第二章 43 殺人鬼の嘲食 4 ーオーファンホールー
花粉症に悩まされながら書いたので誤字脱字あるかもしれないです。
オーファンは体を倒して弾丸を避ける。『δ』はない、のか。もうすぐαが再使用可能になる。それだけは避けなくてはならない。アースはポケットから弾丸を1発取り出して銃に込める。
「クソ野郎が…!6発以上あるっつうのかよぉぉぉ…!!」
「当たり前だろ、じゃなきゃあ最初に3発も放つわけねえだろ間抜け。」
アースが引き金を引く前にアースの持っていた通信機に『トン』と指を立て空洞の何かを叩き音を響かせている音が3回連続で続く。言葉が発せられることはなく、オーファンは一度通信機に目をやり、息をのんだ。一瞬こちらに不都合な事態が起こったのではないかと危惧したがオーファンの表情を察するにそうではないらしい。
アースはその都合のいい事態を把握するためにあえて足を狙い銃弾を放つ。オーファンは避ける動作をするも結局足に弾丸が被弾し、反射的に小さな悲鳴を上げる。多分もうαは使用できる。これはもうリアナの能力がワープホール&変装で間違いないな。
あそこまで正確に穴の位置を指定できたのはリアナに屋敷全体を見渡せる別の能力があるかなんらかの方法で人の視界をジャックする能力か。おそらく後者である可能性の方が高い。屋敷全体を隅々まで見渡せるってならγの位置、死角から俺に向かって電撃を放てるはずだからな。
「アーステメェーーー!!ルールを破ったってのは卑怯じゃあねーのかよォーー!?」
「この期に及んでくだらん戯言吐き幕を閉じるつもりか?」
オーファンはその言葉を聞いてため息を吐く。そして壁に寄り掛かり人差し指に電撃を溜める。その姿を見てアースは銃に3発弾丸を込める。アースの不死性をオーファンはよく知っているはずだ。だが間抜けな奴ならやりかねない、無駄を理解しながらも電撃を放つって行動を。
「はぁ…はぁ…待て、アース…」
オーファンは電撃の指先を手首のない腕で隠す。そして息を切らしながらいやらしい笑みを浮かべる。
「小さい…ワープホールを作った。俺の相方はどうやらアース…てめーの仲間の一人を人質に取っている。この指先の電撃がその人質にぶち込まれたくなかったらその銃をおろせ…脅しじゃあねえぞ…」
「お前バカだな。その小さいワープホールを巨大化して自分事逃げればいいのにわざわざ敵にそんな提案を持ち込むなんてな。俺はお前が思っているほど優しくないぜ」
「手首もねえし…血も結構失った。逃げるには健康状態を損ない過ぎてんだ…アース、落ち着け、これは脅しじゃあねえんだ…取引だぞアース…」
「腕を上げろ、妄言を吐くのもいい加減にしろよ。」
「俺は一歩線から身を退いたんだぜ!ルールはちっと暴言だったからなあ!信じないってなら引けよ…引き金をよォォ…!でもお前は分かんだろ?電撃の速度と弾丸の速度…どちらが速いかをなァ?」
アースは少しの沈黙の後に銃弾を外へ向けて3発全弾撃った。そして銃を投げ捨てる。だがオーファンは端から取引をするつもりなどなかったようで銃を捨てた事により自分が優位だと確信してワープホールを出現させる。
そして両腕を広げて小さなワープホールがないことを見せつけ高らかに下品に笑う。アースはワープホールから距離を取り、壁に張り付く。オーファンがこの状況を作り出したってのにアースは何故表情を一つも崩さない。だが、次第にオーファンの身体に痛みが走っている事に気が付く。
ワープホールの中から3発の銃弾が現れオーファンの心臓に向かって弾丸が命中していたのだ。血を吐くオーファンにアースは人差し指を立てる。
「1%だ。本当に小さいワープホールがあり、俺と取引するつもりだったのならと…考えていた。でも99%はこういう結末を予想していた。清々しいくらいに同じ未来だよ。信用していたんだ、お前の嘘と裏切る確率を確立させる言動を。」
「どう…して…だ…!!」
「思考を持たぬ物質は何故同じ文字列以外の穴から出ることができるのだろうか。一番の謎だった。色んな繋がりを考えたがいまだに完全に分かってはいない。だが、球体から正確に俺を撃ち抜くあのエイム力がとてもランダム性には思えない。そこで考えてみたんだ。さっき…お前の右腕を切り落とした時にガラスをγに投げ入れてみた。」
アースは服をめくり、自身の腹にガラスが突き刺さっているのを確認させる。
「γに入れたガラス片がαから出てきたんだ。勿論俺がお前の腕をそぎ落とししているときだよ。αとγは繋がっている。お前が一番焦っているときに正確にαに出てきたんだ。普通ランダムで優先順位つけるなら廊下のγだろうにさ。そこで俺は理解したんだ。穴に入った物質の移動先は穴に一番近い者の元へと向かっていくってね。」
オーファンは全く意味不明といった表情をするのでアースは馬鹿にするかのような表情で簡潔に説明する。
「理解できてるか?オーファン。捨てたと思わせた弾丸3発はγに向けて撃ったんだ。仮説を正確な物へしたかったというのもあった。予想通りお前はリチャージされたαを逃走する為に目の前に出現させた。だから必然的に距離の近いお前に弾丸が命中した。簡単なことだ。そして同時に俺の仮説は立証されたって訳だ」
アースのその言葉を聞くと唸り声を上げて四方八方に電撃を放つ。その電撃のどれもが歪の形となり、真っ直ぐに飛ばすことが出来なかった。次第に乱雑に放たれる雷撃の威力は弱まっていき、唸り声も止んだ。
アースは無言のまま通信機の電源を入れ、『こちらアース。片方の男は逃した。返事は必要ない』と淡々と語る。
殺したとなればリアナは逃走状態に入るかもしれない。あえて逃したことにしてリアナの動向を探る。最も、視界ジャックされていたなら無意味なのだがな。
アースは軽い溜息を吐いて服で手の血を拭う。外に鳴り響いていた心臓の鼓動は動きを弱めていく。すると次第に体を動かす熱は痛みへと戻りだしていく。体に激痛が走っていることを理解はしているのだがなんの感情も抱くことが出来ない。
薄々は感じていた。俺はこの短期間で…ありえない程成長した。死を躊躇わず、異常なまでに生へ執着するおぞましい脳がよりアースを加速させていくのだろう。死を超える度に俺は俺を遠ざける。人と相対すればするほど人である事を忌み嫌う。無意識がそうさせる。
心臓の鼓動は戦いの鼓動なのだ。痛みは熱エネルギーに変換され、壁を壊す為の思考の糧となり、感情の行く先が力の根源となる。俺は今、どんな攻撃を食らっても死ぬことが出来ないように感じた。
アースは消滅しないワープホールを暫く見続けたあと、部屋を後にする。
誤字修正
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■暗闇装填電撃の能力 1(1)
所有者 オーファン・ロック
・長時間一定の光度を下回った空間にいると帯電し始める。
・帯電可能秒数は手の甲に刻まれる。最大999秒。
・暗闇の中にいる分にはこの数字が減ることはない。
・ある光度を上回ると数字が1秒1カウントで減り続ける。
・せっかく貯めたカウントも24時にはすべてリセットされる。
・能力はまあまあ強いのに本体が自身の肉体を過信したせいで馬鹿な事に帯電もせずアースと出会う事になる。馬鹿で阿呆で間抜けで非常に残念である。




