黒い月 その1
異世界に召喚されて、もうすぐ1年になります。
目的の日が迫っています。
伊藤さんの協力の下、送還魔法は完成しています。
影響が一番出ない日が、召喚されて1年目の日なので、その日を待つしかありません。
ただ、待つのではなく、その後の事を考えて、色々と準備をしています。
現状、このままでも過剰と思っていた戦力ですが、ここに来て少し不安になりました。
よんが、このままでいいの?と聞いてきたのです。
あの子、未来予知とまでは言いませんが、それに近いものを持っています。
相手は、星を失って、移住可能な星を求める艦隊です。ある程度ダメージがあるみたいですが、機動兵器だけでは駄目かもしれません。
戦艦、もしくは要塞が必要でしょう。
メトロ・ギアは、変形可能な移動要塞です。
攻撃力はありますが、数が一つしかありません。結局、戦いは数です。メトロ・ギアを量産する計画もありましたが、時間と資材が微妙です。
元々、この星は優れた科学を持って、宇宙に一代文明圏を持っていました。その名残で、何か残っていないのか、改めて調査した所、先程調査に行った大陸の他にも、巨大な建造物を見つけました。
「この星が滅んだのは、悲しい事ですね・・・」
星が一つ、ほとんど滅んだのは悲しいことです。
それは紛れもない事実。でも、今は別の意味での悲しみを感じています。
宇宙規模の争が嫌になり、引きこもった人達。その趣味全開で色々なことに没頭していたらしいです。
バーチャルリアルティな世界を、現実に再現したアトランティス。魔法を科学で再現して、新しい世界を作ってしまったほどです。
他の大陸でも、色々と計画が進んでいました。残念ながら、間に合わなかった惑星防衛システムもありました。
優れたか学力を武器に、色々な星の情報を集めていたみたいです。
その中に、地球の情報もあったみたいです。
太陽系第3惑星の地球。私がいた世界です。異世界と呼んでいますが、正確には別の惑星です。
情報伝達の方法で、この星まで伝わるのに時差があるみたいで、西暦2000年はじめ頃の情報が確認できました。
アニメ作品を好きな人が多かったみたいで、それに出ていたロボットを再現しようとしていた人たちがいたみたいです。
この星にも、人型ロボットが存在して、兵器から土木作業まで幅広く利用されていました。
ある程度のもなら、簡単に再現できる技術が、この星にはありました。
なので、馬鹿らしい空想上のすごいものを再現してみようという計画があったみたいです。
その計画のひとつが、先日調査した大陸にありました。
それは、巨大な頭です。物凄く、悪人顔をしています。
他の大陸には、胴体や、手足などが建造中でした。
なんとなく、この星の人たちは、危機を感じていたのでしょう。
「これは、改良するにゃ?」
「流石に、デザインは色々といじる必要があります。素材も、色々と不足していますから、この際、私は悪となりましょう」
この星の人たちが、生きていた証。住んでいた家、建造した色々なもの。どれだけの価値があり、歴史があり、ドラマがあったのか、今となっては不明です。
とりあえず、最初は乗り物から使います。
巨大な船。宇宙船もありました。車みたいな乗り物に、飛行機と思われる物体。
それらを出来るだけ回収していきます。
集めて分解して、素材にしていきます。
探索球を改良して、資材集め専用の回収球を作りました。
そのまま使える宇宙船を、ある程度確保して置きます。
「これ、どう見ても木馬ですよね?」
残っていた宇宙船を、一箇所に集めてみました。
それらは、何処かで見たことのある宇宙船です。
目立つ白い戦艦は、どう見てもあれです。緑色の、戦艦も一緒にありました。
デザインが洗礼された、星の屑モデルです。
一緒に作業していた、北川君も呆れています。
「これは、何かにゃ?」
流石に、十色はあれを知らないみたいですね。
円盤の下に、青いユニット。
「これは、ドルギ・・・」
まさか、宇宙刑事の母艦まで再現していたとは、恐ろしいです。それだけに、この星が滅んでしまった事が、悲しいです。
折角なので、この宇宙船は研究所に保管しておきます。実践で使うには、もったいないです。
ある漫画で、オタクが戦争好きと言う意見に、戦争になったら、兵器が壊れてしまうといって、戦争嫌いを力説していたのがありますが、その考えは、今なら同意できます。
「戦力には、しないにゃ?」
「ここは無難に、箱型宇宙船を量産します」
長方形の、単純な宇宙船。それを量産する事で、戦力とします。
「この船、大気圏突破できるのかにゃ?」
「月に、転送装置を設置してあります。そこに転送して、宇宙空間に展開します」
「これは、なんだか見たことある感じだにゃ・・・」
「それは、意外ですね。結構マニアックな存在だと思っていましたが・・・」
箱型宇宙船は、一応モデルがあります。自由な惑星同盟の宇宙戦艦です。ただ、これは完全な無人機で、先端に主砲が着いているだけの張りぼてです。
一回の先頭で、1万人以上がが死ぬなんて、恐ろしい世界を再現するつもりはありません。
数合わせの道具です。集めた資材で、500隻の宇宙戦艦が完成しました。
予定通り、月の転送装置を利用して、宇宙に展開させました。
この作業は、北川君と、虹色小隊のメンバーが中心となって実行してくれました。
予想以上のペースで終ったので助かりました。
色々と資材を集めて、空き地が出来たので、そこを農地として開拓する作業も平行して行っています。
今まで、果て無き迷宮がエネルギーを奪っていたので、他の大陸は死の大地となっていました。
その状を、普通の状態に戻したので、他の大陸でも普通に作物を育てる事ができます。
色々と、やるべき事は多いですが、今後の事を考えて、この辺も進めておきます。
「流石に、この大きさですと迫力ありますね・・・」
各大陸に残されていたもの。
それを集めて、一つにしてみました。
流石に、オリジナルの大きさで再現するのは無理です。
それでも、全部を集めた結果、直径15キロと言う恐ろしいものが完成しました。
不足分を補って、これを作れてしまった自分の能力もある意味恐ろしいです。
「こんなもの、必要かにゃ?」
「戦闘と言う意味では、必要ないことを祈っています」
「戦闘で?」
「星間飛行が可能な、宇宙船になります。最悪、移民と言う結果になれば、必要です」
「にゃぅ・・・」
何か、不吉なものを十色も感じたのでしょう。
組み立てを、地上で行ったのは失敗だったかもしれません。宇宙で組み立てれば、ここまで威圧感を感じる必要はなかったでしょう。
大陸の中でも、巨大な砂漠があった場所を利用したので、存在感だけが凄く目立っています。
これは、直径15キロを超える巨大な要塞に見えます。
形は、丸いです。球形の物体に、リングがついています。色は、黒です。オリジナルとは違った色となっています。
「カオス・ブリンガーと名付けました」
「悪役っぽいにゃ」
「元は、敵側の存在ですからね。この世界の秩序を乱す存在として、この名前にしました」
その物体が、静かに浮上します。
「まるで、黒い月にゃ」
「黒き月という案もありましたが、月は日の光を浴びて輝く存在。これは、日の光を浴びても輝かないので、止めました」
「変なとこで、拘るにゃ」
少し呆れた口調で、十色はそういいます。
「稼動テストを兼ねて、星を一周しますけど、一緒に行きますか?」
「デートのお誘いかにゃ?」
「それも、いいですね?」
「にゃ!」
3日に1度のペースで更新予定です。
アルファポリスさんでも投降しています。
第7回ネット小説大賞に参加中です。




