表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗殺者は世界に恐怖を知らしめる  作者: 永山ぴの
2章『殺し屋と暗殺組織』
41/59

2章17話

17話~変更~




 仮面男からの依頼のターゲットを処理したあと、『ライフ』と会った。

しかも、ターゲットは同じ。

こうなれば怪しまれるのは仮面男の方だ。

 だが、俺は『ライフ』を通じて再び仮面男からの暗殺依頼を受けた。

更に驚くべきは、またもや『ライフ』とターゲットが丸被り。

依頼人も双方ともあの仮面男。

 こうなればアイツを問い詰めるしかない……と、思ったのだが、『ライフ』は違った。

あの狂気的な集団だ。

〝これは大量殺人の競争だ〟等と言って勝手に勝負を振られ、あっという間に立ち去ってしまった。

 何も言わずに勝負をドタキャンすれば、確実に何故来なかったのか問い詰められたり、約束事も守れない暗殺者だと思われる可能性だってある。

いや、自由勝手なのは『ライフ』の方だが。

 ともあれ、一旦は拠点に戻り、滝澤さん達に相談するしかない。




「──ええぇ!?勝手な大量殺人競争を受けた!?」


 俺の説明を受けたリユがオーバーリアクションで椅子から立ち上がった。

同じく円形のテーブルに座る滝澤さんとアオトはあまり態度には出さないが、多少なり驚いてはいるらしい。

 ユズは学校にいる時間帯なのでこの場にはいないが、今回の件は危険な対立になる可能性が高い。

むしろ、なるべく巻き込みたくはないが──。

 と、滝澤さんが腕を組ながら呟く。


「『ライフ』か……なるほどね、おかしな集団だ、うん」


「ああ。しかも、どいつもこいつも狂気に満ちてる。あんまり相手はしたくなかったんですけど……」


「そうか。だが、自由すぎる相手だと、向こうから何をして来るかわからない。…………うん、受けよう」


「マジで!?」


 滝澤さんの答えに再びリユが驚きの声をあげる。

叫んでばかりで落ち着かないリユに、アオトは「落ち着いて」と声を掛けるとリユはハッとして座り直した。

 それを確認し、滝澤さんは口を開く。


「これは、その……仮面男だったか、その人から受けた依頼でもあるんだろう。なら、勝負云々はともかく、ユキト君は暗殺者として行動すべきだ。競争だなんだのは気にしなくていい。だから、そのパーティーに行くべきだよ、うん」


そう言って、俺をジッと見る。

 確かに彼の言うべきだ。

さすがは長年の殺し屋経験で活かしてきた頭脳。

冷静な判断であり、的確だ。

 言う通り、別に『ライフ』の言っていた競争にこだわる必要はない。

気にせず、いつもの通り暗殺をこなすだけでも依頼を受けた事になるし、『ライフ』からしても勝負をしているように思われるだろう。


「わかりました。そう言う事なら、なんとかできます。単に殺せばそれで終わる……!」


 俺は答え、グッと拳に力を入れる。

 これなら、この件も乗りきれるだろう。

〝至って普通に暗殺依頼を受ける〟

そうしてしまえばいい。

 そしてこの依頼が終われば、仮面男を問い詰めて全て吐かせる。

これで脅威はなくなるはずだ。

 俺は思い、笑みを浮かべた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー




 その頃。



「──皆聞いてっ!パーティーの招待状が来たの!」


 私達のクラスの教壇の上に立ち、高々と招待状を掲げるクラスメートの一人。

確か、あの子はどこかの有名な会社の社長の娘だとか聞いたことがある。

わりと人付き合いもよく、好かれている子だ。

どこかの会社からパーティーの招待状は貰ったのだろうか。

 突然の事でポカンとしていたが、クラス内の人達は徐々にざわめき始める。

そして段々とパーティーに参加できる事実を認識すると、全員の顔に喜の表情を浮かべる。

 クラス内が賑やかになって行く中、私は自分の席でボーっとその光景を眺めていた。

 すると、後ろから肩を触られ、振り返る。

そこには髪をサイドテールに結ったアユがいた。


「急にパーティーとか……変なの」


「そう思いますよね……でも、あの子が言うのなら本当なんじゃないですか?」


「んー……まぁそうだよね。あの子、すんごい御曹司の娘だとか、豪邸に住んでるだとか、総理の娘だとか、ごちゃごちゃだけど色んな噂流れるほど有名だからね」


「総理ってのは盛り過ぎなんじゃ……」


 私が苦笑すると、アユは私の前の空いている席に腰掛け、椅子の向きを変えて私の机に肘をついて口を開く。

何か面白い話でもあるのかと期待する。

が、出てきた言葉は予想外だった。


「そういや、ユズってユキトの事好きなの?」


 目をぱちくり。

私は数秒間固まったあと。


「ふっ、ふぇぇぇぇ!?」


自分でも驚くほどに顔がヒートアップし、真っ赤になる。

だが、クラスの賑やかさに叫び声が埋もれたので目立つことはなかった。

 私はしばらく手をバタバタとして挙動不審になっていたが、時間をかけて落ち着くと、やっと口を開く。


「きゅ、急に何言うんですか……」


「あはっ。ユズ慌てすぎでしょ」


 アユはクスクス笑うと、何やらニヤニヤしている。


「今度は何ですか……」


「ユズって他人の心はよく見えるくせに、自分の心には疎すぎて可哀想だなってねー」


「どういう事ですか、それ!」


 声をあげて言葉を返すと、アユのニヤニヤは一層増していく。

私は口を尖らせていたが、ハッとしてスマホを取り出す。


「何?電話?」


「はい、少し」


 私が席を立ち上がり、アユは首を傾げるのに頷き返すと、アユは「いってらっしゃーい」と言ってから机に突っ伏した。

短い休み時間だというのに、どうやら昼寝するらしい。

 私は仮設校舎の廊下を出て、人気の少ない踊場へと辿り着き、ある人物へと電話をかける。


「ユキトくん、パーティーに行くこと知ったらどんな反応するんでしょうか……ふふっ」


 私はユキトくんが出るまで、心をワクワクさせてスマホを耳に当てた──




ーーーーーーーーーーーーーーーー




 ──『トゥルース』のメンバーにパーティー会場の場所、日時を伝え終わると、滝澤さんは顔をしかめていた。

その反応に疑問を浮かべていると、滝澤さんは口を開く。


「しまった……手伝いたいと思ったんだが、その日はアオト君と依頼を受けていてね。だいぶ遠くへ出向かないと……」


「あー、平気ですよ」


 滝澤さんの言葉に俺は手を横に振る。

それでも滝澤さんは不安そうだ。

仕方なく、俺はリユの肩を掴み。


「コイツも連れて行くんで」


「えっ、私!?」


 突然の事に声をあげるリユの耳に寄り、コソコソと話す。


「手伝ってくれたらパフェ奢る」


「私やる!頑張る!」


 俺の言葉に元気を出し、椅子を蹴って立ち上がり、拳を上へ突き出すリユ。

 その様子に苦笑する滝澤さんだったが、スッと目を伏せる。

それに気付いた俺達が首を傾げ、アオトが声を掛ける。


「どうかしました?」


「……ああ、そろそろ話したい事が………」


 俺はその言葉にハッとする。

確か、ユズの暗殺依頼を受けた時に言っていた。

後で大事な話がある、と。

 あの時は色々と慌ただしかったが、やっとか──と思った矢先。


「あ」


俺のズボンのポケットにあるスマホが震える。

取り出すと、ユズからの着信だった。

 それを察したのか、滝澤さんは優しい顔で頷いてくれた。

大事な話があると言うのに、娘と俺の事情を優先してくれる気持ちはよく解らないが、彼なりの思いがあるのだろう。

 俺は電話に出ると、機械越しでも可愛らしい声が聞こえてくる。


「あーユズ?」


『あ、ユキトくん!ごめんなさい、急に。仕事中とかじゃありませんでしたか……?』


「滝澤さんがいいって言ったから、少しなら大丈夫」


『お父さんもいるんですね。あっ、それでですね、すごいんですよ……!』


 何やら声の調子を上げて話し出すユズ。

一体何だろうと思っていると、ユズの声が再び聞こえる。



『私達のクラスがパーティーに招待されたんです!確か、1週間後に』



「な……」


 俺は思わず絶句した。

 パーティーに招待されただけならまだいい。

だが、コイツは今、1週間後と言った。

それでは、俺の受けた依頼と同日だ。

 唾を呑み、ゆっくりと聞き出す。


「おい、その会場って……」


『? えっとですね……』


 少々間を置いてから、ユズからの返答が。


『1週間後の夜7時から、東京の──』


 場所を聞き終わる。

途端、俺は強く拳を握った。

 当然だ。

何故なら、間違いないから。



「………ターゲットは、ユズのクラス……」



 俺は呟くと、その場の三人はこちらを見た。

その顔には、全員が驚異の表情を浮かべている。

滝澤さんは眉を寄せ、何やら考え出した。

 だが、俺はそれよりも早く、何かを押し殺した様な声音で言う。



「『ライフ』は殺す」



「「「……!!」」」


 その言葉に俺以外の三者が息を詰める。

通話越のユズは困惑したように『ユキトくん……?』と呟いた。

 すると、アオトが俺に向けて言う。


「待ってくれ、ユキト。さすがにそれは危険すぎるよ。いくらキミでも、6人を相手にするのは……!」


「今さら何言ってんだ。ユズもいるしアユだって。これは完全に仮面男の企み。それを阻止するのに理由なんかいるか。『ライフ』も仮面男も怪しいし邪魔だから潰す、それだけ」


俺が言うと、アオトは黙ってしまう。

まだ何か言いたい事があるようにも感じたが、俺の決意を曲げない事を知っての事だろう。

 すると、奥に座る滝澤さんが口を開く。


「ユキト君、ユズを守るのかい?」


「もちろん」


 俺の返答に、何かを噛み締めるようにゆっくりと滝澤さんは頷く。


「良かったよ」


「は?何が……?」


 俺が首を傾げていると、滝澤さんは苦笑して。


「ユキト君が誰かのために動く子になるなんて思ってもなかった。しかも、娘のために……ありがとう」


そう言って、頭を下げた。

 俺は思わず目を見開いたが、すぐに気を引き締める。


「ああ、任せて下さい」


俺のしっかりした返答に滝澤さんは満足そうに頷いた。

そして滝澤さんはリユの方へと向き。


「ユキト君と娘を頼むよ」


「お姉さんだもんね!任せとけーっ!」


 宣言し、自信あり気に胸を張る。

 なんだろう、どこか頼りない。

だが、リユの腕は本物だし、きっと大丈夫だろう。

 と、持っていたスマホから声が。


『あの……なんとなく、聞こえました』


「………俺が」


 言おうとした途端、ユズの声が被る。



『私も手伝います!』



ハッキリした声は、きっと滝澤さん達にも聞こえたのだろう。

だが、滝澤さんだけはわかっていたと言いたげな顔だ。


「またそれかよ…… 今回のは殺し屋を相手にする。死ぬ可能性は高い」


『はい、それでも構いません。アユだって狙われる側になっていますし……それにユキトくんに死なれるのも困りますから』


 俺はその言葉に先日の言葉を思い出す。

〝死なないで〟と。

 そうなれば、仕方ないだろう。

俺は小さく息を吐いてから。


「無茶は禁止。あと死ぬなよ」


『はい……!』


 耳にユズの嬉しそうな声が響いた。

 俺は思わず苦笑し、電話を切ろうとする。

が、滝澤さんが声をかけた。


「あ、ユキト君。ユズと……瀬川アカネも呼んでくれないか?」


 突然の言葉に思わず固まる。

だが、すぐに滝澤さんは続きを口にする。



「大事な話をしよう」



緊張した面持ちでそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ