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灰色の冒険者  作者: 水室二人
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猫達の癒し7

 大きな障害となる可能性の一つ、守護獣の問題が終りました。

 私が一番心配していた、十色を巻き込んでの自殺を行ったときは、肝が冷えました。

 事前ポーション、致命傷を受けた場合、その寸前の状態に戻すと言う効果があります。

 死を受け入れた守護獣は、再生される事なく死んでしまいました。

 十色が、どう思っていたのか、それが心配でした。

 あの子は、私と同じで何処か不安定な子です。今だけでも、生きていたいと思っていたことに、安心しました。


「これで、準備は完了ですね」

 作戦会議室に集まったメンバーに、確認を取ります。

 集まった全員が、肯定します。

「それでは、時間まで待機してください」

 作戦開始はあと2日。それまでゆっくり過ごすことになります。


「猫の娯楽ですか?」

 会議後に、残っていたメンバーで、雑談をしています。

「はい。今後、精霊猫が増える可能性があります。集まって、何か出来るかなと思いましてね」

 色々考えると、娯楽は必要でしょう。

 人の意思をもち、二本足で行動できる猫が、精霊猫です。徳を積めば、人型になれる猫人になります。

 猫人は、現在十色と三姉妹だけです。

 今後、メトロ・ギアにいる精霊猫は猫人になる可能性があります。

 ただ、今後増える可能性ある精霊猫は、猫人に進化する可能性は低いです。

「先のことを考えると、今から準備できるなら、準備したいです」

「コタツを大量に用意するとか?」

「コタツの中は、意外と暑いにゃ。快適じゃないにゃよ?」

「そうなのですか?」

「抵抗しがたい誘惑が、あそこにはあるにゃ。それでも、もう少し改良して欲しいにゃ」

 十色がそう言うと、三姉妹もうなずいています。

 私の私室には、猫様にコタツを用意してありますし、そこには、庫の4人は入り浸っています。

「あれだけ、入り込んでいるから、素敵な場所だと思っていましたよ」

「最高の場所は、あそこじゃないにゃ」

「そうですか」

 そこは何処と、聞こうと思いましたが、この場所で聞くことに、若干危機を感じました。最近、この感覚は当たっています。

「自由気ままに生きるのが猫ですよね、娯楽を用意する必要がありますか?」

「体は猫でも、心は人間だからね。ある程度猫視線の遊びを考えたほうがいいと思うんです」

「なるほど」

 最近、司令室に篭りがちな久賀さんが、会話に加わります。

「野球とか、サッカーとか、スポーツはどうでしょう?」

「あの手で、どうやってバットを持つと言うのじゃ?」

 その久我さんと、なぜか仲良くなっているシーリアもやってきます。

「バット、もてますよ?」

 そう言って、にぃが猫になってバットを持ちます。

「ほら」

 豪快なスイングを、披露してくれます。

「精霊猫とは、理不尽な生き物じゃ!」

 バットは、肉球に添えるだけ。不思議な力で、くっつくようになっています。

「ボールだって、蹴れますよ、それっ!」

 何処からか、飛んできたボールを器用に受け止めて、蹴りだします。

「ほら」

 得意そうに、胸を張るにぃ。その姿は、微笑ましいです。

「折角だから、異世界ならではの、遊びを考えたいものです」

「異世界野球?」

「なんですか、それは?」

「ボールを投げるのではなく、魔法を投げるとか、ベースは空中に浮いているとか、異世界らいくないですか?」

 さんの意見は、面白いかもしれませんが、無理があります」

「野球や、サッカーでは難しいですね」

「異世界レースは?」

「ドラゴンに乗って競争するとか、障害物に、スライムを使うとか、面白いと思いません?」

 これは、久我さんの意見です。

「ドラゴンレースは、考えましたが、猫向きではないですね。猫向きな、物を考えたいです」

「猫の野生を呼び起こす、狩をゲームにするにゃ」

「狩りですか?」

「そうにゃ。魔物でも機械仕掛けの獲物でも良いにゃ。ストレス解消の、遊びになるにゃ!」

 十色の目に、野生の炎が燃え上がっています。守護獣が抜けたのに、人よりも、獣よりになってしまったのでしょうか?

「小さいのは、私のせいじゃないのにゃ。魔物を倒して、速く大きくなるにゃ!」

 体の一部を見ながら、ぶつぶつと、呟く十色。その場所は、守護獣が抜ける前から大差ないような気がします。

「にやあ・・・」

 重低音で、十色がこちらの睨みながら、呟きます。

「と、とりあえず、それを少し試してみますか」

 簡単なものなら、直ぐに出来るでしょう。

 実験のために、簡易闘技場を作りました。

 折角の猫だから、立体的な移動も考慮して、ジャングルジムに近いものを用意します。

 探査球を、今回は的にします。競技用に、得点を設定して色分けします。

 今回は、2対2の勝負です。

 十色とにぃのチームと、ガイアと天馬のペアです。


「勝負開始!」


 競技場は、幅50cmの細い足場です。立体的になっていて、巨大なジャングルジムのようです。

 そこを駆け抜け、柱を蹴って飛び上がり、的を探します。

 身体能力は、普通の猫より遙かに高いので、お互い凄いはや避けかけぬけ、的を破壊しています。

 元が探査球なので、移動は自由時際に空を移動します。

 ランダムに設定してあるので、予測は難しいです。

「無駄だにゃ!」

 柱を蹴って、急降下しながら十色は的を破壊します。

 殴る、蹴る出簡単に的は壊れます。

「にゃうっと」

 落下しながら、尻尾を引っ掛けて方向をかえて、にぃは的を破壊します。中々、器用な事をしています。

「ガイア、そっちに!」

「任せろ!」

 ここで自由に動き回る十色と違い、ガイアと天馬は、協力して的を破壊しています。

「俺を踏み台にしたぁ!!」

 ガイアを踏み台にして、天馬が飛び上がります。この二人も、中々良い仕事をしてくれます。

「難易度を、上昇します」

 よんの宣言の後、的の移動が複雑になり加速します。

 今の所、ガイアチームのほうが優勢です。

「蹴る反動を利用して、三倍早く移動するにゃ!」

 あるネタの諸説の一つですね。十色は、移動側を上げて、的を破壊していきます。

「にゃう、これでもまだ足りないにゃ!」

 コンビネーションが上手く嚙み合っている二人のほうが、得点が上です。十色とにぃのコンビも、悪くないですが敵のほうが、上手です。

 あの手この手と、縦横微塵に猫が駆け抜けます。

「これ、見ているだけでも、面白いですね」

「踊っているみたいで、可愛いのじゃ」

「踊ると言うのも、面白いかもしれませんね。猫体操とか、猫踊りも考慮しましょう」

 勝負の最中でも、意見の出し合いは続きます。


 勝負の結果は、ガイア&天馬チームが逃げ切りました。

 この様子は、動画として保存され、後ほど公開されることが決まっています。

 元ギルドマスターの、猫神様イベントが、終盤に差し掛かっているみたいなので、猫教が成立したら、広める予定です。


「ぐるるるるぅぅぅぅ・・・」

「変な声で、唸らないでください」

「にゃうぅぅぅぅ」

「結局、唸るのですか?」

「にゃう」

 すねた十色は猫のまま、コタツに入り込んでいます。

「勝負は、時の運ですよ」

「違いにゃ。守護獣がいなくなって、力落ちたにゃ。計画に支障が出たら・・・」

「大丈夫ですよ、実際、当日十色の役割はほとんど無いです」

「それは、私が役立たずだから?」

「このけじめは私が付けたいだけです。一応、生き残っているのは二人で、そのうちの1人ですから」

「にー」

「異世界召喚、もっと楽しいものだと思っていたのですが・・・」

「楽しくないの?」

「どうでしょう?」

「私は、楽しいにゃ。結果だけいうと、きてよかったにゃ」

「そうですか」

 十色がそう言うなら、なんとなく嬉しいです。

「聞いてもいい?」

「はい?」

「貴方は、どう思っています?」

「楽しくしたいですね。色々と、後悔も多いですが・・・」

「そう?」

「はい」

「あと、さっきしなかった質問、して欲しいにゃ?」

「答えのわかる質問を、する必要がありますか?」

「意気地なしにゃ」

「それは、失礼しました」

「にゃう」

 その答えはここだと言うように、十色はコタツで横になっている私の上に乗ってきます。

「最高にゃ」







 週一ペースのゆっくり更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。



 第7回ネット小説大賞に参加中です。

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