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失踪事件、捜索協力

 自分の血が欲しい、それだけで人を……。

 いや、でも。


「聞けばわかる」


 先生がスッと指を向けた先には、校長と教頭がいた。

 なぜかと一瞬思ったけど、学校の管理下の施設がこんな有様になってはそりゃ来ますよねと思い直した。


「なぜ校長に?衛兵さんに聞いた方が」

「いきなり事情を知らない衛兵さんに『最近行方不明者出ませんでしたか』なんて聞くのも不審だろう。異常者(アブノーマル)扱いは構わないけど変質者(パーバート)不審者(サスピシャス)扱いはゴメンだよ」

「異常者扱いはいいんですか……」



「校長先生、この度はとんだ災難で」

「ああ、みなさん。皆さんこそ酷い目に会ってしまって……世の中不幸な事が多すぎます、なぜこのようなグスッことが起きるのか」


 慌てて教頭が校長をなだめる。


「いやしかし本当に災難なことで。あまりにもタイミングが良すぎるというか……やはり例の『悪漢』の仕業だと?」


 教頭がこちらをじっと見る。


「そう思います。そしてソレに関連してお聞きしたいことがございまして」

「ほう」

「最近行方不明者が出たりしませんでしたか?」


 ギョッと驚く教頭。

 校長にチラと目配せをすると、校長が(うな)づきを返す。

 肩でゆっくりと息を吸って、吐く。


「参りましたな、まさか街の外にまで手が及んでいたとは。これではもう黙っているわけにもいきません」

「教頭先生?」

「実はこの半年ばかり、このラウホステインでは失踪事件が多発しているのです」

「わが校の生徒も」


 校長も鼻をすすりながら教頭の言葉に続ける。


「衛兵だけでなく我々民間も協力して捜査やパトロールを行っているのですが、一向にその甲斐なく」

「学校のあるこの街の風評を下げるわけにはいかないと、衛兵ともども口を閉じていましたが、そうも言ってられんみたいですなあ。黙っていて申し訳ない」

「そんなことが……しかし半年前からとなると、僕らの事件とは関係ないかもしれないですね」

「ふむう、パトロールはいつ頃から?」

「三か月前から」

「ふ~~~む、わざわざパトロールの厳しいこの街を選んで、第三者が誘拐などするものなのだろうか」

「よほどこの街から出たくない理由があるのか、さもなくば失踪事件の犯人がアタシ達の敵と同一人物であるか、だな」


「そのへんについてはどう思いますか?ジョジュ……あれ、いない」


 僕ら以外の人間によほど顔を知られたくないらしい。

 ジョジュアさんのいた場所にメモが一枚置かれていた。


(発見した骨の内、頭蓋骨はこちらで確保しておいた。コイツから被害者の身元を割り出せるかもしれない。追って連絡する。)


 頼まれた以上の仕事もこなしてくれるのは性分なのか、仕事熱心なのか。

 なんにせよ非常に助かります、ありがとう。

 五体無事で逃がして本当に正解でした。



「校長、よければアタシ達にもパトロールに協力させてください」

「良いのですか?」

「ええ、他に今のところ手がかりになりそうな事がありませんから」

「……わかりました、私からパトロール隊に連絡を入れておきます。巡回するエリアについては後々に隊から指示が出ますのでそちらに従ってください」

「ありがとうございます!」


 というわけで、ジョジュアさんからの連絡が来るまではパトロールを手伝うことになりそうだ。


 パトロールで手がかりを掴むか、でなければ失踪を防ぐことだけでもできればいいんだけど。




「しかしマスターは校長の前だとホントにかしこまっているね」

「そうなのですか?アネッツァさんは生徒時代はいつも大人しくてマジメで、ちょっと甘えん坊な子でしたが」

「ええー?」

「もし今大人しくないとしたら、遅れてきた反抗期か、周囲に合わせた結果なのでしょうなあ。少女が一人で生きるには、やさぐれるようなこともあったでしょうから」

「ウウッ、やはり自立するということは悲しい事なのですね!」

「校長!!!教頭!!!」


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