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キルライフ  作者: 沼郎
第2章 嘘を吐いた自己正義達
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第二章 13 生と朧の男 2


 オールディは噴き出して笑う。「銃弾を放った程度」で何が分かる物かと。そして両手を広げてアースを挑発する。


「ならよぉぉぉ!!見せてみろよ!その答えをなァぁぁぁ!!!」


 アースは銃口の方を掴み、振り上げる。そして踏み込んで思い切り振り下ろす。オールディは依然変わりなく余裕の表情でいる。本当に感謝しきれないよ、お前が『能力に自惚れている者』であった事に。アースは銃を振り下ろす。だが、すれすれでオールディに当たらない位置から振り下ろした。そして案の定コイツは防御しなかった。


「お前は無警戒だった、それが答えなんだ。」


 オールディの背後から水鉄砲を撃つステラの姿がある。意味不明だろう、不可解だろう。オールディにはな。


「…水鉄砲?そんなもので僕をどうにか出来るとでも思っていたのか?ああ…もしかして…その水鉄砲には毒が仕込まれているのか?だとしたらなァーーー!アース!やっぱり僕の勝ちだ!銃弾も!物理も!炎も!毒も!なにもかも!僕には効かないんだからなあ!!!」


 ステラの水鉄砲に避ける気もしないようだ。ステラもステラで放つのを止める気がない。アースは先程の弾丸をオールディに渡すように投げる。オールディはそれを掴み、まだ何を言いたいのか分からないでいる。コイツはこの僕に最高の武器を再び与えてくれるのかと。


「俺はハッキリと覚えている。銃口から放たれた弾丸を喰らった感覚を。熱い、とにかく火傷の感覚が鈍くずっと残っている。俺がお前に弾丸を放ってから3分ほどしか経過してないよな。」


「だからなんだ。何が言いたい」


「効果を持続出来るんなら…手を加えていないの状態のままならば…熱い筈なんだその弾丸は…だから特殊効果を持続して体内に保存しておくことは不可能という事になる。きっと無害化するんだろう。そして…その無害化も高速ではない。ある程度遅いスピードで無害化を進めている。その弾丸は微妙に熱い。つまり毒でも無害化には精々5分程度の時間を要する筈だ。」


「だからそれがどうしたって言ってんだぜアース!!」


「今!この場でステラがお前に向かって撃っているのは毒の水なんかでは断じてない!!しつこいぐらいに言わせて貰う!!テメ―はッ!それを毒薬だと断定した時点で自惚れているんだ!!揺らがせろ!オールディ!」


 突如オールディは地に膝をつき、水鉄砲から放たれる液体を弾くようになる。


「…馬鹿な…世界が揺らぐ…地面が揺れる…この効果は…似ている…とても似ている…ジョニィィィ…アルコールかァァ!!」


「到達したッ!ステラ!」

「…全く、随分と手こずらせてくれたわね」


 ステラは水をはじきだすオールディの背中に麻痺針を投げる。針は皮膚の表面から見える状態である事を確認するとアースは拳銃をオールディに向かって投げた。見事オールディの額に当たり、仰け反らせ、尻もちをつく。


「ステラ、ジョニーを探してくれないか。俺は麻痺が効く、この間にカタをつける!」


 ステラは無言でうなずき、屋敷の方へと向かって走っていく。アースは再びオールディの方へ顔を向ける。オールディは声も発する事も出来ず麻痺に蝕まれたままである。


 ジョニーの能力の話を酒場で聞いた時は冗談にしか思えなかったがオールディが地をつくほど高濃度のアルコールに数値を上げていたんだな…そして今…オールディはアルコールを吸収しない為に能力を解除してくれたお陰で麻痺を与える事ができた。俺がこれから行う攻撃の全てが通用するという事だ。


「縄で縛っても能力を発動すれば無意味っていうなら…意識を失わせる以外に方法はないよな。戦えない様にする以外に方法はない。」


 アースがオールディに近付き、胸倉を掴んだと同時に何者かが銃を此方に向けているのが見える。オールディが時間をかけすぎた時の場合にこうなるように予めなっていたんだろう。どのくらい増援が来るのかは分からないが、今の俺は何にも臆しない。


 アースは咄嗟にオールディの体で銃を構える者のいる方向を向き、防御する。


「その手を離せアース。ジョニーの命は俺達が預かっている。その手を放さねば…」


「おい、お前その言葉の意味をよく理解しろよ。その言葉で俺が揺らぐとでも思ったか?ただただお前は俺を怒らせただけだ」


 アースは人差し指と中指に力を入れ、オールディの眼球を思い切り貫く。血は軽く噴き出し、返り血がアースの顔に掛かる。今度は筋肉を隆起させ、上顎と下顎を掴み、口を裂こうと力を入れる。その行動に驚いたのか男は銃弾を放ち、銃弾はオールディの腹部を貫通し、アースの腹部へと命中する。だがしかしアースはその手を放そうとせず、徐々に唇が裂け始め、血が垂れ地に溜まる。


「そのいきだぞ。オールディを傷つけろ。心臓を貫く事も一向に構わん」


「クソ!!間に合わねえ!ティディーー!」


 遠くで銃を構える男がそう叫ぶと今度は背後からアースの背中に蹴りが入り、大きく仰け反る。だが地面に倒れる勢いをオールディの頭部で着地しようとしていた為、慌ててティディがアースの服の襟を掴む。


「きっとお前達は全員が能力者なんだろう。あの奥の奴はきっと至近距離で戦えない能力、だがお前はここまで俺に近付けるという事はオールディと同じ…至近距離でも命の保証がある能力だ。」


「それをしってどうなるっていうんだよ!おめーはこれからしぬんだよ!」


 アースは頑なに放さなかったオールディを放して今度はティディの喉元を掴む。


「ぐぁぁぁっ!?」

「無暗に大口を叩くものじゃあない。大体…お前の様な人間を使う時点でオールディの一味は底がしれるがな」


「なぁんてね」


 苦しそうにもがいていたティディはまぶたを下に引き、舌を出してそう言う。それと同時に奥の男が無造作に弾丸を撃ち始める。6発中1発だけティディの鼻腔を通ってアースの肩を撃ち抜くが、アースはビクともしない。ピークは確実に焦っている、今仕留めねばならないと奮起になっている。しかし、全弾はなっても近付こうとはせず、弾を込め直す。


「おれはむてきなんだよ!かんぜんむてきなんだ!どんなこうげきもくらわない!」


 体は大人なのにまるで子供のような口調で自慢げに話をする。こんな奴を採用するほどいまこいつらの組織はかつかつなんだろう。ここまでコイツの首に加圧を掛けてひしゃげているのに苦しそうな感じもない。息をしている感じもない。皮膚で呼吸をしているのか?だが、しかしまあ…


「そういうの黙ってりゃあいいのにな。喋りたくて仕方がないんだろう。自分の能力をさ。あの男も頭ごなしに撃っているんだな、『ティディにはくらわないのだから数を撃てばアースに命中する』とかな。あいつは能力者3人いるというこの状況に甘えているんだよ、アイツは決して考えていないぞ?『俺がどうやってオールディをこうなるまで追い詰めた』のかを」



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