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キルライフ  作者: 沼郎
第2章 嘘を吐いた自己正義達
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第二章 48 今夜、女王は嘘を吐く。

寝る前に書いたので誤字脱字あるかもしれないです。

殆ど言い争いの話なので嫌な人はいやかも。


 女王様を担いで逃げる時に投げたリアナの針はステラの腹部を貫いていた。そして十字変化により深く刺さった針は抜くことが不可能になってしまう。


 ステラは血を吐きながら派手に倒れる。その隙を突いて女王はミーナの元へと向かった。メーリアが「いけません女王様」と叫んでも足を止める素振りも見せなかった。メーリアはすぐに倒れたステラを背負い、女王に背を向け廊下を走る。


 その行動にステラは意識を朦朧とさせながらも疑問を抱き「なんで…?」と問う。メーリアはその問いに答えず、「再生薬を取りに行きます」とだけ言った。もうこれ以上「仲間を失いたくない」んだと。


 メーリアはステラを抱え、テアとリアスの居る中庭まで急いだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 レアは急いでミーナの元へ向かうとアースがそこに突っ立っていた。まるで信じられないといった表情でミーナの死骸を見つめている。そう、延命されて生き残ったミーナは結局死を迎えてしまった。アストレアはその姿を見て膝をついて泣き崩れてしまう。


「女王様、よかった生きていてくれて」


 レアの姿を見つけるとアースは一安心したようにそう言う。それが癪に障ったのかレアは今までじゃ考えられない怒りの表情でアースを睨む。なにが「もう泣かない為に来た」のだと。だがその怒りがそもそもおこがましいこともすぐに理解する。ただ虚しさだけが過ぎていく。


「ごめんなさい…少しだけ二人きりにさせてもらってもいいですか…?」


「リアナとオーファンは殺しました。現在この屋敷に敵は居りませんので気が済むまでどうぞ。」


 アースは気を使った風を装って『皮肉』を言った。どうやらアストレアにもその意図は感じ取れたようで嫌な顔をする。まるで最初からアースの集団で固まり防御を徹底する方が正しいとでも言いたいかのように。


 レアの涙に写る自分の顔は相当嫌味な顔をしていたと思う。だがやり直すことはできない。やり直してしまったら次の物語は目覚める前にステンレスに殺されてしまうから。


 アースが立ち去ろうとしたとき、レアはミーナの剣を拾った。アースは咄嗟にレアの腕を掴み剣を奪い遠くへ投げた。


「なんで死のうとした?そういうのは冗談でもやめろ」


 アストレアは驚くほど冷静な声で、落ち着いた声で回答する。「あなたにはわからない」と。「あなたには私にとってミーナの存在の大きさが理解できるわけがない」と。


 軽蔑の意味も込められた声なのだろうか。だが、寂寞に包まれたこの場だからわかる。その声はとても震えている。どんな感情を込めて喋っているのだろうか。悲しみ、憎しみ、怒り、後悔、虚しさ、そのどれもが入り混じった混沌の面罵。


 とまらないアースへの怒りとミーナを失った悲しみの呪文。まるでミーナがいない世界になど価値を見出せないものなのだと。それが最も正しいことなのだと。


 アースは止まらない戯言を吐くアストレアに「まるで呪いだな」と呟いた。


「まるでミーナがいなければ自分は存在しなかったみたいな言い方をするな。幼少期にお前とミーナが出会ってなかったらお前は存在しないとでも?」


「しない」とキッパリ否定した。アースは呆れる。


「するよ、もしお前がミーナと出会ってなかったらどうだ、そんな精神状態じゃあ今度は誰に依存した?メイドの誰かか?ギレオさんか?どうなんだ?」


「うるさい」とアースと目を合わせない。アースは更に失望する。


「お前は一人の人間として不全なんだよ。不完全とかそういうんじゃない。生物として不全なんだ。手を失ったり足を失ったりして不自由な生活をしている人、あれは不全ではない。彼らは物を使って必死に生きようとしている…まともな人間だ。」


「うるさい」と今度は大声でアースの目を見た。アースは言葉を吐き続ける。


「四肢欠損して人の手を借りてしか生きられぬ人間だってその精神はまともだ。欠損具合に甘えず生活しようとするその姿勢は最早まともな人間よりも優秀だ。生物として優秀なんだ。」


 レアはアースの目を見続ける事が出来なくなって目を逸らす。


「欠落している。お前はまるで幽霊だよ。俺の目にはお前は死ぬ前から死んでいる。とてもじゃないが生きているようには見えない。この屋敷で彷徨い続けミーナに憑りついた悪霊にしかみえないんだよ」


「あなたなんかに私の何が分かるの!?」と怒鳴る。アースは「本来…」と言葉を吐くのを止めない。


「本来こんなことを言うのは俺じゃあない。俺が言うべきじゃあないんだ。なぜなら俺は部外者だから。屋敷と深い関係でもないしこの国に長らく住んでいたわけでもない。ここにいるメンバー全員と出会って数時間だ。ましてやお前たちの関係性などさっぱり知ったこともない。お前の母親も姉もミーナもギレオさんもメイドたちも」


「…じゃあ尚更」


「「じゃあ尚更首を突っ込まないで?」か?逆だよ、首どころかがばがば、この国はがばがばなんだよ。隙だらけなんてもんじゃあない。最早国として機能していない。ここは女王が統治するから国なんだろ?」


「…」


「お前がトップなんだろ?死んでどうするよ?自分で考えないでどうするよ?おい。」


 アースは不貞腐れた表情で俯くアストレア女王様の胸倉をつかむ。


「母親がここまで積み上げてきたこの国とその民はどうなんの?国民総勢何人いるのか知らねえけど、どうすんの?そいつらはこの国で生きるって決めちまったんだぜ?そりゃあ女王さまについていくって決めたから。その女王が「ミーナちゃん死んだので自殺します」?戯言も心の中だけにしとけよアストレア!!」


「…殺せば?」


「人間を舐めるなよ幽霊風情がァ!!テメーの命生かす為にミーナは死んだんだろうがッ!テメーが敵が襲うような隙を作らなきゃこんな事態も起こらなかっただろうが!!テメーを信じてついてきてくれている国民を裏切る行為が死だ!凛々しく民衆の前に堂々と立てずしてどうして女王様が務まるってんだよクソアストレア!!」


 アースはそれだけ罵倒するとアストレアから手を放して投げた剣を拾ってアストレアの目の前に置く。


「でも、それでも死にたいときは死ね。勝手にしろ。あくまで俺は部外者だ。女王の行動にとやかく指示するつもりはない。死んでも死ななくても俺はお前を一生軽蔑する。」


 そう言い残してアースはこの場を立ち去った。





 





アースが行った言葉は本来はギレオやミーナが言うべきだとアース自身そう思っています。

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