「わからん、俺はただ指定された物を指定した場所に運ぶだけだった」
「何を運んでいたんだ?」
「主にブラッドストーンとか……」
「ブラッドストーン?」
「宝石の一種だね、深緑に赤い斑点がついた見た目をしている。……私とマジロ君がマスターに雇われてすぐに出会った宝石強盗、アレってブラッドストーンを盗もうととしてたのかもね」
「直接買い付けるって方法を取らないあたり、敵の財力も無限ではなさそうですね」
「だね。ブラッドストーンの他に材料は?」
「石炭、釘、ブランデー、それから~」
「イマイチ何を作ろうとしていたのか見えてこないな」
「んん~!あとは何を運んだんだったか、ええと」
「樟脳、金貨を包んだ紙、ヤギの皮でできたヒモ。あたりかね?」
「!そ、そうだ、ソレだ!あんたなんで知って……」
「何を作ろうとしているか、検討がついたのかヤマガミ」
「作る、という言い方はちょっと違いますな。今言った材料は儀式で使うモノです」
「『悪魔召喚の儀式』の、ね」
「なんだと!?悪魔を呼び出して、世界を破滅させる気だったのか!」
「いえ、確かに悪魔は強力な存在ではありますが、呼ぶだけで世界を滅ぼせるほどの力はありません」
「じゃあ、どうやって……」
「そこがイマイチ見えてきませんなあ、現場を調べてみない事には。次の質問、材料はどこに運んでいた?」
「カタクームだ」
「カタクームか、なるほど。黒魔術の儀式をする場合は寂しい場所陰気な場所が良いというがうってつけだね」
「鉱山の多いこの辺りならカタクームはあちこちにあるだろうし、無数の道があるから簡単に人が儀式に出くわすこともなさそうだしな」
「ちょっ、ちょっと2人で勝手に納得しないでくださいよ、なんなんですかカタクームって」
「うん?マジロは知らないのか、カタクームっていうのは……」
「地下墓地の事だよ」
「地下墓地……?そもそも地下墓地がどんな所なのか、よくわからないんですが」
「行けばわかるさ、あとは地下墓地の場所についての詳細とかを聞いて、尋問は終わりかな」
「尋問が終わったら、こいつを理容店の放火犯として衛兵に突き出しておこう」
「なんだと!?放火したのはそこのメスだろうが!人に罪を擦り付ける気か!」
「分かってないな。これはお前の為でもあるんだぞ」
「はぁ!?」
「考えてもみろ、お前らの組織は誘拐殺人を躊躇いなく行えるような集団なんだぞ。そいつらが、自分たちについての情報を吐いたお前を、報復の意味でも情報漏洩防止の意味でも生かしておくわけが無いだろう」
「うっ…」
「ヘタに逃げるよりは窓の無い牢屋にでも籠っていた方がよほど安全だと思うがねえ」
「ううっ……!」
「分かったら大人しく我々を庇いたまえ」
「さて!じゃあ次行く場所は決まったな」
「カタクーム、ですか」
「うむ、悪魔にも色々いるからね。何を呼び出していたのかが儀式の跡から分かれば、それが『世界の再生成』の手段についてのヒントになるかもしれないし、それが敵組織の攻略やボスの正体の手がかりになるかもしれない」
「なんだか憶測ばかりの意見ですが、それしか調べられるモノもないですからね。行きましょう!」
「しかし墓地か。なにかイヤなモノが出てこないといいが、な……」
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