冒険者殺人事件 その3
ギルドで、色々と騒動がありましたが、私達は現在殺害現場へと来ています。
同行者として、ギルドにいたネネも一緒にいます。
彼女とは、ある契約を結びました。そのことがあるので、追加で十色もこちらに来ています。
現在の十色は、完全猫モードです。賢者の国なので、姿を見られるわけには行きません。
「誰かが、見てますね・・・」
気配を探るのは、この中では奄美が一番優れています。
「方向は、わかりますか?」
「あそこと、ここと、そこです」
奄美の示す方向を、アマテラスで確認します。この辺は、外に音が漏れない無線機を使っているので、相手に気づかれる可能性は低いです。
「先日の、実行犯と思われる存在を確認しました」
メトロ・ギアの作戦室からの返答です。
「他の2箇所は、賢者の国の兵士と、ギルドの職員です」
「何故、そうだとわかる?」
「兵士には、見覚えがあります。ギルドの職員は、受付で見たことがあります」
二人の映像が、手元に表示されます。これは、網膜に直接投影されているので、他の人には見えません。
同じシステムを、ここにいる人と共有しています。
「この子が、今賢者の国のギルドの責任者です」
「こんな小娘が?」
「国王陛下のお気に入りなんだって」
「それで、ギルドの内情が国に筒抜けなのですね」
「え?」
「ここまで、私達はどうやって来ましたか?」
「普通に、歩いてです」
「そうです。その間、尾行している人はいませんでした。結構、複雑な路地を歩いたり、無駄に引き返したりして、回り道もしていました」
「無駄に疲れたにゃ!」
「一応、手間をかけてここにきたのですが、既にこちらを見ている存在がいます」
「そう言えば、おかしいです。何で、メッチェが、私達を監視しているの?」
「この場合、狙われているのは、貴方でしょう」
「なんで?」
「わかりませんか?」
ネネは、自分が狙われている事に、心当たりが無いようです。
「実行犯に関して、解りましたか?」
「解析終了です。あれは、ゴーエムです。遠距離狙撃に特化した、改良がされています」
「マスターは、解りますか?」
「斉藤一樹です」
「そう言えば、いましたね、忘れていました。ここに来て、彼が出てきましたか・・・」
同時に召喚された1人です。国に取り込まれたところまでは確認できています。
その能力は、残念ながら判明していません。
「ゴーレム製作が、彼の能力でしょうか?」
「それは不明です。解析の結果、聖作者として登録されている事は判明しています」
「そのゴーレムは、今どうしていますか?」
「攻撃準備をしています」
「目標は?」
「恐らく、ネネさんです」
「!!」
タイミング良くというべきか、悪いのか、次の瞬間、ネネの頭がはじけ飛びました。
真横でこうなると、かなり心臓に悪いです。
「奄美、煙幕を!」
「了解」
こちらが見えなくなるように、煙幕を張ります。
「我ながら、すごいものを作ったものです」
事前ポーションの強化版を飲ませていたので、あまたが消し飛んでも、次の瞬間元に戻りました。
「え!何で・・・」
「契約を、履行しますね」
彼女とは、命を助ける見返りに、こちらの組織に仲間入りしてもらう事になっています。
念には念を入れて、死んだ場合は猫にすると約束していました。
実際。彼女は先程の攻撃で、死んだも同然です。
「十色、お願い」
「にゃ」
と言うわけなので、ネネも精霊猫の仲間入りです。
「ノノと御そろい・・・けひ」
ちょっと危ない事を呟いています。ショックが大きいのもあるのでしょう。
「何か、変わった事は?特に、自分の能力を確認してください」
「あ、はい。えっと・・・」
ザックとエッジ、あの二人が殺された理由がなんとなく、解りました。
「ステータスが、物凄く上昇しています。後、スキルが一つ消えています」
「空気清浄は?」
「そのスキルは残っていますよ。お部屋の管理に最適な便利なスキルです」
ステータスが上昇したのは、精霊猫になったからでしょう。ああ見えて、人よりも数倍は高い能力を持っています。
「消えたのは?」
「暗殺です・・・」
「そっちのスキルも、持っていたのですね」
この子も、ギルドの暗殺者です。空気清浄という恐ろしいスキルを持っています。
「あのゴーレムは、殺した相手のスキルを奪う能力があるみたいですね」
「それは、危険だにゃ」
「えぇ、厄介な能力です。少し、危険ですが、捕獲しましょう」
煙幕から飛び出し、ゴーレムに向かいます。直線距離で5キロあります。
念のために、姿は隠しています。
「監視者の様子は?」
「二人とも、まだ煙幕を見ています」
「兵士は、そのままにして、メッチェとか言うギルドの女は、捕獲してください」
「ん」
それを聞いて、奄美が動きました。彼女に任せておけば、安心です。
「こちらも、逃がしませんよ」
ゴーレムに接近して、あるものを投げつます。異世界ものの定番、みんな大好きスライムです。
ただ、これは生きたスライムではありません。懐かしい玩具のスライムです。
夜店でまだ売っているのでしょうか?
そんなスライムですが、ゴーレムにとっては、厄介な存在です。
体中に付きまとい、動きを封じていきます。
「大サービスです」
大量のスライムを投げつけ、相手の体を包み込みます。
「これで、完全に隔離しました」
スライムに包まれたゴーレムは、その行動を停止します。特殊なスライムで、包み込むと、中の道具の時間を止め、あらゆるものの接触を断ち切ります。
「研究室で、このまま解析してください。特に、スキル関係のチェックを頼みます」
そう言って、ゴーレムを研究所へ送ります。
「艦長、新たなゴーレムが出現しました」
「場所は?」
「兵士の側です」
あの兵士は、ゴーレムの運搬係りだったのかもしれません。
「メッチェは?」
「奄美さんによって、捕獲済です」
「そっちは、捕虜として、営巣に入れて置いて下さい。ザックとエッジの殺害に関しての共犯者です」
「了解です」
メトロ・ギアに指示を出し、兵士の側に移動します。
奄美も既に移動しているみたいで、兵士の直ぐ後ろに潜んでいます。
「このゴーレムは、いらないかな」
ゴーレムの側に姿を現して、持っていた剣で叩き割ります。
「思えば、遠くに来たものです・・・」
一撃の下、そのゴーレムは真っ二つになりました。黒衣の鎧のアシスト機能だけでなく、私自身も強化したので、これくらい簡単に出来るようになっています。
「な、何者だ!」
「何者でしょうね?」
そう言いながら、奄美に合図を出します。
「ひゅやへ?」
変な声を出しながら、兵士は倒れます。無駄に相手を怒らすのも損なので、この場で命を奪う事はしません。
その代わり、持ち物を全部没収します。
「監視用の、道具もあるのですね・・・」
GPSみたいな、位置情報を発信する道具を見つけました。恐らく、ネネにも同じような道具が装備されていたのでしょう。
賢者の国の王様は、部下を信用していないのかもしれません。
「ふむ、それは違いますか・・・」
信用していないのではない、直感がそういいます。最近、頭の中で色々な声がするので辛い所です。原因はわかっています。御魂の声です。あれが成長して、色々と訴えかけてくるのです。
「用心深さから来る行動ですね」
何かあった時、この兵士が何をしていたのか、動きが解れば、調べる事ができる項目が増えます。
私達みたいに、空から監視している組織はありません。
ただ、動物を使って監視していたり、精霊を使役して情報を集めている組織はあります。
出来ることを考えて、防御手段を考える。
まだまだ、配慮が足りていませんでした。
ザックとエッジは、スキルを狙って殺されたのでしょう。
ギルドの情報が筒抜けになったことで、有益な能力を持っていた人が殺された。
国に属さないで、怪しい組織に参加していると言うのも、原因の一つでしょう。
身代わり人形に関しては、あれだけ複雑なゴーレムを作れる人がいるなら、道具の鑑定ができても不思議ではありません。
捕虜にしたメッチェと言う人は、九尾の狐と言うユニーク能力を持っていました。
異性を操る能力で、レベルが低いので貢物をもらえると言う能力です。
それを使い、珍しい道具を集めるのが彼女の趣味と言うことでした。
集めた道具を全部提出する事で、命を救う約束をしました。
賢者の国の国王には、体内に爆弾を埋め込まれたので、強制的にしたがっていると言うことです。
実際、彼女の中には毒針が埋め込まれていました。
これは、ギルドに対する、敵対行為になります。
なので、彼女には死んでもらいました。
メトロ・ギアから開放して、王宮に行ってもらいました。
正直に、捕虜になって集めた道具を差し出したと注げた瞬間、毒針が作動しました。
今更殺しても、無意味です。
ギルドのグランドマスターとして、今回の事は、正式に抗議しました。
現在も、揉めている最中です。
嫌がらせをするつもりだったので、このギルドの騒動は利用させてもらいます。
代理人となったフローラさんにお願いして、話をこじらせ長引かせています。
これで、Xデーまでは時間稼ぎが出来ます。
ちなみに、王宮にいったメッチェさんは、偽物です。
人形使いのナナ政策の死体人形です。
本人は、助けてくれたお返しとして、こちらに協力してくれることになりました。
彼女は、猫にはしていません。
能力は狐に由来しています。猫にすると、消える可能性があるので、そのままです。
裏切るとか、考えると面倒ですが、こちらの戦力を知って、かなり恐れを抱いているようでした。
ゴーレムの解析が、結構時間がかかっています。
バージョンアップした解析能力なら、直ぐに終わると思っていたのに、色々と複雑なプロテクトがかかっているみたいです。
マスターが、異世界人というのに関係があるのかもしれません。
時間がかかるなら、仕方ありません。
召喚されて一年目となる人は、目前です。
最後の準備に、取り掛かりましょう。
3日に1度のペースで更新予定です。
アルファポリスさんでも投降しています。
第7回ネット小説大賞に参加中です。




