第二章 29 感染爆破と流転の塔 6
[決着って…こっから逆転する術はあるのか!?]
アースは静かに2本指を立てる。「お前は俺を殺すのに時間を掛け過ぎた。」と呟き、一歩前に出る。
『術はない…だが2つ解明した。奴には肉片を爆破出来ないってのと一度爆破した物を二度は爆発できないってことだ。だから奴は敢えて時間を掛けて俺を逃がしつつ、着々と俺の体力を削り続けた。同じ場所で戦い続けることは奴の能力の正体がバレて俺に攻略されてしまう。だからあいつは態々俺を逃がすように逃走経路を用意して任意の道を逃げ続けさせた。』
[でも今更そんなに傷付けられてこの場で戦い続けるつもりか?]
『逃げたら結局同じこと。決着は今、この場で執り行う。』
ステンレスは持っているコンクリートの破片をアースのいる方向へ投げる。同じく、アースも持っていた破片を緩やかにステンレスの頭上へ投げる。
[…連鎖爆発が始まる]
だがしかし、ステンレスの投げた破片もアースの投げた破片も爆発を起こすことなく地面に落ちる。
「どうしたよ?しないのか爆発をよ…それともできない何かが有るっていうのか?ステンレス」
ステンレスは「なぜだ」とだけ叫んで目を見開いてアースを睨む。
[なぜ…爆発を起こさなかったんだ…?]
『あいつの爆破の衝撃は自らにも被る。だからあいつはいつだって爆発を行うときは距離を取っていた。俺を追い掛けていた際も決して追い付こうとはせずに一定の距離を保っていた。あいつの能力は「爆発を起こす」んじゃなくて「爆発を起こすピンをつける」ことだ。あくまでピンをつける能力なのだから爆発は能力の作用ではないはずだ。だから自分にも影響を受けてしまう。』
[だから一度ピンをつけて爆発させた物はもはや爆弾ではなく…]
『代償の残滓だ。』
アースは再び破片を拾い上げ、「目を開いて、どれが爆発したのかしていないのかは把握している。」と呟き、さらに一歩ステンレスに近づく。
「…いっただろう。お前は時間を掛け過ぎたんだ。俺が仮定し、記憶と練り合わせ答えを導き出していくのには…十分すぎる時間だ。お前はもっと俺を予測し、徹底的に俺を追い込むべきだったんだよ。俺の行動の意外性が混乱を生み、俺に安らぎの隙を与えた。…さて、残りの手段である人体支配の爆弾でも作るといい。」
ステンレスは舌打ちをして、何も行動を起こせないままただ突っ立っている。散々連鎖爆発で吹き飛ばしたこの屋上でまだ爆発ピンをつけれる破片を探す方が苦労する。ただ時間だけが過ぎていくわけではなく、こうしてたじろいでいる間にもアースの体は着々と修復が進められる。
生を渇望するアースの体は速度を上げて重傷を治していく。
「3度、言う。お前は時間を掛け過ぎたんだぜ、なあ、ステンレス。」
「調子に乗るなよアースッ!!!」
ようやくアースに挑発され、怒りを取り戻し、今度は破片も拾わずアースに向かって歩き始める。アースもまた、ステンレスに向かって歩き出す。そして先にステンレスが腹に蹴りを入れる。だが、アースは微動だにせず、その足を掴んで宙に舞い上げ、ステンレスの脇腹を蹴る。
「うぐぅうぅぅううう!!」
アースのつま先は脾臓を潰し、膵臓を腹から突き破らせる程の威力で体ごと吹っ飛んでいく。アースはいままでステンレスがやってきたように間髪入れず、破片を投げつつ、自身も走ってとどめを刺しに行く。
ステンレスは仰向けに倒れ唸るばかりでどうすることも出来ない。そしてアースが屋上の鉄柵を手に取って先端を鋭く捻じ曲げ、振り上げた瞬間ステンレスは膵臓を千切る。そして衝撃波は発生する。アースは咄嗟に鉄柵を上に投げ、後方へ倒れる。だが、まともに人体支配の爆破を浴びてしまった。
[しまった!!膵臓を爆弾に変えられた!!]
ステンレスはまるで勝利を確信するかの様に腹から血を噴き出しながら大声で笑う。事実アースの身体のほぼすべてが人体支配の爆弾に侵されたからだ。
『…すべて想定済みだ。焦り、どうしようもなくなった人間が…冷静に俺のいく未来を考える時間なんてねぇだろうからな』
そしてステンレスはゆっくりと立ち上がり、アースの元へ近づこうとしたとき、鋭い鉄の槍がステンレスの頭上から入り脳をぶち抜いて太ももを貫く。串刺しという表現が最も似合う状態になる。
「お前ができる行動は人体支配の感染爆破しかなかったんだよ。お前は誘導され、そうせざるを得なかった。お前は勝ちを確信したんだろう、その爆弾は最後砦で…俺は一度もその爆弾の攻略法をだしていないから。」
ステンレスは意識を失い、屋上から倒れるように細道に落ちる。アースは人体の他人に操られているような感覚が無くなると立ち上がり、世界を見渡す。
『これで終わりではないのだ。オールディの問題解決と暗殺者の特定を行わねばならない。』
淡々とそう空欄に告げ、来た道を戻る。
ステンレス戦 終了
■感染系能力 能力評価3(3)
所有者 ステンレス
●第一の能力 感染爆発
・その名の通りステンレスが触れた所を本人の意思次第で爆破出来る。
(時限爆弾には出来ないのが難点)
・爆発の爆風に当たった部分も同じく爆発物に変化する。
・ただし、爆発しなかったまま74秒過ぎると不発となり、爆発の効果は消える。
・一度爆発した物は24時間経たないと使用不可。
・本人から300m以上離れた場合でも爆発の効果は消える。
・この爆発には3種類の爆発方法がある。
・人体に感染爆破が付与された場合は人同士が直接触れないと爆発しない。
・生物は生物同士、無生物は無生物同士。
(純粋に爆発する通常爆弾)第一の能力の一種 ※利用する意味がほぼない。
(被弾者を操れる神経爆弾)第二の能力へ
(爆発を感染する感染爆弾)第一の能力の一種
(音反射で探知する音爆弾)第五の能力へ
●第二の能力 人体奪い使用
・文字通り、この爆破に被弾した箇所は操られる。
※本来出来る行動以外は不可能。(例 感染した箇所を壊死させた)
・ただし、銃弾を感染箇所で受け止め、無理矢理弾道を変えることは可能。
・人体奪い爆弾を受けた箇所からの爆発を起こすことはできない。
・無機物から人へはこの感染爆破が不可能で、人体の物だけ可能。(髪の毛など)
※初登場で怪我青年を爆破出来たのは拾ったコインに髪の毛を括り付けていたからである。
・厄介な事に効果は永続である。
・同じように本体から300m以上離れると効果は消える。
●第三の能力 人体支配 ゾンビ
・全身隈なく人体奪い爆弾を浴びせると人体を支配することが可能になる。
・効果は同じように本体から300m以上離れると効果が消える。
・本人の意識がある限り効果は永続。
・この能力を使用している間はほかの能力を一切封じられる。尋問に有効。
・人体支配されると意識は曖昧になり、問うと知っていることは洗い浚い吐く。
・戦闘には不向きである。
●第四の能力 ザ・サイレント
・追加効果みたいなもので、爆発の音の範囲を決めれるということ。
・その範囲外はサイレント状態になる。派手な暗殺向きの能力
●第五の能力 音爆弾
・音を爆破させ、その反射で特定の人物を探知する能力。
・一度探知したら1分間は位置がわかる。
・反響が足りない場合探知の効果も薄くなる。
・狭い場所だとより精密になる。




