骨、新品、戦慄
「「ジョジュア!」さん!」
「なんでココに!?」
「依頼はどうした依頼は」
「中間報告的なモノかね?」
「騒ぐな。あと質問は1人ずつにしろ」
ジョジュアさんはどこで仕入れてきたのか鎧を着ている。
はたから見たら衛兵にしか見えない。
コショコショ
(なんで鎧なんて着てるんでしょうね先生?)
(一般人がこんな事故現場に来たら怪しまれるからね。掃き溜めに鶴ってことわざもあるだろう)
(僕らが掃き溜めなんですか?ってか意味がおかしくないですか?)
「完全に逃げられたわけではない、というのは?」
「手がかりが見つかった、ということだ」
!!!
「どこで!?」
「あまりにも早くないか?」
「何を見つけたのかね?」
「質問は1人ずつにしろと言ったはずだが」
「しかし妙だな、別の場所で手がかりが見つかったなら、敵はなぜココを破壊した?」
「別の場所ではない」
「??どういう意味……」
「ココで見つかったという意味だ」
「!?……??アタシはココ以外の場所を調べろと言ったはずだが」
「話を聞くに、敵はお前らを監視していると思った。そのお前らが隠れもせずに、薬品研究棟を調べるために許可を貰いに行ったとなれば、もし棟が使われていた場合どうなるかは予想できたことだ」
「予想して……それで、どうしたんだ」
「ワタシが先に調査した」
「先にって、いつ?」
「依頼を受けた次の日の夕方には」
「アタシ達が校長に許可取りに行った日の夕方に!?」
「声が大きい」
「だったらなんでソレを言わない!言えばドレイクに出会わなくてすんだというに!」
「声が大きい!証拠隠滅の手段によってはソレ自体が手がかりになるかもしれないと思ったんだ。ワタシもまさかドレイクを使ってくるとは思わなかったが」
「敵がドレイクを使った事でなにか分かったことがあるかい?」
「なかった」
「お前なあ~~~~~」
「まあまあマスター、ジョジュアさんが独断で行動してなけりゃ完全に見失うところだったんですから」
「それで?何を見つけた?」
無言で手を出すジョジュアさん。
「カネ取るのかよ!」
「当然だ、頼まれてない仕事をして成果を出したんだぞ」
「頼まれた仕事自体は終わらせてないだろ!」
「文句があるなら報告は無駄な仕事をした後にするか?」
ギスってる。
僕こういう空気はとても苦手です。
どうしよう。
「マスター、私が交渉代わりましょう」
「ヤマガミ」
「人が変われば空気も変わるものです、私もこういう空気は好まないので」
「仕方ない、ここは年の功に頼るか」
マスターがスッと後ろに引くと、先生が右手を左胸にあててお辞儀する。
「ちなみにこの執事がやりがちなポーズの名前はボウ&スクレープって言うんだよ」
「いや聞いてないですけど」
「で、カネは出すんだろうな?」
「ハイーオイクラデショウカー」
「3万D」
「モットオヤスクデキマセンデショウカー」
「ダメだ」
「シカタナイデスネーオシハライシマスー」
せ、先生が『僕がバイト先で客にケチつけられた時』みたいになってる!
死んだ魚の眼になってる!
感情が死ねば他人の感情に流されない!
でもなんか……なんか負けた気分になるのはなぜなんでしょうね先生!
「それで手がかりというのは」
「その前に聞きたいが、血液ポーションの材料はなんだ?」
「ん?乾燥した腐肉キノコにトレントの樹液に人血の粉末に」
「もっと手っ取り早い方法は無いのか?」
「え」
「骨髄に作用するポーションなら、例えば骨髄そのものを材料に使う、とか」
「……」
マスターが伏せ目になって口を手で隠す。
思案する時によく見るモーションだ。
「大陸外にはそういう薬の生成法があるとは聞くが……いったい何を見たって言うんだ」
「骨だ。肉がまだ付着した骨」
先生とマスターの顔からぞおっと血の気が引くのが見えた。
「墓荒らし、ですか。まさかそこまでして血の確保に走るとは」
それを聞いて先生が少し脱力した顔をする。
「マジロ君」
「はい?」
「墓場に行って、穴を掘って、厳重な棺を開けて、血や骨髄の残る新鮮な死体を探し当てて、墓を埋めて」
「はい」
「そんなことをするよりも、死体を作った方が早いと思わないかい?」
一瞬、言葉が出なかった。
作る。
作るって。
「じ」
「自分の血を確保するためだけに」
「それだけの為に」
「おそらくは関係ないであろう人を」
「異世界から来たというだけで私達を殺そうとするような連中が、他人を巻き込まないと思ったのかね」
恐怖、そしてそれを超える怒りが湧いてくる。
先生が震える僕の肩に手を置く。
「誰かが止めねばならない。たとえ手を汚してでも」
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是非に!!




