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暗殺者は世界に恐怖を知らしめる  作者: 永山ぴの
2章『殺し屋と暗殺組織』
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2章11話

11話~正体~




 視界に映る、何本もの木々。

それも、俺が進む度に次から次へと太い木が迫ってくる。

足を使って急カーブで衝突を回避。

それを何度も繰り返して下っていく。

 ──俺は、斜面に広がる落ち葉を利用して滑っている。

案外、地面いっぱいに敷かれた落ち葉というものは滑りやすい。

 山道で歩くだけでも、落ち葉で足を踏み外して落下するという事件だって世の中にはある。

だが、身体能力や注意力を高めれば、そんな事は起きない。

逆に言えば、滑りやすさを利用してまるでスキーのように移動もできるのだ。

 とはいえ、やはり山中なだけあって地面は整っていない。

 調子に乗って滑りすぎて、岩につまづいたら顔面から地面に突っ込んでしまう。

いや、そんな事はしないが。

 俺はただ進むだけではなく、足元にも注意して……落ち葉に埋まった岩を目に入れると、ブーツで踏み込んで跳ぶ。

そのまま空中で1回転して着地。

再び傾斜を進む。

 こうしているのには理由がある。


「まだついてくるか」


俺はチラリと後ろを見る。

 数十メートル後方から追ってきているのは、日本風の面をつけた小柄な男。

 その背中にはジェット機が背負われているが、今は使っていない。

森の中だからだろう。

 先程は俺の右肩を狙撃してきたが、それでも執拗に攻撃しようとしてくるのだ。

正体も何もわからないが、俺を殺そうとしているのは間違いないだろう。

 すると、狙撃者がライフルを構えた。

斜面を駆けながらも、俺を狙うつもりだ。

相当な腕じゃなければ、こんな森の中じゃ狙撃はできないだろうに。 

 相手が発砲する刹那、俺は上体を変えて方向転換。

左に滑り、巨大な岩影に入り込む。

この岩を壁にして狙撃は回避。

 だが、次はもうこんな都合よくデカイ岩があるとは限らない。

狙撃の邪魔になるものは、あとは何本も生える大木しかない。

 ──いや、それで十分。

俺は確信の笑みを浮かべ、岩影から飛び出す。

それに気付いた狙撃者も再びライフルを構える。

 だが、今度はそれよりも速く、俺は頭上の木の枝に飛び乗った。


「──!」


さすがに予想外だったのか、狙撃者も仮面越しでもわかるような驚きを見せる。

 俺はそれに構わず、数メートル先の木の枝へと跳び移る。

 左手で立っている枝を掴み、枝を中心に1回転して勢いで更に高く上空へ。

次の木の枝に無事にたどり着くと、今度は左側の木へ。

 俺の行動に戸惑ったのか、狙撃者が足を止める。

俺は狙撃者の周りの木の一辺に立ち、口を開く。


「いい加減にしろ。お前は誰だ」


「……………」


「あーもういい。言わないんだろ」


黙りを続ける狙撃者にため息を吐く。

 すると、狙撃者はそれに構わず銃口をこちらに向けてくる。

どうやら、何も言わずに処分したいらしい。

 だが、俺だって黙って殺されるわけじゃないし、この場を逃げるだけではない。


「言っとくけど、俺の恐怖は舐めるな」


それだけ言い、再び後ろの木へと跳び移る。

 移動する度に聞こえる銃声。

だが、俺には届かない。

 そのまま木を伝い、山を下っていく。

だが、真っ直ぐに進むだけでは追い付かれる。

俺は斜め右、左へと木を変えて移動する。


「うわ。思ったよりガチか」


 後ろの様子を見ると、ライフル片手に腕を動かして狙撃者が迫ってくる。

面の下の表情は見えないが、どことなくイラついたような感情が見える。

 だが、もうすぐ山を降りる頃だろう。

 俺は懐からナイフを取り出す。

愛用のダガーがあれば良かったのだが、あいにく今日は拠点に置いてきてしまった。

それでもナイフ1本で十分だ。

 俺は木を移動するのをやめ、枝を蹴って2メートルほど上空へ舞ってから斜面に着地。

 狙撃者と向かい合い、相手は足を動かして迫ってくる。

さらに、敵はライフルを構えている。

撃つ気マンマンだ。

狙撃者が面越しにこちらを的に定め、銃口を向ける。

 こちらはゆっくりと背に隠していたナイフを握りしめる。

 アイツの狙撃でわかった。

きっと、狙っているのは俺の心臓部だ。

 もし殺すのが目的なら、相手を行動不能にしてからトドメを刺すという方法もあれば、脳みそ貫いて即死させる方法もあるし、この狙撃者のように心臓を狙っても殺せる。

ぶっちゃけ、殺し方なんて山ほどあるのだ。

 なのに向こうは俺の心臓を潰す事にこだわっている。

つまり、狙撃者は冷静状態とは言えない。

あれだけ殺す事に躊躇いもなく、しかもジェット機なんてものを堂々と使う辺りは俺と同じ殺し屋の可能性もある。


「……狂った殺し屋も稀にいるしな」


 俺は呟く。

 次の瞬間、狙撃者が引き金に指を掛ける。

弾丸が飛び出す。


 だが、そのコンマ数秒前に俺はナイフを正面に出した。


胸の中央の前に構え、がっしりと握る。

 ぶっちゃけ、無茶だとは思うが、多少強引にでもこの場を突破しないといけない。


 俺の狙い通り、弾丸はナイフの刃にぶち当たる。


金属音が辺りに響き、俺にも衝撃が伝わる。

弾丸は即座に跳ね返り、山の中へと消える。


「──ッ!?」


 狙撃者は驚きを露にし、動きが鈍る。

 その瞬間を見逃さず、俺は切り替えて地を蹴る。

斜面を高速で登り、狙撃者へと迫る。

 狙撃者は反応が遅れながらも、ライフルを構えようとしたが、もう襲い。


俺はナイフを引き付け、狙撃者の鎖骨下に突き刺す。


 狙撃者はライフルを手から滑り落とし、仰向けに倒れる。

だが、俺はナイフを抜かずに馬乗りになる。


「思ったより手こづらせやがって……名乗れ」


俺が訊くも、狙撃者はピクリとも動かずに答えない。

 まさか気絶してしまったのかと思ったが──突然、俺を突き飛ばした。


「いっ……!」


思わず油断してしまい、地面の岩に頭をぶつける。

 額から血が流れてくる。

思ったよりも深く傷を負ってしまったらしい。

それなりに痛みも伴う。

 だが、それに構っている暇などない。

俺は即座に立ち上がり、狙撃者を見る──が。

相手は立ち上がれないでいた。

 おそらく、俺が刺したナイフのせいだろう。

逃げようとしているのか、俺を殺そうとしているのか、必死で上体を起こそうとする。


「……ハッ。立てねぇじゃねぇか」


 俺は警戒しながらも、ゆっくりと狙撃者に近付く。

いまだに抵抗しようとする狙撃者を無理矢理地面に押し付ける。


「その気持ち悪い面が一番邪魔」


 呟き、日本風の面に手を掛けてひっぺがす。

 遠くへ面を投げやり、その顔を視認すると、俺は目を見開いた。

それも当然だ。

何故なら、コイツは見知った相手でもあるのだ。

 やっと、驚きと共に俺は声を出す。



「お前………『ライフ』の野口ショウ……」



 そう、あのプールで出会った殺し屋組織の一員。

黒髪にそこそこ整った顔。

だが、その職業は殺し屋の彼。

 即座に疑問が浮かぶ。


──何故……俺を狙った?


 『ライフ』は全員が〝殺し〟に取り憑かれたかのような狂人ぶりを見せたが、俺に敵対意識はなかったはず。

なのに、こうしてコイツは俺を撃ってきた。


「おい。何で俺を狙った?」


 訊くと、野口ショウは一瞬だけ抵抗を止める。

そして、その口から出た言葉は……



「『トゥルース』撲滅。あの方の指令は絶対。成す」



「は……?」


まるでロボットのような口調でそう言った。

 しかも、前に会った時と雰囲気もが違う。

ただ無表情で上の空かのようだ。

本当に、操られたような──


「あっ、おま……!」


 途端に抵抗を始めたので、慌てて押さえつけようとするが、腕で振り払われる。

そのまま後ろに跳ばされたが、今度は頭を打つことはなかった。

 だが……


「チッ。勝手に気絶すんな」


見れば、野口ショウは抵抗した反動で岩に頭をぶつけたのか、気絶している。

自分から暴れておいてなんてザマ。

 だが、そんな様子に呆れる元気もない。

ぶっちゃけ俺だってボロボロだ。

右肩は撃たれ、額から出血、ところどころ弾もかすった。

 まだ気は抜けないというのに、思わずその場に座り込む。

ユズと共闘してアカネに抗った時ほどではないが、体力も精神的にも削られた。

 更には、これから野口ショウを拠点まで運んで話し合う必要もあるだろう。

『ライフ』に関しての謎も多すぎる。

 その事を考えると、自然とため息が漏れる。

俺はポツリと呟いた。


「めんどくせぇぇ……」


ども、ぴのです!

あの……これめちゃ続いてるんですけど、この先もめちゃ続くんです(笑)

最低で4章で終わればいいなって思ってるんですが、それじゃ終わらない気がします。


まぁ、ゆっくりと書いていくのでこれからも見て頂ければと思います。

良ければブクマとかお願いします……!


12話も今度更新します。

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