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第9話(最終話) 渡せない vsウェルウィッチア & 異星人?

 ウェルウィッチアの一件の後暫く平和な日々が続き、仁子は机に置かれたPCとにらめっこする本来の技術職国家公務員らしい日々を送っていた。とは言え終業チャイムが鳴ると帰り支度の他の職員たちとすれ違いながら、防災服の青色が占拠する雑班の執務室に、鮮やかなオレンジ色のコンバットスーツに身を包んだ小柄なクールビューティがぬっと顔を出し、お目当てに向ってシュッと拳をかざして目配せする。さも楽しげにニッと口角を広げ、仁子も右拳を上げた。15分後、お互いの制服を瞬時に脱ぎ捨てた丘と仁子は、庁内ジムでフィンガーグローブを合わせ、小気味よいパンチ音を響かせている。

「はあ~、このお嬢様たちはどこまで強くなりたいのだか?お二人にはエリート銀行員との合コンより、異星人との異種格闘技戦がお似合いですな」

遅れてジムに入ってきた上原が首にかけたタオルの両端を引きながら、あきれたように右頬を少し上げふっと息を吐き出した。


 桜の開花情報が発表され始めたある日、世界生物学会参加のためアメリカ出張中のジェニファーから、仁子へSNSメッセージが届いた。一連の巨大生物事案の原因について大事な話があるので、今夜帰国後すぐ会いたい。但し、このことは他言無用と。

<ジェニファーが仕事の話をプライベートSNSでコンタクトしてくるなんて珍しいなあ。よほど上には聞かれたくない話なのかな?>

終業後、ジェニファーがプレゼントしてくれたお気に入りの、でもあの時の疵が少し入ったショートブーツにスキニーデニムの裾をたくし込み、グリーンの縦ストライプ入りの白いスタンドカラーブラウスのボタンを留めると、仁子は霞ヶ関の庁舎を徒歩で出た。行き先は新橋から金春通りを銀座エリアへ入ってほどない古びた雑居ビルの二階、ジェニファーの指定したバーは重そうな木製の扉に閉ざされている。

<やってるのかな?まあ、”営業中”なんて野暮な看板掛けてるお店、銀座には存在しないか>

恐る恐るドアを開ける。カウンター数席だけの隠れ家風の小さな店に客は誰もおらず、笑顔で迎えてくれた若いバーテンダーはゆうに185cmはありそうな長身痩躯、臙脂のペイズリー柄の蝶ネクタイが結ばれた純白のシャツと黒のベストの上に載る小さな顔は、透けるような色白で、紅の唇がルージュを引いたように浮き上がる。つぶらな瞳と高い鼻梁、まさしく超のつくイケメンだ。

<うわ~、こんなカッコいい人、人生初かも?>

「いらっしゃいませ、お客様お一人ですか?」

「あっ、いえ待ち合わせで」

緊張で声が震える。

「あ~、コントレラス様のお連れ様で?」

「はい」

「先ほどコントレラス様からこちらにご連絡があり。急用でいらっしゃることができないとのことでございます」

「そうなんですか‥‥」

<な~んだ、ジェニファー直接連絡くれればいいのに。でも、私が8cmヒール履いても大丈夫そうなこんなイケメン滅多にお目にかかれないよ。暫く目の保養をしてから帰ろ>

「でもせっかくだからおススメのカクテルをお願いします」

「かしこまりました」

低い背もたれ付きの革シートのスツールに腰掛けて、バーテンダーの白くて長い指が演出する流れるようなシェイカーワークに見惚れ、飲む前から頬を赤らめる仁子。ニスがしっとり効いた継ぎ目の見当たらないマホガニー一材削り出しの重厚なカウンターに、背後のキラキラ光るグラス棚から優雅な手つきで彼がカクテルグラスを取り上げてそっと置く。

「お待たせしました」

シェイカーからトクトクと注がれたエメラルドグリーンの液体を満々と湛えるカクテルグラスの脚を指で軽く挟み、彼は優しく仁子の前に滑らせた。

「ありがとう」

仁子ははにかみながらちらりとバーテンダーに目線を送ってグラスを差し上げ、キラキラ光る薄い縁にそっと唇を寄せる。トロッとした甘い舌ざわりの液体がゆっくりと胃の腑へと届く。

「お・い・し・い‥‥」

彼と彼の作ったカクテルに早くも陶然とする仁子がカクテルグラスをテーブルに戻すと、グラス内の液体の色がみるみるレモンイエローに変化した。

「わ~、ふ・し・ぎ。これ何ていうカクテルですか?」

「はい、こちらは当店一押しの、色が変わってエネルギーの消耗を知らせる、秘密のカクテルでございます。もう一口お飲みになれば、真紅になりますよ」

 「誰なのあなた!」

眼を瞠り、そう叫ぶと同時に仁子は口に指を突っ込んで、飲んだものを吐き出そうする。バーテンダーは優しく手を伸ばし、それを制する。

「お客様ご心配なく、毒も眠り薬も入っておりませんよ。私はただのバーテンダー、但しこの星の生れではありませんがね。さて交渉を始めましょう。M90星人の力を持つ地球人類、名取仁子様」

バーテンダーは蝶ネクタイの両端にふわりと手をやった。

「交渉?」

「我々の母なる星は寿命を迎えつつあり、移住先を探すべく調査員を宇宙へと派遣しました。私もその一人。この地球という惑星は我々の住環境に酷似していて、移住先の有力候補と思われます。そこで今この星で強い力を持つ貴女に、地球を譲って頂きたいのです」

「何を言ってるの。私は地球を守るためにM90星人から力を授けられたのよ」

相手の視線を真っ向から受け止める仁子。

「地球を守る?これは異なことを。貴女のしていることは地球人類の文明を守ることであって、この星の生き物全てを守ることではありません。むしろ人類に生存を脅かされてる生き物の叫びを排除しているんじゃありませんか?」

仁子の脳裏に彼女が闘った相手の姿が浮かぶ。

「一連の巨大化生物出現の黒幕はあなただったのね」

スツールから腰を上げ、カウンターを押しやるように立ち上がる仁子。

「いけませんか?彼らは全て地球人類に虐げられ、ついには殺され、種の危機に直面している生き物たちです。ある天体の生態系の頂点に立つ生き物がこれほどまでに増殖し、勝手気ままに振舞っているのは私の知る限りここだけです。ならば我々が地球人類に成り代わって、よりよい星を目指すのが妥当な線ではありませんか?貴女がそれを認め、手を引いて下されば、我々は容易に移住できるのです」

変身能力を得たからこそ仁子が気付いた人類の横暴さを指摘され、言葉に詰まる。

「何十年か前に地球人類に手を貸した宇宙人は、現れた人外の異物たちを問答無用で敵と看做して排除していたようですが、貴女はこれまでの対応を見る限りそうではない。だからこのカウンターにお呼びしたのです。我々は移住したからと言って地球人類を殲滅するつもりはありません。我々の正しい常識に従って頂くだけなのです。名取仁子さん、変身後の活躍は誰の目にも触れられず、誰にも感謝されず、未だに名前すらない戦士なんて馬鹿馬鹿しいでしょ。さあ地球を譲ってください」

矢継ぎ早に投げつけられる異星人の主張に圧され仁子が目を伏せると、カウンターのカクテルグラスに揺蕩う液体はいつの間にかレッドに変色していた。自らのボディのストライプがピンチを知らせるこの色に変わるのを変身時に目にしたように、彼女の動悸が瞬時に高まる。しかし、ある日突然意図せぬ境遇に立たされてから、様々な試練や悩みを一つひとつ乗り越えて来た仁子は、深呼吸をしてフッと息を吐いた。

<過去のウルトラマンもそして私も、戦うのは自分一人で、エネルギーに限りある存在だと意識していたから焦ってたんだ>

丘や上原、そしてジェニファーの言葉が耳に甦り、再び仁子の顔が上がった。

「あなたの言うことはいちいち正しいと思うわ。確かに産業革命以降人類は自分勝手に地球のあらゆる場所を開拓、開発という名で掘り返し、薙ぎ倒し、そして人類同士で殺しあってこの星を荒廃させた。でも今、私がこの力を得てようやく気付いたことを、こんな力を持たなくても既に実践に移している仲間が多くいるのよ。人類は地球に生きとし生けるものとの共存へと、始めの一歩を踏み出している。偶然の結果とは言え、普通の人間に優る能力を与えられた私の使命は、この星固有の生物”人類”を助けて、地球をあるべき姿に少しでも近付けていくこと。だから私は私を辞めない。私は地球人類”名取仁子”、他に名前なんかいらないわ。あなたたちに地球は渡さない!」

バーテンダーの美しい顔が歪み始める。

「残念です。実に残念です。もう少し合理的に物事を判断できる方だと思っていました。ならば実力行使もやむを得ません」


 《ジュワ~》、バーのカウンターや壁が溶け落ちて、靄が沸き立つ異空間に転移したようだ。仁子の眼前、バーテンダーを覆っていた靄がそこだけ収まると、身体から二本の脚、二本の腕、ヒト型ではあるものの細かい襞が縦に走る黒い胴体からツルリと白い頭部へと肩や首なく細くなり、目と思われる感覚器官が頭頂部の左右両端に飛び出した地球外生命体が正体を現した。

「とんだイケメンだったわ。まあイケメン姿のままじゃ闘いにくかったけど!」

コンコンチキチンコンチキチン、仁子のスマホから祇園囃子。

<見てたならもっと早く教えてよ。最近全然アドバイスしてくれないんだから!>

キッと目を吊り上げ、そう心で毒づきながら通話ボタンを押した。今度は仁子の身体を黄金の光が一瞬包み込み、ふわりと消えたそこに立つのは、ティアラ輝く額にグリーンの二重逆三角ストライプ、オレンジの光揺らめく瞳、シルバーフェイスの我らがヒロイン。しかし、お待ちかねの変身モードにポーズを取る間も与えず、容赦なく繰り出された異星人のストレートパンチを屈んでかわし、掌底を叩きこむがこの相手には顎はない。軽く後方に頭をしならせた異星人が仁子の右手方向に靄を掻き分け走り出す。呼応してダッシュすると、思わぬ方角からの蹴りがヒロインの背中を捉える。

「うっ!」

次は左側面から拳が風を切る音が。《バチ~ン!》、寸でのところで仁子の左肘のガードが間に合った。

<こいつ、ただ走り回ってるわけじゃない。靄に紛れて続けざまに瞬間移動が出来るみたい。手強い>

異星人の作り出したアウェイ環境で視界を制限され自分より20cm近く大きい相手との闘い。仁子は続けざまに見舞われる打撃を避け、受け止めるばかりとなる。

<ならば‥‥>

敢えてガードを広げたヒロインの顔面に正面からパンチが入る。《ズボッ!》誘い通りの攻撃にガードを素早く戻し、頭を後ろに引いて衝撃をやわらげる。仁子の狙いは次。

<右に来る!>

高く振り上げられた異星人の踵が右から脳天に落ちる寸前にスウェイして交わしたヒロインが、相手の軸足に右肩から飛び込んだ。

<この間のスパーリングの通り。智美さん、ありがとうございます!>

もんどりうって尻餅をついた相手の首なき頭部を、振り向きざまに両腕で抱え込んで背負い投げに入ろうとするが、異星人が全身にまとったヌルリとした分泌物に滑り腕がスッポリと空を切った。

<しまった!>

スルリと抜けたひょろ長い頭部をしならせて、背を向けしゃがんでいるヒロインの脳天に頭突きが炸裂。《バチ~ン!》、仁子は体を捻り手首を交差させた十字でかろうじて受け止めるが、跳ね返って反動のついた頭部で異星人の二の矢が迫る。彼女はこの一撃をコロンと後転倒立に入って回避しつつ、《パシ~ン》反対にそり上がった両足先で頭突きを跳ね返した。たまらず両手をやった頭を左右に振って異星人が棒立ちになる。このチャンスを逃さず仁子渾身の上原直伝右回し蹴りが相手の脇腹にクリーンヒット。《ドス~ン!ピシッミシミシ》重い衝撃音に続いて、人間でいう骨格組織の鈍い損傷音を残しつつ、異星人が一層深くなった靄に転がり込んで姿を消した。

 「あなたの打撃は見切ったわ。鬼ごっこはもうお終い。さあどこからでもかかってきなさい!」

両拳を胸前にさっと掲げ、後ろに引いた左足の踵を少し上げたファイティングポーズのヒロインの頭上のティアラが、靄を吹き飛ばすように神々しくキラリと輝いた。一瞬の静寂の後、前方の靄の中から異星人の声が耳に入る。

「ここは私の作り出した異空間。今、白昼を迎えている地球のどこかに貴女もろとも転移するのも可能です。そうなれば貴女は人類の目に曝され、変身能力を失うんじゃないですか?」

再び姿を現した異星人を見据えた仁子は相手の恫喝に少しもゆるがず言い放つ。

「どうぞご自由に。そこで私の能力は尽きるかも知れないけど、私の志を継いでくれる仲間はちゃんといるわ。そして彼女は私なんかよりずっと強い」

“そんなスーパーヒーローならなってみたい”、オレンジのコンバットスーツを颯爽と身に纏い、キリリとした眼差しの丘の姿が目に浮かぶ。

「それともう一つ。変身できなくなる前におまえだけは私が確実に潰す!」

シルバーボディ輝くヒロインがアームレットに右手を添えると、その掌に燃え盛るように湧き立つ黄金の光。しかし、相手も両掌を合わせて、青白く輝く球体を作り出した。緊張の数秒間。

「止しましょう。貴女の強さと覚悟はこの身をもってよく判りました。我々とて一人一人の命を大切にしています。私は貴女と刺し違える気は毛頭ありません。私は調査員。この調査結果を母星に送ることも大切な役目」

異星人が合わせていた両手を左右に開き、仁子もアームレットから右手を下ろした。その直後異星人はガクリと左に傾いた。やはり先ほどの仁子のキックは相当のダメージだったようだ。

「ならばあなたの母星にこう伝えて。地球人類はあなた方が本当に困っているなら救いの手を差し伸べられるよう、今を生きる全ての生き物が平和にそして幸せに共存できる星に地球をみんなで変えていく。もう少し時間をちょうだい」

「その言葉承っておきましょう。私は母星に帰ります。脅しではありませんが、我々以外にもこの星を狙う宇宙知的生命体は存在します。これであなたの仕事が終わるわけではありませんよ」

「望むところよ!」

謎の異星人は両手を上げると沸き立つ靄の中空にゆらりと上昇してその姿を消し、それと同時に異次元の壁がドロドロと崩壊していった。

 「こ~んなこと言っちゃって‥‥あ~あ!これで私、当分お嫁に行けないな」

変身を解除してそう呟く仁子がふっと浮かべた穏やかな笑みには、発せられた言葉とは裏腹に充実感と希望が満ち溢れているように見えた。


 仁子が短髪に手櫛を入れフルっと首を左右に振ったその時、元に戻ったバーの扉を蹴破るように何者かが飛び込んできた。

「キャッ!どうしたのジェニファーその恰好?」

最近更に伸ばしている自慢のブラウンヘアが簾のように顔を覆い、どこかでヒールを脱ぎ捨てたのか裸足で、ストッキングは伝線だらけ。

「仁子大丈夫!私のSNSアカウントがハックされて、身に覚えのないメッセージがあなたに流されてるのに気づいて‥‥」

ハアハアと息も絶え絶えのジェニファー。親友のピンチを察して、危険を顧みず駆けつけてくれたようだ。

「すっごいイケメンのバーテンダーにナンパされちゃった。危うく身も心も預けちゃうとこだったよ」

「えっどこにいるの?私にも会わせて!」

「彼のアプローチは強烈だったけど、私が脇腹を蹴り上げてふってやったら、ショックを受けてしばらく故郷に帰るって」

仁子が肩をすくめ、両掌を中空に向けて差し上げる。

「何よそれ!こんなに心配して駆けつけた私を差し置いて、仁子ばっかりいい思いして!でも無事でよかった~」

《フウ~!》安堵して大きく息を吐き出し、カウンターにもたれかかるジェニファー。

「そうよね。ありがとう、本当にありがとうジェニファー」

二人はお互い頬に涙粒をつけながら、満面の笑みで熱い抱擁を交わしたのだった。ジェニファーの耳元で仁子が優しく語りかける。

「ねえジェニファー、私この一連の異常生物事件を通して、自分の生涯かけてやり遂げたいライフワークを見つけたの。それはね、この地球に生を受けたものすべてが平和にそして安心して暮らせる共存世界を作ること。地球外からこの星を観察している知的生命体にも羨ましがられるような」

「でっかい目標だね~!気持ちが定まったってわけだ」

呼吸が整うにつれて、ジェニファーがいつものペースを取り戻したようだ。

「私、今は普通の人間より多少優れた力を持ってるの。いつもごめん、詳しくは言えないけれど。ただ、今までだってジェニファーやみんなに助けてもらって、何とかここまでこれただけ。こんな力がとても儚いこともさっき改めて解った。私、もうウジウジしないし、振り向かない。力があろうがなかろうが、その時の全力で目標向かって一歩一歩近づいていきたい。だからこれからもあなたに力を貸して欲しいの!」

ジェニファーが寄せていた頬を離して、仁子の両腕を掴んで見つめる。

「分かった分かった。これからは余計なことは訊かないし、余計なことは言わなくていい。私にとっては仁子は仁子。その大好きな仁子に、あなたと違ってこのおしとやかな腕じゃパワーは貸せないけど、普通の人間より多少?いやほんのちょっとかな?優れたこの頭脳を捧げる覚悟であなたを支えていく。いっしょに前に進んでこ!」

こめかみを人差し指でつつきながら笑顔で頷いた。

「ありがとうジェニファー!」

仁子の頬を温かい涙がまた滴り落ちる。

「もう何よそれ。涙はヒロインには似合わないわよ。そうだ智美もこの企みに誘ってみようよ。二人より三人、そうやって仲間を増やしていきましょ!」

二人はもう一度抱き合った。

 コンコンチキチンコンチキチン、突如けたたましく奏でられる祇園囃子。

「え、何で?」

デニムのポケットから取り出したスマホが、新たな脅威の出現情報を仁子に知らせる。

<も~何よ。感動的な結末を迎えようとしてたのに!ってか、さっき変身解除したばかりなのに、再変身なんてできないんじゃ?>

<力の使い道を見定め、突き進んでいくと決めたあなたに、今回だけ変身エネルギーのおまけじゃ>

ディスプレイに今までにない様々な色彩を放つ、さも満足げなヒト型が浮かび上がる。

<うわっ久しぶりね、おじいちゃん。うん、授けてくれた力を無駄にせず、私行けるとこまで行ってみる。これからもよろしくね!>

<偉大なるM90星人におじいちゃんはないじゃろ。ファッファッファッファ>

 「行ってくる!」

店を飛び出す仁子に、

「あ~、行ってらっしゃい仁子、これからも忙しくなりそうね」

ジェニファーが長い髪をかき上げ、いつものエレガントな表情に戻って送り出した。

「ガンバレ~、名無しのウルトラヒロインさん!」

そうつぶやきつつ、夜の銀座を駆けて行く仁子の後姿を追い、優雅にしかし裸足のまま外に出たジェニファーの顔に、街の灯と我が相棒”名無しのヒロイン”の心のように慈愛に満ちた月光が降り注いだ。彼女が指をピシッと鳴らす。

「イッツ マサコズ タイム!」



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