第二章 59 利己主義者たちの協力プレイの開始
誤字脱字あるかもしれないです。
短い上に会話多め。
冒険者ギルドを出て東の王都へ行く前にまずは事務所へ戻ろうとしたところでウィーズの腰に付けた携帯電話の音が鳴る。ウィーズは通路の端の方により、壁に背を預けながら軽い感じで会話をしている。
アースは会話を終えるまで腕を組みながらウィーズの隣に立ち、待つ。敬語で話しつつも時折見せる屈託のない笑みを浮かべる様子から心から信頼している相手だという事が分かる。相手はウィーズの師だろう。電話を終えて一つ咳払いをしてからアースに話しかける。
「ステラさんとミラさんの二人はもう東の王都へ向かっているみたいです。ミーナは明日早朝に東の王都へ向かうようですよ。屋敷には連絡してあるそうです。」
「なら早速向かおう。徒歩で急げば3時間程度で行けるはずだ」
そう言って歩き出したアースにウィーズは「冗談キツイよ」と制止する。
「もう17時過ぎだよ?3時間も歩いたら日が暮れちゃうでしょ!」
「それもそうか。」
「せめてタクシーで行こうよ!お金がないなら僕が奢るからさ!」
「ごめん、ありがとう。本来なら俺がこういう手配もするべきなのに。後日タクシー代と御礼もキッチリ渡すよ」
「いいよ、気にしないで!…それじゃあついてきて、知り合いの所で乗っけてもらうから」
そういうとウィーズはアースを連れて東の外れの方へと向かう。ウィーズは目的地にたどり着き、アースに外で待つよう指示して事務所の中へ入る。奥の方に見える隣接された大きい厩舎から馬が顔を覗かせている。タクシーはタクシーでも馬の方か。アースはその厩舎を見つめていると男が一人馬車を御して事務所の前で止まる。
同時にウィーズが事務所から出てくる。アースはウィーズと共に御者と軽く挨拶を交わす。荷台に乗り込むと、馬は走りだし、東の王都の方角へと走り抜ける。
「そういえばウィーズはなんで『名誉』英雄なの?」
「ああ、本来英雄っていうのは手の甲に『覇』の文字が浮かび上がるんだ。そこに至るまでに必要な過程がどういうものなのか分からないけど、僕以外の正規な英雄はみんなその覇の証を持っているんだ。ほら!僕にはないだろ?」
アースはウィーズの手の甲を見つめながら続けて質問をする。
「それでも“英雄”と呼ばれる位にはそれなりに理由があるんだろう?」
「多分薄々勘付いてるとは思うけど、僕はこう、行動したことによる対価や報酬を求めないその姿勢がまさしく在るべき英雄の姿だと認識されちゃってさ。僕の性格上、それが英雄と呼ばれる所以なんだよね、でも覇者の証がないからあくまで“名誉”英雄なんだけどね。」
「そういう事か。ウィーズ以外にも英雄はどの位いるんだい?」
「僕含めて4人だね。僕とジェー・シップ、ニュート・マンアレイ、グリッド・ブレイ。今回の件で相談しにいくなら一番相性がいいのはマンアレイさんだね。老人会と最も仲が悪いから…あ~…でも南地域関連の事しか興味示さないからやっぱ無理かもしれないなぁ…。」
「へぇ~。」
「アースは、さ。東の王都出身なの?」
「名もない最果ての村で育ったよ。」
「えっ…そうなんだ」
「何か疑問に思う点でもあったかな」
「あ~いや。凄く東の王都を護ることに躍起になってるからさ。やっぱりさ、祖国ってのは全力で守りたいのかなって質問したかったけど。まさかの辺境の無名村出身だとは思わなかったからさ…なんか…親近感湧くなあ…僕も回避できる惨劇は全て回避したいからさ。」
「はは、俺はウィーズと違って降りかかる火の粉を払うことは出来ていないからね。時間遡行がなかったらとっくに死んでるよ。」
「あーそれそれ。時間遡行ってどのくらい遡れるの?」
「今日の14時過ぎに戻るだけだよ。いかにどれだけ日数を過ごしていてもその時間に戻る。使用できる回数は人生で4回。内4回使ってんだ。だからこれがラスト。(本来は5回だが辻褄を合わせる為に4回と偽っておくか)」
「え?背水の陣?」
「そう。だから俺はこの人生に全てを賭けている。」
「…僕も…実戦経験は乏しいし武器の扱いも拙いけど…全力で応えてみせるよ。卑屈になんかなってられないや」
「ありがとう。」
アースの感謝の言葉をウィーズは目を瞑りながら心に確と刻み込む。そう、二人の会話が弾んでいるうちに東の王都の門までたどりつく。二人は御者に礼を言い、別れを告げる。すっかり薄暮れになり、街灯が街を照らし始める。ウィーズはアースと並んで通路をずっと進んで屋敷へと向かった。
そして屋敷の前に立ち、一度深呼吸をしてからベルを鳴らす。どかどかと駆けて来る女王の足音は聞こえずお淑やかな佇まいのメーリアさんが出迎える。
今度こそ、誰かの死で誰かが泣かないよう、誰も死なないよう、行動する。
しばらく会話多めなり~




