迷宮の消える日
無名の話を聞いて、欠けていた部分がが埋まった気がします。この問題が解決すれば、この世界の安定はある程度守れるかもしれません。
「最後に、頼みがある・・・」
ある程度、予測できますが、その願いを聞いてみます。
「俺を、殺してくれ」
「いいのですか?」
「もう、疲れた。生きのびようと、いろいろと足掻いたけど、人のすることじゃない。何処かで、何かが確実に壊れて行くんだよ・・・」
死者に精神を移植して、動かすと、その人の生前の情報と混じるそうです。短時間で、色々と移り変わった結果、それぞれの人生を背負ってしまったそうです。
「真っ白になりたい、もう、嫌だ」
目の前の、巨大な肉の塊は、人以外の何かになれば、現状を変えられるかもしれないという想いから、組み立てたものらしいですが、既に意味の無いものになっています。
「この迷宮の管理者権限を、貴方に譲ります」
「解りました。その願い叶えましょう」
「ありがとう」
これで、また一つ背負ってしまいました。仕方ありません、これもきっと必要な事でしょう。
「どうすればいいのですか?」
「あのモノリスを、破壊してください」
「貴方ほどの力があれば、自分で壊せたのでは?」
「自殺防止機能がついています。自分だけは、攻撃できない様になっています」
「そうでしたか」
「艦隊の連中は、まだそれなりの戦力を持っています、お気をつけて」
「その中に貴方の大切な人はいますか?」
「いたと思います。残念ながら、長い時間の中で、色々と忘れてしまったみたいです。あぁ、時間が過ぎたことが残念だけど、これで良かったのかな・・・」
「そうですか。では、お別れです」
「ありがとう」
そのモノリスは、ただの板のようですが、物凄い量の情報を維持しているみたいです。
解析すれば、全容は判明しますが、彼の意思を読み取るようで、気が引けました。
作るだけの技術は、既に確保しています。
彼の時間は、モノリスと共に、消えてもらいます。
「折角なので、最大火力を試します」
試作5号機の最大火力を試す事にします。
背中の巨大な砲門が、変形します。上下に分かれて、後ろ向きになります。胴体中心部が展開して、巨大な魔導砲が姿を見せます。
「プラズマエンジン、稼働率を上昇してください」
「了解」
「よんは、姿勢制御をお願いします」
「了解」
「さんは、発射のタイミングを調整」
「エネルギーの暴走の危険があります。ナナ達を先に下げてください」
「そうですね、ナナ達は、戻ってください」
私の指示に従い、3人はこの場所から撤退します。
「無限大の零」
次の瞬間、物凄い量のエネルギーが、射出されました。
それは、小さくて、目視するのは難しい大きさです。
しかし、それには膨大な量のエネルギーが込められています。
それが、モノリスと接触した瞬間、辺りが消えました。空間を引き裂いて、全てを一瞬で飲み込み、消滅しました。
自分で仕掛けた攻撃で、自爆する趣味はありません。
最深部のほとんどを飲み込んで、エネルギーは消滅しました。
あたり一面は、虚無。その中に、無傷の私達がいます。
「本体に異常はありません」
「迷宮への影響は予想の範囲内です」
「モノリスの完全な消滅を確認しました」
三姉妹が、状況を教えてくれます。
「これで、ミッションは終了です。戻りましょう」
研究所への扉を開き、この場所から移動します。
「これで死ねる・・・」
無名が最後に残した言葉、不謹慎と思いつつも、せめて合体後に出会いたかったと思ってしまいました。
迷宮探索は、これで終了しました。
その結果、果て無き迷宮を支配する事になりました。現時点で、ギルドも支配しているので、この世界の裏を手に入れた事になります。
異世界に召喚されて、自由にやりたい放題できると思いましたが、中々上手く行かないものです。
しかし、これである程度の時間ができました。
作戦会議を開き、今後の方針と、やるべき事を決めました。
まずは、賢者の国に対することです。
ボロボロになった私の偽物を返却して、ジェノの改良型をプレゼントしました。
戦闘強化装甲そのものだと、パワーバランスが崩れるので、ある程度性能を下げてあります。
後、追加して、一度戦闘すると、パイロットへの負担が増加するようにしてあります。鍛えぬいた騎士でも、肋骨の骨折は防げない様になっています。これは、ある意味今後のための布石です。
果て無き迷宮は、その昨日の大半を封印しました。
この大陸の地下の部分は、今まで通りの営業です。地下資源の確保と言うのは、この世界の生命線です。
それ以外の、異空間に展開して魔法陣は消去しました。
機神を呼ぶ目印の役割をしていたので、代わりのものを月に用意しました。
目印が無くなって、これなくなると困るので、月を調査した時についでに設置したのです。
後は、星のエネルギーを吸収していた機能を停止しています。
これにより、他の大陸で、生き物が増やせるようになりました。
大陸が死の大地になっていた原因は、果て無き迷宮でした。
今後の事も考えて、大規模な農業を開始する事にします。
虹色小隊は、しばらくこちらの作業に専念してもらいます。
月の調査は、あっけなく終りました。
期待してた隠し基地は無く、機神が飛ばした宇宙船が残っていました。
これは、無人だから出来たことで、強引にこの星まで来た影響で、ボロボロになっていました。
「この船、見たことあります」
一緒に調査に来ていた奄美は、この宇宙船を見たことがあったようでした。同じ世界の北川君に聞いてみると、同じ答えでした。
機神の星は、諸滅までに移民船団を何箇所かに派遣したので、その一つが奄美達の星に行ったのでしょう。機神の存在は、色々な場所で問題を起こしているみたいです。
「確か、12の艦隊といっていましたよね」
その情報は、無かったので注意が必要です。別々の場所に向かったといっても、味方を出し抜いて行動するグループがいても不思議ではありません。
今後の方針としては、時間を待ちながら、戦力と生活の向上を目指します。
色々と、問題が起きているので、それを片付ける必要があります。
福江不明になったギルドマスターは、生存が確認できました。アルテミスで姿を確認できたので、しばらく自由に行動してもらいます。楽しそうだったので、良しとします。
製作スタッフの生き残りのルドガーは、しばらくしてやってきました。
仲間として、開発スタッフの生き残りのヒューイとシルカという仲間も一緒に合流しました。
世界を守りながら、遊ぶ事を約束して、協力者になってもらいました。
そして、一つ気になることが出来ました。
無名が消えた事で、理の魔王の座が一つ空きました。これは、アトランティスと言うアトラクションのシステムで、自動的に新しい魔王が選ばれました。
異世界の兵器を量産する火薬庫 ハク
これが新しい魔王の名前です。システムで、新しい魔王が決まるとお告げみたいな感じで伝わります。
この、異世界の兵器と言うのが気になります。
機神のようなメカを量産できるのか、それとも同じ世界の人間で、戦車などを作れるのか、出来れば早めに調べないと危険です。
特に、同じ世界の人間だとしたら、大量破壊兵器を量産と言う危険があります。
そのための保険をかける必要が、出来ました。
この世界に召喚されて、一年目まで、もう少しとなりました。
後戻りできない瞬間に備え、最後の調整を始めましょう。
3日に1度のペースで更新予定です。
アルファポリスさんでも投降しています。
第7回ネット小説大賞に参加中です。




