第二章 38 死者の告白
勢いで書いたので誤字脱字おおいかも
無線機の説明追記。
一部誤字訂正
ミーナの言う通り、俺たちはあくまで部外者だ。その決定を変える事を強要することできない。ステラだけ不安そうな顔をしている。こうなった以上、俺も全力でその作戦通りに実行する。
「まだ何かアースの作戦について言い足りないことはないのー?」
「ない。ミーナの言う通り俺の作戦の利点はあくまで防御だけだ。総合的に見て最初から用意された作戦の方がいいのだろう。だからといって不満がない訳ではないぞ。ただ女王様が決定した事実に背くことはない。俺は俺でこの作戦に死力を尽くす。」
「だってさ女王様、うれしいねー。」
女王は消え入るような震えた声で礼を言う。これから自分を殺しに来る人間に恐れているのか、ただこの場に緊張しているのか。
「あ、ありがとうございます…」
「では作戦の内容を話しますか…と言っても本来アース殿とミーナ殿の作戦をどちらにするか決める事に時間を割くつもりでしたので…こんなに早く済むとも思っていませんでしたし」
悪意のないギレオさんの言葉に女王はさらに小さな声で「ごめんなさい」と言う。前回の印象とは打って変わって借りてきた猫のような状態だ。おてんばなイメージがついてたんだがな。
「大丈夫、大丈夫です、れ…女王様。さっきも言った通り俺の作戦の利点の話は前作戦にかなり劣っている。素人の考えを採用するよりも遥かに賢明な判断だと言える。それに決めるだけにダラダラ時間を使ってる暇もないし…ですし…です。」
「あ、あ、はい…はい、頑張ります、すみません…」
「それでは作戦内容を伝えます。今回早めに16時半に夕食をとったのは睡眠時間を少しでも増やしたいと思ったからです。夜18時から23時あたりまで睡眠時間を取り、死が始まる明日の24時に備え最低でも一時間前から巡回を始めようと思います。丁度偶数10人いるので2人1組で5組作り巡回をしてもらいたく思います。」
ギレオさんは屋敷図を出し、名前の書かれた磁石を使い、屋敷の巡回範囲を決める。
「まず戦闘できるアース、ギレオ、ネム、ステラ、ミーナの5人と組む非戦闘員をこれから決めようと思います」
「亜人のメイドさんは特に狙われやすいだろうな。そう考えるならネムさんは非戦闘の括りに入れるべきではないかな。まあどれくらい戦えるかにもよるけど。」
「あたしは亜人特有の獣化が可能です。戦闘経験は豊富ではありませんが逃走の分野においてはトップクラスです。万が一襲われて勝てないと判断した場合はそうします。私自身は戦闘員の括りで問題ありません。またアースさん同様死を厭わぬ覚悟はできております。敗北した場合も死をもって情報を伝えるつもりではあります。」
「了解。じゃあ予定通りそれで組み方を決めよう。」
「はい。女王様と組むのはミーナ殿で問題ないですね?狙われやすい亜人であるリアスは私と組みましょう。」
「はい。」
本音を言えば俺は一人でもいい。だがそれで納得する人間はいないだろうからな。
「じゃあ俺はテアさんと組むことにするよ」
「え!?」
「あらー?」
テア自身は何故私なのだろうという純粋な困惑の「え!?」であり、ミーナの「あらー?」はステラと言う存在がいるっていうのにほかの女と自ら進んで組もうとするなんてあらー?いいのかしらー的なことだろう。恩を仇で返してやろうか。
…そんなことはいい、テアと組む理由は前回はテアの顔を奪っていたからっていうのが理由だ。なんの理由でテアを狙ったのか、それが偶然であるのかはわからないが組んでおくに越したことはない。
「テアさん華奢でしょ。最も戦闘からほど遠い体つきに見える。悪口じゃないがメーリアさんもリレスさんもしっかりしている。色んな意味で慌てそうな人だし、全滅を望み狙ってくるならどんくさいやつを狙ってくるだろうし。そういう人についていた方が…ね、万が一に備えたくてさ。」
「ボロクソじゃーん」とミーナ。テア自身も露骨に傷ついている。組みは重要な人物が決まると次々と決まり、その後巡回範囲もスムーズに決まり、主力がそれぞれ一階と二階に常時居るように決めた。
最終的に組はこうなった↓
戦闘組 非戦闘組
ミーナ アストレア女王 二階左全体 主力
ギレオ リアス 一階右全体 主力
アース テア 二階右全体
ステラ メーリア 一階左全体
ネム リレス 中庭
「注意すべき点は主力メンバー以外は敵と接触時、むやみに戦わず主力に連絡を入れる事だな」
「ええ。その連絡手段としてこのトランシーバーを各部隊に渡しておきます。我々も無線機を扱うのは初めてなので複数人と同時会話できるものを用意しました。一応30分毎に生存確認を行う為にも使用したいです。」
「じゃあ生存確認はギレオさんにお願いしてもいいですか?それと長い会話はきつそうですし予め簡易化意味記号でもつくっときますか?」
「あーそれいいかもー」
「まず俺から生存確認として異常なしの応答をαとしたいです。応答例で「アースα、どうぞ」…ってかんじで」
「了解です。じゃあ私からは敵と出会った場合無線機で会話もする余裕がないと思うのでβを敵と遭遇にしたいとおもいます。例として「ギレオβ」と手短に。」
「…あの、私からもいいですか?トイレ行きたくなった時にγ…とか。」
女王様が手を挙げてそう発言する。ミーナは噴き出しそうになるがアースが冷静に突っ込む。
「その点は2人で行動するので各自のタイミングで大丈夫です。トイレの報告をわざわざ無線機で言う必要もありません。まあ出来るだけそうならないよう予め済ませときましょう。俺からもう一つ、屋敷の内装に詳しい人が主になるのですがちょっとでも違和感を感じた場合はγとしてお知らせください。意識を向けるので。」
「…はい」
女王は顔を真っ赤にして俯いた。アースはそれを気にせず会話を続ける。
「あまりに多くてもあれですし、αβγの三つくらいでいいんじゃないですかね?」
「ですね。では会議も早めに終わりましたし睡眠をとっておきましょう」とギレオさんがそういうと解散の合図になり、これから各自が23時から巡回を始める事になる。みんなが食堂を去り、アースとステラだけが残る。
ステラは不安そうにアースに問う。
「でも、この作戦がうまくいかなかったんでしょう…?」
アースは静かに「その通りだ」と呟く。
「揺らがぬ事実だ。俺とステラがいなかった前世界では皆が惨殺されていたらしい。多少なりズレはあろうと運命に然程影響はしない。未来がバッドエンドってのは紛れもない死者からの告白だ。」
「…」
「でも、全力を尽くす。こっそりとだが、俺は巡回範囲を増やす。そして万が一お前が敵と邂逅したり、異常が少しでもあったら俺に連絡を入れてくれ。記号はδだ。主力が勝てなかった相手に主力をぶつけても無意味だからな。」
「アースが勝てるなんて保障あるの?」
「ない。だからこそ未来を知らぬ者にとってハイリスクな俺の案を通したかった。10人がまとまれば全然まだ勝ち目があるだろう?まあ…こうなってしまった以上もうどうしようもない。次回はステンレスに殺される可能性があるから絶対に今回やらなきゃならない。誰一人欠けずに勝利をつかみ取ろうぜ。」
「そう。…もう泣かないように?」
「もちろん」
アースはそう答えて指定された部屋に向かう。意識を暗黒に落とし、眩い光に触れた時、襲撃者はナツメグを噛み砕き、肉の臭いを消して襲いに来る。前回と大きく違うのは俺が居なかったという事だ。
部屋に入るとすぐシャワーを浴びてライトが付く時間を23時に設定し、ベッドに倒れて目を瞑った。
α→異常なし、生存しています
β→敵と遭遇
γ→異常あり、警戒せよ
δ→敵と遭遇、アースが来い。
※δに関してはアースとステラ間でしか通じない。




