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キルライフ  作者: 沼郎
第2章 嘘を吐いた自己正義達
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第二章 77 妄想仮想のアンダーワールド 3


 ティディ達は一斉に引き金を引いて銃を乱射する。だが、二度も同じ手が通用する筈もなく、アースは跳躍し、天井に指を突き刺して振り子のように体を揺らし、そのまま一番距離の近いティディに飛び掛かって頭を引き千切り、銃を奪う。


 そこを狙って一斉に銃弾がアースへと飛んでいくがティディの身体を盾にして銃弾を防ぐ。そしてアースは冷静に一人ずつ手に持つ銃を射撃して壊すとアースは銃を握り潰し、ゆっくりと先程の位置へ戻った。


「お前が手榴弾を使おうが使わなかろうが…俺に同じ手は通用しないことぐらい分かる様なもんだが…未だにお前はポケットに手を突っ込んで余裕ぶっこいてる様だな」


「武器が無くなった程度で数に変動はない。焦る必要もないと、私は判断しているが」


「それ本気で言ってるのか?お前の言う驚異の数の暴力はその銃の総数の事だぜ?テメーの様な練度の低い人間が数人集まった所で何がどう出来るってんだよ」


「上等だ…」


 アースがそう叫び、他のティディを無視して本体へ向かっていく。すると何を思ったのかティディは自分以外の分身を消してポケットから手を出した。その手の指は10本全て歪に曲がって皮も捲れ、紫色に腫れていた。


 アースの違和感はそれだった。さっきまで全く無傷だったこの男が…ポケットに手を入れて数十秒であっというまに変貌していた。だがアースは向かっていく足を止めることなく、目にもとまらぬ速さでティディを床に殴り飛ばし、宙に浮いたティディの脚を掴み、片手で壁にたたきつける。


「殺してやるよティディ…!!」


 アースは倒れるティディの上顎と下顎を掴み、全力で分断しようと力を入れる。すると無敵だと思っていたティディの唇が徐々に裂け始める。ティディと瓜二つのこいつは無敵なんじゃあなくて、より無敵に近い体へと変化していただけなのだ。


 だから体は崩壊を始め、会場を揺るがすような低音の絶叫のような悲鳴を上げる。それが痛みによるものなのか、ティディが持つ特有のプライドが傷つけられた事によるモノなのかは定かではない。


 アースの両手を掴み、顎から手を放させようと力を入れるがビクともしない。亀裂が耳元のところまで走ると今度は後ろから複数人のティディを出現させてアースに蹴りを入れる。それでも一切動じることはない。数人がかりでもこの男を倒すことは出来ない。


「アンダーワールドォォォォーーーーッ!!!!!」

『アンダーワールドというものだ』


 逃走したと思われた擬きじゃない方の正真正銘のティディが突如部屋に現れてそう叫んだ。同時に分身のティディは消えてボロボロだった手の指はまた正常に戻り引きはがそうと力を入れる。


「俺を殺そうとしたソイツを殺せェェェェ!!!!」


 その叫びに応えるかの様にこのティディ…いや、アンダーワールドの身体は筋肉が盛り上がって身長も体重も数倍大きくなる。力は拮抗を保っていたがもう一人のアンダーワールドがアースの背後からわき腹に蹴りを入れて反対側の壁へと吹き飛ばされる。


 アンダーワールドと呼ばれる男は先程とはうって変わって筋骨隆々な大男へと変貌する。口が耳元まで裂け、白目をむき、大口開いて咆哮する男の姿は怪物と言われても全く違和感がないだろう。分身との違いは口が裂けているかどうか程度の違いしかない。


 アースはよろけながら立ち上がると二人のアンダーワールドには一切目を向けず、ティディに飛び掛かろうとするが更に別なアンダーワールドの分身が目の前に現れ、その大きな掌でアースを地面に叩きつける。あまりの衝撃にアースは床下を突き破り、空中に浮いたところ4体目のアンダーワールドに頭を鷲掴みにされ、アースを握りつぶそうと力を入れる。


「この量の屈強な私に貴様は対応できるかね」


 ミシミシと頭蓋に指が食い込み、必死に抗うも他の分身体に腕を掴まれ、雑巾を絞るように腕を捩じられる。間接はあらぬ方向へ曲がり、耐えられなくなった皮膚の裂けめから折れた骨が飛び出している。力を入れる度に噴き出す血と共にアースは雄叫びを上げ、抜け出そうと血眼になる。


「いくら私の人形の耐久力が低かろうが…私のパワーと同一なのだ。…さて、尋問の時間だアース。5秒毎に臓器を一つずつ潰していく、どうせ貴様はこの程度では死なんのだろう」


「よくやったティディ。侵入者はそいつか?」


「シェネント・ハープ…お前、今まで何をしていた?…いやいい、たった今コイツを捕らえた所だ。それより亜人達はどうなっている。一匹残らず捕まえたんだろうな?」


 ティディではなく、アンダーワールドがまるで自分をティディであるかの様に振る舞い、質問に答える。シェネントハープという名の男はティディの事には一切触れず、部屋に入ると穴の開いた壁や床を見ながら舌打ちをする。


「もっと丁寧にできなかったのか」


「黙れ、お前こそこれだけの騒ぎで一体今迄何をしていた?」


「お前だけが戦っていると思っているのか?…だがまあよくやった。よく耐えた。そして、丁度いい、その位置でいい。スーパーいい感じな位置関係だ。それでいい。」


「なに…?」

 

 ハープが手を叩くと壁や床に空いた無数の穴が円柱形の突起へと変化し、真っ直ぐ伸びた。アースを取り巻く分身は全て、元のティディ含め、串刺しになった。その場でその攻撃を喰らわなかったのは意図的に対象から外れたアースと攻撃を完全に防いだ強靭な肉体を持つアンダーワールドの二人だけだった。


「なるほど、殺せなかったか。想定外だな。」


「…シェネントハープ…!!お前もジョニーと同じかァ!!」


 身体を貫かれたティディが騒がしく喚き散らすのでハープはティディの口にもう一つ突起を発生させて声を出せない状態にする。アンダーワールドが無言のままこちらを睨んでいるのが気がかりではあるが、どうにか会話を出来る状況にはなったようだ。


「お前がアースか、話は間接的に聞いている。」


「………この組織の一員か?」


 アースはようやく解放され、歪に捩じり曲がった両腕を上げ、拳をつくる。この二人はお互いに存在を知ってはいるが、能力を明かしていないようだ。その証拠に人形のこいつに無意味であろう攻撃を仕掛けてきた。


「俺はジョニーの味方だ。つまり、亜人達を助けようとするアンタは俺とも味方という事になる。怪我が大変だとは思うが、冷静にコイツの能力の詳細を簡潔に教えてくれ。」


「…ジョニーの理解者か…。こいつの能力は人形化だ。指の変化から察するに指数同様最大で20体己の複製体をつくる事が出来ると予想。体が綿で出来ているが故に複製体にも攻撃は通じていない、が、体に穴は開く為、一時的に行動不能には出来ている。能力は二人で発動しているのではないかとも考えている。片方は今口をふさいだソイツで、もう片方は顎まで口が裂けてる男だ。そいつだけ耐久力が馬鹿みたいに高い。お前がその突起をもとに戻した瞬間…戦いは再び始まるぜ…。それともう一つ…俺は不死身だ、俺が生きたいと願い続ける限り俺に死は、訪れない。」


「把握した、つまり焼き殺せばいいということだな。」


「その通り、それが最も適切な対応方法だ。」




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