マジロの帰還、解ける石
修行がひとまず終了した。
体中に打撲痕はできるし始まってすぐは筋肉痛がヤバかったし夢の中でも修行してしまったし、色々と大変だったけど、すごく実りのある修行になったと思う。
これで少しは自分の身を守れる。
先生とマスターは僕の事を褒めてくれるかな?
なんて、子供みたいな考えが湧いてくる。
修行のおかげで自信がついたお陰だろうか。
ウキウキしながら現在の仮拠点でもある西区の宿『太った野良猫亭』に戻ったけど、2人はいなかった。
かわりに先生の書き置きを宿の主人から受け取る。
『テキソシキ ノ ヤツ ツカマエタ ジンモン スルカラ マチハズレノ ハイオク ニ コラレタシ 』
「……なんでカタカナで書いてるんだろう」
ともかく敵を生け捕りにできたのは大きい!急ごう!
書き置きに記された場所に着き、廃屋の一室を訪ねると、先生とマスターが待っていた。
先生とマスターの顔を見られただけでなんだか嬉しくなってくる。
でもここでキャアキャアはしゃぐほど僕も子供ではない、にやける口の端を犬歯で抑えながらあくまでも爽やかに
「マジロくーーーーーん!!!」「マジローーーーー!!!」
いやそっちがはしゃぐんかい!
「しばらく見ない内に大きくなって……」
「ほんに子供は成長が早いねえ……」
「2人して田舎住まいの祖父母みたいなセリフを吐く!」
「いやしかし本当になんだか見違えて見えるよ、特に顔なんてまるで術後のように自信たっぷりだ」
「なんの手術ですかなんの」
「チラリと見える腕やら脚やら、軽度ではあるけどアザだらけじゃないか、まともな修行だったのか?」
「ええ勿論、場所選ばずの実戦重視のメニューが多かったので転んだり叩かれたりは多かったですが、お陰で学ぶことは多かったですよ」
「わ!背中と胸はアザがもっと多い!いかんぞ、せっかくいいツラしてるんだから身体も綺麗にしないと……あとでアザに効く軟膏を貸してやる」
「ちょっと!服を捲らないでくださいよ!」
「ふうむ……よかった、お尻にはアザがほとんど無いよ」
「修行と称してそういうプレイを楽しんでたわけじゃないんだな、よかったよかった」
「あの流れでウソ修行を愉しんでたら僕もう最低野郎じゃないですか!」
「えー、で、ハアハア……敵組織の連中を捕らえたとかなんとか」
「マスターが1人でやってくれたよ、私は折角の……いや、なんでもない」
「? それで、捕らえた奴はどこに?」
「今マジロ君が座ってる石がソイツだ」
「え?うわ!ほんとだ薄暗くてよくわかんなかったけど遠目で見たら人型だコレ!石化してるんですか?」
「メドゥーサのヘビなんかが持つ『石化毒』でな。まあ石化とは言うものの実際に体が石に変質してるわけじゃなくて、体内の魔力の暴走によって体が内臓までも超硬質化して……」
「うんまあ要するに死んでるわけじゃないらしいんだ、だから今から解除して尋問を始める」
「縛らなくて大丈夫なんですか?」
「なあに問題ない」
マスターが怪しげな塗り薬を石像の頭部に塗ると、みるみるうちに岩肌が人肌に変わり、柔らかさと温かみを取り戻していく。
…頭だけ。
「んばぁっ!な、よ、よくもやったなお前……あでででで!!動けねぇ!」
「動くなよ、頭部と内臓だけ戻してやったんだ。無理に動くとセミの脱皮みたいに皮膚と脂肪がベリベリと剥がれてダイエット死するぞ」
マスターが敵の顔に魔法杖を突きつけながら言う。
(しかしこの世界にもセミっているんだ)
あれ?この敵の顔どこかで……?
「覚えているかねマジロ君、魔法学校の門番だった男だ」
「ああ!あの気だるげな……」
「その生徒を守る役目の門番様が実は誘拐殺人犯だったなんてひどい話だ。おそらく薬品研究棟がドレイクに壊された一件もこいつが連絡を取ったからだろうな」
「ま、待ってくれ!誘拐犯の片棒を担いだのは認めるが、俺自身は誘拐はしてない!殺人だってお前ら相手が初めてだったんだ!未遂に終わったが……」
「お前の身の上なんて聞いてないし知りたくも無いんだよッ!アタシが聞きたいのは組織の名前、構成、目的、現在の活動だ!こっちの白髭に拷問されたくなきゃさっさとゲロしろ!」
「ウギギギギ……ねえマスター、やっていい?この男、拷問していい?ヘッヘッヘッ」
「いきなり変なキャラになるのやめてもらっていいですか」
「ヒイーッ話します言います!だから痛いのはやめてくれ!」
「話すのか……」
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