表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の冒険者  作者: 水室二人
81/102

入れ替わるもの

「一つ、聞いてもいいでしょうか?」

「ん?」

 更に地下へと向かう途中、大石君が問いかけてきます。

「死者の復活が無理なのに、何故機神は死体を集めるのでしょうか?」

「多分、まだ死んでいないけど、体がなくなったんでしょうね・・・」

「体が無くても、生きていけるのですか?」

「それは、実験済。私は一度、体を再構築していますよ。十色に後で物凄く起こられましたけどね」

「えっ?」

「異世界人の館にいた、壊れた偽の私は、本来の私の体です。自分を解析して、人を材料に、自分を再生してみました。自分でも、悪魔の所業と思っています」

「・・・」

「もちろん、ただ再生するだけでなく、機械的なアシスト機能をつけたり、筋力を増やしたり、骨格を強化しています」

「それで、魂は移動したのですか?」

「なんとなく、出来ると確信したのですよ。自分がここのいる、ならこっちに行こうと思ったら、移り変われました」

「外見は、変わっていないようですが?」

「いじり過ぎると、魂が移らなかったんですよ。試しに顔だけ有名俳優にしてみましたが、駄目でした。まぁ、今更モテタイという気持ちは薄れていますから」

 そう言って、私は笑います。

「同じ体を、二つ作ったら、どうなるのですか?」

「同時に動かす事は、出来ませんでした。交互に移る事は出来ましたよ。予備の体は、メトロ・ギアに保管してあります」

「それは、俺でも出来ますか?」

「多分、無理でしょうね。私には、御魂と言う不思議な力が宿ってしまいました。その影響は大きいです」

「それなら、機神の連中は、御魂と言うのを持っているのでしょうか?」

「似たようなものを持っている可能性はあります。可能性があるから、死体を集めているのでしょう」

「阻止、するのですか?」

「今は、まだわかりません・・・」

「何故?自分達が体を失ったからといって、違う場所の人たちを殺してその体を奪うというのは、酷いと思いませんか?」

「酷いと思いますよ。ただ、解らないことが多いので、現状では何もしません」

「何か、気になるの事があるのですか?」

「一度この迷宮で、無名と話した時、彼は入れ替わりをしていると言っていました」

「それが?」

「解りませんが、引っかかるのです・・・」

 他人の体に乗り移る。その影響が解りません。既に失った者を、取り返す事は出来るのか、疑問に思います。

「死んでしまったら、それまでです。後に残る人は、それを受け入れるだけです」

「ドライなんですね」

「ひねくれ者ですからね。嘘だといってよと思っても、変わらないことだらけです」

「そうかもしれませんね」

「そう言えば、大石君は前世の記憶が、あったのですよね?」

「可能性の、一つかもしれませんよ?」

「その根拠は?」

「今に伝わる話と、違う事が多すぎます」

「たとえば?」

「切腹の時、立派だったという事。無駄にさけび、死にたく無いと見苦しく泣き喚き、上様に殺されました」

 彼が前世といっているのは、大石倉之助の息子です。最年少の、討ち入り人。享年16歳の青年です。

「思えば、良金の存在が、忠臣蔵を美化の強化につながってます」

「親子揃って、君主の仇を討ち、見事に切腹ですからね。1人の君主のために46人が切腹。単純な数だと、割り切れませんね」

「老人1人のために、過剰な戦力に、深夜に襲撃。最初の事件も、大事な儀式の最中に後ろから切りつける。この部分だけなら、何処に大儀があるの?と思ってしまいます」

「討ち入った側の人間が、それを言いますか?」

「記憶はあやふやで、思い出せない部分もありますが、最初の原因を作ったのは浅野側だと薄っすらと思い出しています」

「どんなとこです?」

「火消しです。浅野の殿様は、火消しをしながら色々と火事場泥棒をしていたみたいなので・・・」

「吉良邸の時も、何か盗んだ可能性があると?」

「恐らく・・・。一番大事なものは、さぞ恩を売って手渡したのでしょう。消失の失態も、それを手渡す事で、お咎め無しにしたみたいですし・・・」

 吉良邸が焼けた時、浅野は火消しの立場でそれを停めるべき人でした。ですが、屋敷は消失。責任は重大でしょう。ただの家ではなく、公家の屋敷です。それを消し止められなかった罪と言うのは、大きいはずです。

「この辺は、思い出したら、教えてください」

「はい」


 こんな事を話しながら、迷宮を進んでいきます。

 途中、最初にあったのと同じ保管場所が3つほどありました。

 大きさが違うだけで、機能は同じでした。この迷宮は、維持と保管のために作られているのは確定です。

 維持するためのエネルギーを、星の地脈から取っているので、地脈のエネルギーが全体的に不足している様です。使用する量と、バラつきがあり、余剰エネルギーで魔物を作り、それを利用して、人のレベルを上げ、丈夫にして、素体を作る、そんな気がしています。

「ここで何をしている!」

「迷宮探索ですよ」

 ある進んだとき、他の探索者と遭遇しました。事前に、探索球で調べているので、今までは出会う事はありませんでした。

「動くな!」

 目の前には、3人の冒険者風の人達がいます。

「お前たちは、魔物ではないのか?」

「そう見えますか?」

「見えるから、聞いている!」

「聞かずに、攻撃すればいいのでは?」

 今の私達は、鋼鉄の装甲のジェノ、怪しい猫仮面と中型のロボットです。普通の人から見れば、魔物です。

「そのつもりだったけど、こいつが攻撃砂と言うんだ」

 3人は、戦士2人と魔法使いです。男2人と女1人。

「だって、攻撃したら私達、負けます。この人たち、強さがわからない・・・」

 魔法使いの女の子は、鑑定の能力があるみたいです。

「話し合いで、どうにかなるなら、それで終らせたい」

 慎重な冒険者のようです。

「そちらの希望は?」

「出来れば、見逃して欲しい。敵対するつもりはない」

「私達も、最初から敵対するつもりはありません」

「そうか・・・」

「ただ、一つ聞かせて欲しい事があります」

「貴方たちは、いつから一緒のパーティを組んでいますか?」

「ん?俺たちは、4ヶ月くらい前から一緒に行動しているけど、それがどうかした?」

「今まで話していない人。それは、本当ですか?」

「・・・」

 三人の内の1人から、人ではない何かの反応を感じます。だから、接触したのです。

「違う」

「嘘・・・」

 今まで黙っていた人が、答えを否定して、魔法使いの子は悲しそうな顔をします。

「ほら、ギルドで一緒になって、それからの付き合いだろ?」

「黙れ!!」

 そう言って、男が切りかかります。虚を疲れた冒険者は、あっけなく倒れます。

「俺たちは、ずっと一緒だった。お前が、迷宮で行方不明になったと聞いて、探していたのに、見つかって喜んだのに、お前は、何者だ!」

「何者なのでしょうね・・・」

 切られた男は、何事も無かったかのように立ち上がります。最初から、殺すつもりの無い攻撃です。

「アルと、ベルですか・・・。なるほど、なんとなく、心地よかったのはこのせいですか」

 切られた男は、何か呟いています。

「実験は、ここまでですか。そこのいるのは、あの時の人ですか?」

「あの時が、いつか知らないが、お前は無名なのか?」

「その一部ですよ。入れ替わっているだけの存在です」

「入れ替わりか・・・。その人の記憶は、そこにあるのか?」

「どうでしょう。今まで色々と入れ替わっていましたが、なんとなく何かあった気がします。今は、近くに知人がいるので、今までに無い感情を感じています」

「そこの二人、頼みがある。お前たちしか知らない、そこの人間に関係する事を聞いてみてくれ」

 状況は、混乱しています。仲間の1人は、入れ替わった人を怪しく思っていたのでしょう。

「あの時の約束は?」

「抜け駆けはなし。正々堂々、勝負して・・・」

 その問いかけに、途中まで答えて、動きが止まります。

「っく、混ざっては不味い。忌々しいが、これでお別れだ。そこの奴。俺の邪魔をするつもりなら、容赦はしない。溜め込んであるエネルギーを暴走させ、終わりにするだけだ!」

「邪魔をするつもりは、今の所無いですよ。ただ、一度話がしたいだけです」

「なら、先日の場所まで来い・・・」

 それだけ言うと、その男の体が崩れ始めます。

「すまない、アル。俺がミスをした。最後に、迷宮の地下で寂しく消えなくて良かった」

 崩れながら、その男が笑います。

 その様子を、仲間の二人が見つめています。

「艦長、今のは?」

「私の仮説ですが、体の記憶、乗り移った無名の影響でしょう。あの人の本心であり、仮初の記憶の残照だと思います」

 仮に、体に記録が残っていて、底に別の魂が入ったら、その時の魂はどうなってしまうのか。

 気になっていたことが、少し解った気がします。

 泣き崩れた魔法使いと、もう1人に事情を簡単に説明します。

 二人は、仲間を弔うために戻るといいました。

 その後姿を見送って、私達はまた進みます。

 迷宮探索は、そろそろ終りになりそうです。




 3日に1度のペースで更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。



 第7回ネット小説大賞に参加中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ