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キルライフ  作者: 沼郎
第2章 嘘を吐いた自己正義達
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第二章 69 ウォールブレイカー

誤字脱字あるかもしれません。


「ステラ、ちょっといいか?」


 メイドと共に部屋を出ていこうとするステラに声を掛ける。ステラは振り返り、アースとアースの隣に立つステンレスの方を少しだけ見て鬱屈そうな顔をして口を開く。


「いいけど、そこの彼もいっしょ?」


「ダメか?」


「いいえ?それで、どんな話をしてくれるの?」


 ステラは髪をかき上げて静かに椅子に座る。アースも椅子を一つステンレスの方にずらし、3人とも席に着く。


「オーファンとリアナの対処は俺とステラで行うって言ったよな?それの内容について話したくてな。」


「…アース貴方ね、簡単に言うけれど一筋縄じゃいかない相手でしょう、二人で対応できるの?」


「可能ならば俺一人で対処したかった。だが、こいつ等を短時間で対処するには二人以上必要だ。それにステラ、お前の麻痺針も必要になる。」


「つまり二人とも生け捕りをするつもりなのね?」


「いや、オーファンは殺す。オーファンのパワーは俺と拮抗する位だ。鎖位なら引き千切るだろう。リアナだけでいい。」


 淡々とそう言うアースにステラはアースの言葉に疑問を覚える。


「それだけの理由で何故リアナだけを生け捕りにする必要があるの?二人の証言を照らし合わせて真実を探った方がいいじゃない」


「オーファンは恐怖、リアナは理によって動く。ボルボロスに骨の髄まで刻まれた恐怖を拭えずにあいつは降伏の選択肢もなく死の間際まで俺を出し抜こうとしていた。逆にリアナは敗北が確定した状況下では全くの無抵抗になり、死ぬ寸前まで抵抗する意思を見せなかった。そして吐いた情報にも…現状分かる所で嘘はない。だからリアナを生け捕りにして屈服させる方が時間的にも手間もかからない。オーファンも屈服させることが出来ればそういう確実なやり方が一番なのだろうが…捕虜となっている間に大人しくしている保証がない、鎖で雁字搦めにしても恐らく崩してくる。倫理がどうとか問われるのなら反論のしようがないが…作戦の無事を祈るなら目を瞑る事だな」


「その点に関しては大丈夫よ。私はそこまで清い心を持っていないから。…とにかく理由はわかったわ。それで…二人で行う作戦の内容は?」


「ああ、ステンレス。」


 アースはその名を呼ぶとステンレスは用意していた紙を机に広げ、文字が書かれてある面を下に敷き、白紙部分を表にしてアースにペンを渡す。そんな様子をステラはじっとみていた。


「ねえ…この祖の神この場に必要なの?作戦は二人で遂行するんでしょう?」


「ああ、作戦完了を知らせる合図を知る必要があるからな」


「それなら後で口頭で伝えればいいと思うけれど。」


「…まぁ…そうだな、万が一もあるしこの作戦を把握していた方が都合がいい。物事全てが計画通りにいくとは限らないからな」


「…」


 ステンレスは未だ一言も発さずにいる。実際この作戦を聞く理由も妹のステラの身を案じての事だ。作戦内容を知った所で何が変わるかは知らないが本人の気が休まるならと参加させたが…少しの動作でバレるかもしれないと妙に動きがぎこちないし…かえって不自然だ。紙も裏返しになってるし…。


「そういえば、紙の裏に何か書いてあったけど?」


「口で説明し辛いし、面倒くさいからリアナの持つ厄介な能力、「ワープホール」を簡潔に紙に纏めたんだ。それを見ながら作戦内容を聞いてくれ。」


「…わかったけれど、裏返す必要あったの?」


「ステンレスが裏面を作戦内容を説明するのに使うんじゃないかなって気を使ってくれたんだ。無口で不器用だが…気にしないでくれ」


「…無口?さっきまであんなに…」


「ほらほら、話が脱線してるぜ!貴重な時間をしっかり使ってこうぜ」


「ああ、ごめんなさい、ついね。私の悪い癖よ。」


 改めてステラは紙を手に取り能力の説明を眺める。ある程度読むと一度アースの方に視線を戻し、作戦内容を話す様に促す。


「まあ作戦を実行に移すまでの過程は大体さっき話した感じだ。いつも通り自然にテアさんが日課をこなす。潜入の為テアさんを狙い、現れた所で俺も現れる。その場にオーファンがいるかどうかはわからないがステラは隠れてから辺りを警戒しておいてくれ。俺がリアナと戦闘を始めたらステラはテアさんを連れて一度屋敷に避難しておいてくれ。俺はお前が戻ってくるまでに拘束しておく。」


「…それじゃあ私も要らない…けど続きがあるんでしょ?」


「ああ、あくまでリアナ一人で来た場合は油断させて拘束させるのが容易いのだが…オーファンが共にいた場合はリアナは態々自分から攻撃を仕掛けない。オーファンの支援をしつつお前を殺しに向かうだろう。だから二人いた場合はテアさんを抱えたまま回避を続けてくれ。」


「回避?麻痺針を撃つのかと思ったけれど…」


「リアナの勘は鋭い。ワープホールで反撃される可能性が高い。ステラも交戦してるから分かるだろうけどあいつも一つ特殊な針を扱い、十字に変化させる能力を持っている。もしくはそういう類の武器だ。」


「あ。」


「どうした?」


「それ一本だけじゃないわ。2本投げて…片方が私の腹部に刺さったのよ。ワープホールと組み合わせて使うからかなり厄介な相手だと思う。実際にミーナ様がかなり重傷を負っていたから…」


「2本だと?…気のせいかもしれないが…どうも2本扱えるような感じではなかったな。もしかしたら針を扱うには条件が必要なのかもしれない。思えば最初から穴と針を使って戦えば自ら戦場に立つ必要もなかったのに…」


「何か条件があるのかもしれなけど。多分彼女は2本しか扱うことが出来ないと思う」


「何故?」


「さっきも言った通りに私たちに向けて2本の針が投げられた。一本は命中したけれどもう一本は地面に剣で落とされたの。でもミーナ様からの攻撃を防御する際に針を使っていた。そしてその針を使うときに地面に落ちた針が消滅したのよ。とは言っても確信はないのよね。」


「…困ったな。ワープホールばかり考えていたから針の対処なんて考えもしなかった。…穴と針の組み合わせが此処まで厄介なものになるとはな。多分俺より穴の扱いは熟知しているし…距離感の面でも性能面でも…やはりワープホールの区別がついているってことが何よりも厄介だな……クソ。」


 アースは頭を抱えて大きなため息を吐いて舌打ちをする。ブラックライトペンで一つずつ穴を区別していくのが確実なのだが2体1だと余裕もあまりない…上に時間がかかりすぎる。


「…焦らないでいいのよ。まだ時間はあるから…明日にしましょうか?」


「いや、打開策はあるんだよ。ただ…時間がかかりすぎる。」


「…そういえば気になっていたけれど…どうやってこの穴の種類を見分けられたの?」


「ワープホールはブラックライトペンの性質を跳ね返すんだろうな。それで文字を書けたんだ、それでαβγδと差別化した。」


「ブラックライトペン?紫外線ペンの事か?」


 ここに来て初めてステンレスが口を開いた。




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