第二章 73 プランB∉A
首を痛めながら書いたので誤字脱字あるかも
「リアナとオーファン…?それとなんの関係が…」
「そう、昨日の作戦通り二人で来てくれれば一切問題ない。だが、リアナだけの場合だ。」
「??…お前も言っていただろう?」
「話をややこしくするようで悪いが…お前の特別な贈り物をもらうまでは遥かに二人相手の方が面倒だった。でも贈り物をもらった今じゃリアナ単独で来られる方が面倒だからな。」
「何故に」
「リアナを捕まえたとてオーファンは異常を感知してボルボロスに報告した後の挙動が全く不明なんだ。どう行動するかわからない。それが作戦のどの部分の足枷になるかわからない。だから…」
「だから途中までプランAで避難指示は行わないんだねーなるほどねー」
アースの言葉を遮ってミーナは頷き納得する。ステンレスは頭上に「?」を浮かべ本気でわからないと言った表情だ。
「音の振動で俺の位置を当てた能力がお前にはあるだろ?オーファンだけ作戦に反し異常な動きをするからステンレス、お前がミーナに無線で位置を教えてやってくれ。そしてミーナはオーファンの殺害を頼む。リアナよりも遥かに相性がいいと思うから頼むぞ。」
「分かってるよー私戦闘に関しては得意だからねー」
「期待してるぜ。あとでオーファンの能力は教えるがまずオーファンを倒したらウィーズたちの加勢へ向かってくれ。それがプランBへの移行の合図だ。」
「なるほど、了解だ」
「おっけー」
「逆に二人が一緒だった場合は当初の予定通り事を進めてくれ。」
「あ、でもさー、オーファンの位置をこの神が把握しても私に伝えるにはどうするのー?無線機使うの?」
「それなんだが元々の作戦で使う予定だった無線があってな、ギレオさんが保管してる。俺の言うこの作戦はあの爺さんも文句は言わないだろう。あの爺さんもミーナもアストレア女王を実力のある者として存在感を大きくしたいって目論見があるようだしな」
「おっけー!じゃー作戦会議も終わったしこれからすることはさー不穏な空気を出して外出を控えさせるんだよねー?」
「そうだな。どうせ住民全員を外出させないってのは出来ないだろうからある程度敵が警戒しない程度に警備員の奴らが見張っていてもそれが異常とならない程度の微妙なラインだが…頼んだ。」
「はーい」
ミーナは軽く返事をすると背伸びをしながら町の中へと入って行く。その様子を見届けるアースにステンレスが話しかける。
「時間までに俺に出来ることはあるか?」
「寝てろ。活動時間は夜だ。太陽も昇らぬ間に決着はつく。俺もこれから成功に近づける為にやれるべきことはやっておく。」
「…ああ。」
ステンレスはそう返事すると屋敷へと向かっていった。アースはパーライドの外壁を手でなぞりながら外周を回る。そして最も東の壁の前でため息を吐きながら額を触る。
「なぁ空欄。喋れるようになったら声を掛けてくれ。」
アースはそう呟くと壁に寄り掛かり地面に座る。そして10分位経つとようやく空欄から話しかけられる。
[…お前の過去について聞きたいのならやめておけ。あれ程荒れ狂ったんだ、もしかしたらお前が過去を振り返らない為に記憶自体にロックを掛けているのかもしれない。]
空欄が必死に話しかけている最中もアースはずっと額を触り続けていた。そして空欄が一通り話終えると額に触れるのをやめて再びため息をついた。
「俺はこれまで生を望み生を叫び続けてきた。」
[…?ああ、そうだな]
「9つの神の産物…その一つが深淵化なのか?」
[9つの神の産物…シモスが言っていたものだな。]
「…知らないのか?」
[私も記憶が所々抜け落ちていてもしかしたら知っていたのかもしれないが…少なくとも今はそれが何なのか見当もつかない。ただ一つ言えるのは深淵化とそれは全くの無関係だ。]
「細胞自体が生を抱き、俺が生へ執着すればするほど細胞が望む底知れぬ生は深化する。傷の修復が速くなるだけの力。俺の身体から泡が噴き出してこの身を包んだのも…深淵化の効果なのか…?」
[それはわからない。だが、お前が戦いで生を深く望めば望む程体は想いに答えてくれるという事だ。だからお前が死なないためには常に生を願い続けろ。みんなを救う為に。]
「振り返ったんだ。俺は生を望めば望む程…死を恐れなくなっている。死ぬことに…傷つくことに躊躇いが無くなっている。何となく感じるんだ。俺が死を超えカウントをゼロに近づける度に…俺は本来の俺に近づいて行っていることをさ。」
[お前はお前だ。言っただろう。お前は純粋なアースなんだ。何者でもない、アースなんだ。]
「…ありがとう、俺をよく知る人間からそういわれると心が救われるぜ。…なぁ空欄」
[…]
「空欄…?……ステンレス…か、寝て居ろと言ったはずだが…屋敷から離れて何か小細工をしているのか。」
アースはゆっくりと立ち上がり、壁の方に振り返って壁に生じる僅かな凹凸に掴まりよじ登っていく。そして登り切った連なる城壁の上を走り、屋敷の上へと飛び乗る。アースは風にあおられながら街を見渡す。
「いない…」
[いいや、いるよ]
「空欄…なんで急に喋らなくなったんだよ?」
[すまない少し考え事があった。ちょっと不吉な予感がするんだよ。本当に…取るに足らない可能性なんだが…]
「聞かせてくれ」
[もしかしたらマイ・オールディは既に英雄の証を手にしているかもしれない。]
「なぜ…そう思うんだ。」
[私の時間遡行の能力は一度起こってしまった出来事を巻き戻す能力なんだよ。一部の人間はその記憶も残らない。多分オールディも残ってはいないしアストレア女王も残っちゃいない。]
「その通りだ。推察では俺と何らかの条件を揃えたうえで対面する。という条件で記憶の維持が起こるのだと思っている。その例外以外は全て能力通り巻き戻る。身体状態も巻き戻る。覚醒には時間がかかっただろう?今度はそうはさせない。すぐ決着をつける。故にあいつが英雄として覚醒することはあり得ない。」
[お前は女王に失望しているからあまり注目せず変化に気付いていなかったかもしれないが…彼女は一番最初に出会った頃より遥かに臆病になっている。死を超える度恐怖する感情が大きくなっていた。]
「感情は巻き戻らないって言いたいのか?それにお前の能力は一番自分が分かっている筈だろ?」
[…ああ、アースの言う通り身体状態も精神状態も巻き戻る筈だ。私が一番それを知っているんだ。]
「なら答えは明白だろう。元々女王はそういう精神なんだよ。初回時に買被っていただけだ。」
[そうだな、悪い、私も私で気を張りすぎていたようだ。確かに気のせいかもしれない。…それとアースも寝て夜に備えろよ、今夜は長くなるんだからな]
「………おう」
アースは屋根から飛び降り、地面へと着地する。そして頭を触りながら屋敷の中へと入って行った。




