表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の冒険者  作者: 水室二人
97/102

騙し騙され騙しあう その3

 その日がやってきました。

 予め準備しておいたものを、作戦に投入します。

 今後の進路を決めるために、異世界人の館で話をします。

「それでは、この世界に残るのですか?」

「はい。なんだか、頭にも矢がかかっていたみたいでここ数日のことが思い出せません。一緒に召喚され子も行方不明になっていますし、自分だけ元の世界戻ると言うのも、なんだか悪い気がして・・・」

「残って、何をするのですか?」

「折角きた異世界です。ポーションでも売りながら、スローライフを堪能します」

 アイさんと、最後の打ち合わせです。

「戻る前に、一度、召喚された場所を見る事は出来ますか?」

「何故です?」

「なんとなく、そこが元の世界に繋がっている気がするからです。この館から出ると、つながりがなくなる気もしますし、最後に見ておきたいのです」

「そうですか。解りました」

 アイさんは、こちらの要求を素直に受け入れてくれました。今までにない、やさしさを感じます。

 

 アイさんに案内され、召喚された場所へと向かいました。

 異世界人の館ではなく、王宮の地下に、それはありました。

「これが、召喚の魔法陣ですか?」

「そうです」

「凄い技術なんでしょうね・・・」

「古代の英知の結晶と聞いています」

 実際は、違うと言うことをお互いが知っています。

 この部屋に入った事で、目的が達成できました。

 探査球で調べても、王宮の中にこの部屋は見つけられませんでした。

 特殊な魔法陣で、存在を隠してあったのが原因でしょう。一度存在を確認できれば、後は簡単です。

 念のため、特殊な探索球を設置します。

「古代の人は、何故異世界人を召喚したのでしょうか?」

「恐ろしい最悪と戦うためと聞いています。今のこの世の中では、必要のない物です」

「アイさんは、異世界人が嫌いなのですか?」

「え?」

「言葉に、棘を感じました」

「失礼しました。過去に、何度も優れた技術を提供したり、恐ろしい魔物を退治したりと、異世界人の物語は、この世界の子供の憧れです」

「そうでしたか」

 彼女は、本音を言っていない。

「異世界人は、凄いと、子供たちの憧れです」

 同じことを繰り返すけど、私の質問には答えていない。そして、こちらを見てもいなかった。

「ありがとうございます。最後にいいものを見れた気がします」

 だから、私も気づかないふりをします。


 ある細工をして、馬車に乗り込みます。

 賢者の国が、ふもとの町まで送ってくれるそうです。

 豪華な馬車に乗り込み、街へと向かいます。

「状況はどうですか?」

 馬車の中は1人だけ。同じく国に残ると言った斉藤君は、別の馬車で行くようです。

「解析は完了しました。あの魔法陣に、毒針を仕込む機能はありません」

 召喚された部屋に設置した、特別な探査球で、調査をしてもらいました。

 魔法陣の解析の結果、あれは普通に召喚するだけのものでした。アトランティスのシステムそのままで、召喚イベント用の魔法陣でした。

「聖王国の異常が影響して、召喚イベントになったみたいです」

「では、毒針は誰が仕掛けたのっでしょう?」

「それに関しては、彼から話があります」

 モニターに出てきたのは、浅野君でした。

「自分自身の、情報を読み取ってみました」

 彼は、最近ものの過去の記憶を読み取れるようになりました。私達との会話の中で、召喚直後の不自然さに気づいて、試してみたそうです。

「召喚直後に、何者かに電撃を浴びせられています」

 読み取るために、色々と試行錯誤していたので、結果が出たのが先程らしいです。

「私の記録は、そこで終っていましたが、先程召喚の部屋の過去が見れないか試したら、出来ました」

 特別な探索急は、銃砲の量が多いので、可能だったそうです。

「私達が倒れている間に、粉の国の王様だと思う人が、何か魔法を使っていました」

 彼の過去視では、それを確認するのが手一杯だったそうです。それでも、一番知りたいことが判明しました。

 召還の時に、何か仕組まれていたのなら、魔法陣を解析しないと駄目でしたが、後で埋め込まれたのなら、勇気を送還するのに支障はありません。

 王様らしい人物とのことですが、国王だと思います。

 実は先程、門の側に良いてこちらを見ていました。

 その映像を、浅野君に見せて確認すると、恐らくその人物との返事でした。

「斉藤君が怪しかったのですが、どうやら違ったようですね・・・」

 私が一番妖しいと思っていたのは、斉藤君でした。変な道具を使えるみたいですし、彼には何かあると思っているのですが、毒針に関しては違うのでしょう。

「一つ、聞いてもいいでしょうか?」

「どうぞ」

「刈谷さんは、ここに残って、何をするつもりなんですか?」

 浅野君は、元の世界に戻るので、私の事を最初の名前で呼んでいます。

「スローライフと言いたいですが、色々と背負ってしまったので、それを叶えます」

 ギルドの事、機神のこと、滅んだ世界の事、色々と知ってしまいました。

「それを、貴方がやる必要はありますか?」

「そうですね。無いといいたいですが、この世界に来て、色々と命をを奪ってしまいました。その結果、呪われたり恨まれたり、色々とありました」

 一番怖いのはのろいでしたね。危うく死ぬ所でした。御魂と言う存在を内に宿してしまいましたし、無責任な事は出来ません。

「守護者として、作られた存在が狂うほどの罪を犯しました。その守護者を消滅させた責任も、取らないとだめでしょう」

「それが、貴方にはできると?」

「解りません。出来ないことを出来ると、断言できるほど私は強くないです」

「・・・」

「それでも、相手を殺さないと言う主張はしませんよ」

「え?」

「生かしておいて、後で大きな失敗に繋がる可能性もあります。私が目指すのは、悪の組織です」

「悪ですか?」

「正義の味方は好きではない。私の名前も正義でしたからね。大きっらいなんですよ」

「解りました。これ以上はなすと、ここに残りたくなります。残念ですが、これで止めておきます」

「そうですか」

 浅野君が、モニターから消えます。期間のための準備に入ったのでしょう。そのための魔法陣は用意してあります。

「綺麗ごとだけで、罪は消えませんからね・・・」

 私達の行動で、色々と狂ってしまった人の気配を感じます。

「念のために、叫んでみますか・・・」

 馬車が、途中の橋を渡ったとき、それが消えると言う事態が発生しました。このままでは、谷底に落ちていきます。


「呪ってやるぅぅぅうぅ!!」


 大声で、そう叫びます。

 馬車は、谷底まで転がると、そこで爆発しました。ご丁寧に、爆薬まで仕込んでありました。

「この状態で、無傷とは、我ながら遠くに来てしまいました」

 後ろには、まだ燃えている馬車の残骸。

 戦闘強化服を着ているわけではないのに、私は無傷です。色々と、自分を強化した結果です。

 谷底から飛び上がり、近くに控えていた仲間と合流します。

 十色、さん、奄美の3人が、そこにはいました。

「どうですか?」

「アイと、斉藤がいる」

 十色は、冷たく言い放ちます。

「となると、斉藤君はやっぱり黒でしょうか?」

 私達が見ていると、アイさんが私の偽物を貫きます。彼女も、私の行動で親しい人を失っているみたいです。

 私の偽物を貫いているその顔は、狂気に満ちています。


「この体は、中々使い勝手がいいね」

「それは、おめでとうございます」

「これと一緒に、これも処分しておいてくれ」

「はい」

 斉藤君は、そう言ってアイさんから毒針を受け取り、去っていきます。

「私は、死体に無知を打つ事に、抵抗は無いですから・・・」

 そう言いながら、偽の私の死体と、もう一つの死体に対して、何かを投げます。

「欠片一つ残さず、消えてください!」

 それは、アイさんが離れて数秒後に爆発しました。

「手榴弾ですか・・・」

 本物の手榴弾がどれくらいの威力なのか不明ですが、それなりの威力です。ただ、魔法で強化した感じはありません。

 あれは、恐らく私達の世界の手榴弾と同じものでしょう。相手には、私達の世界の武器を用意できる存在がいるみたいです。

 ネット取り寄せとか、恐ろしいスキルの一つです。

「一緒にあった死体は、賢者の国の国王のものです」

 映像を確認して、さんがそういいます。

「国王殺しですか?」

「なんとなくですが、違う気がします」

 可能性としては、精神の入れ替えでしょうか?

 斉藤君は、この体ということを言っていました。

 となると、彼は死んでしまったのでしょうか?

 あの二人は、偽物の私ということに、疑いを感じていないみたいなので、作戦の第一段階は成功です。

 毒針のでどこは不明ですが、疑念は晴れました。

 これで、勇気達を元の世界に送り出せます。





 週一ペースのゆっくり更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。



 第7回ネット小説大賞に参加中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ