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キルライフ  作者: 沼郎
第2章 嘘を吐いた自己正義達
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第二章 24 感染爆破と流転の塔 1


[…お…き……ろアースッ!!]


 けたたましい空欄の怒鳴り声によってアースはソファーから飛び起きる。


「おはよーアース。面白い起き方だねー」


 既にミーナは起きていた。奥の方に見える時計を見ると3時55分だった。前回の起床より5分ほど…はやい…のか?それよりも…今空欄の声が?


[アース!急げ!!とにかく逃げろ!]


 妙に急いでいる空欄の声が鮮明に聞え始める。


「おいおい、なんでだよ…」


 空欄の言葉が聞こえないミーナはアースが「何故面白い起き方をしたのか」と全く持って支離滅裂で意味不明な事を言う物だから困って「し、しらないよー」と答えた。


 アースは寝起きで少し理解が曖昧になっていたが56分へと時計の針が移動するのと同時に今起こっている在ってはならない状況を呑み込む。


 …何故、空欄は俺に話しかける事が出来る?答えは簡単だ。俺の近くに祖の神がいるからだ。こういう時の流れに抗った存在は今回で二度目だと思う。一度目は何回かのリセットによって俺の居場所を突き止めた褐色肌の青年。そして今回はシャレにならない祖の神。


[完全にリスポーン場所がバレたっていう訳じゃないだろうが…もしここが見つかった瞬間にお前はそれを最後の命だと思った方がいい。もう2度しか死ねなかった筈の命も今見つかる事によって次回のスタートは寝てる間に死だ。だから…今は見つからない様にとにかく逃げろ!]


『二つ、質問がある。落ち着いて答えてくれ。お前の時を戻す能力は効かない奴もいるのか?大抵の奴は記憶すら戻っている。』


[…そういう例外はいる。あくまでこの能力の発動範囲はこの世界だけだ。この世界以外から来た一部の祖の神やそもそもこの能力を打ち消す能力を持っている者には巻き戻しが発生しない。例外が現在進行形のまま時が巻き戻される。だから現状の状態(死傷部)は巻き戻して、その過程を映した記憶だけは残る。勿論例外以外は記憶諸共時に巻かれて戻る。]


『もう一つだ。祖の神が近くに居ると存在が感じられるのなら距離も感じられるのか?』


[どの距離にいても同じ感じ方だ。ただ半径2m以内にいる場合は別だ。そこから急に警告音が僕の脳内に鳴り響く]


『…そうか、ならもう腹括った方がいいぜ。多分もうこの近くだってことはばれてる。この建物から出た瞬間…俺はここから出現したことを伝える事になる。』


[…そういうことか、分かった。今、近くに居る祖の神は恐らく…]


『ボルボロスか?』


[いや、ステンレスだ。お前を前回爆破によって命を吹き飛ばしたのは紛れもなくステンレスの能力だ。だからまずこれから私が言うことを忠実に守って欲しい。]


「どうしたのー?」


 余りにもソファーから起き上がって何も喋らずにいるので不審に思ったのだろう。ミーナは不意に近付いてくる。アースは「大丈夫、早起きだからぼーっとしているだけだ」と伝えて彼女を遠ざける。


「そおー?水でももってこようか?」


「ああ、頼む」


「はーい」


[まずは、絶対に人に触れないで欲しい。奴は人と人が接触を起こした時に爆破を引き起こさせる能力を持っている。実際には人じゃなくても爆発は発生する。奴が触れたら爆破のピンがつくのだろうが厄介な事に奴の息ですら感染爆破を引き起こす。感染された爆破に被弾した物も同じように爆弾となる。何があろうとも絶対になににも触れるな。]


『攻撃面で言えばオールディよりも厄介だな…』


[相対する肉体面の強さではオールディより遥かに厄介だぞ。驚く事にお前は異様なまでの強靭な肉体や精神を持っている事を先の戦いで分かったから今はステンレスに負けるとは…思えない。が、楽勝ってわけじゃない。奴の居場所を特定してからが本番だ。]


『上を注視しながら目立たぬように裏口から動くべきか?奴の動きを待つのは感染爆破物を広げる事になって愚策だろうから…』


[そうだな…なんとかこの…ミーナに再生薬という物があるか?と聞いてくれ]


『なんだそれは?』


[体を極限まで深淵化させて再生能力を高める薬だ。お前も少なからず深淵化の才能があるんだから自分の体で体験しているだろう。もし四肢捥がれてもそれがあればゆっくり回復する。昔よりは貴重ではなくなっているだろう、言い方としては小難しいが原理としては細胞を極限まで活性化させるだけだから。]


『だから…俺も戦いの最中に傷が回復していたりしたのか。』


 アースは貰った水を二口ほど飲んでからそれとなく聞いてみる。


「ミーナさ。再生薬って知ってるか?」


 ミーナは笑いながら「知ってるよー」と答える。


「そう言うのはしってるんだねー?貴重だから完全な再生薬は国が保管してると思うけど弱い作用のならうちにも置いてあるよ?欲しいの?」


[後は散歩とか言って裏口を尋ねてくれ。ないなら仕方なく表口からでるぞ]

「一様、良かったらでいいんだけど、もらってもいいかな?」


「いいよー液体は傷口に塗ってねー」


 ミーナはポケットから小瓶を2つ程投げ、そう言う。続けてアースは「朝の散歩をしてくる」という口実を立てて裏口があるかどうかを尋ねる。ミーナは不思議そうな顔をしながら「ない」とキッパリ言った。


[アース、そろそろいこう。]


 アースは一度深呼吸をする。この扉に触れた瞬間に爆発って事はないだろう。が、念のために水の入った紙コップを一気飲みして取っ手に当たるように軽く投げて素早く離れる。案の定爆発は起こらず、紙コップはそのまま地面に落ちる。


 度重なるアースの気候にミーナは静かな声で「寝ぼけてる?」と問われるが「いいや」とだけ否定してそのままゆっくり外に出る。

 

 前回この時間には外出していなかったものの…こんな時間だというのにここまで人が多いのか。広場を覆いつくすまでとは言わないが広場を30秒間に1、2人は通る。まだ朝4時だというのに。最も大きな国らしいしこれが普通なのか?でも昨日はここまで人通りは多くなかった。…怪しすぎる。


 アースは気を付けながらなるべく人を避けながら歩く。いかにも人が通りたがらなそうな細道を見つけるとそこに入ろうとする。が、突如細道の脇で自販機を使っていた松葉杖を使い、包帯で腕を覆う青年が財布を落とし、小銭を散らばらせる。


「ああクソ!またかよ!」


 状態の不自由さに同情したアースは親切心と時間を天秤にかけ、少し悩んでから小銭を拾おうと手を伸ばす。


[たしかに奴が触っているから爆発しないだろうが…念のため万が一のためだ。触らずに立ち去ろう]


『たしかにそうだな。この人には悪いが…』


 アースは心に罪悪感を覚え、そそくさと立ち去り、細道を進んですぐ、後方から爆発音が聞こえる。アースは瞬時に戻り、倒れる青年のもとに駆け寄る。


[アース!!ソイツに触れるんじゃねェェェーーッ!!]


 空欄の叫びで触れずにそばによる。感染された爆破に被弾した物も同じように爆弾となる。だから俺が触ってしまうことによってさらに悲惨な状況を作りだしてしまう。


「クソッ…!下劣な野郎が…!!…気が変わった。必ず探し出してステンレスを殺す…!」



修正前 既にミーナは起きていて。

修正後 既にミーナは起きていた。

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