召喚されて殺されるまでの1年間(表) その6
時間は無情に過ぎていく。
迷宮で魔物を倒すたび、自分が強くなっていくのが理想だったが、なぜか強くなれない。
ゲームのような世界でも、ゲームの様には行かない。俺の場合は、手に入れた徳は研究室の強化になってしまう。
いつの間にか、研究室は研究所にバージョンアップしていた。
戦うための力を求め、色々と研究を続けている。
魔力不足を補うために、魔力の強い異世界人に協力を求めた。
高校生三人組の一人、伊藤 紗枝という子が協力してくれた、魔力は大きいけど、戦闘が苦手で、迷宮探索は消極的だった。
大学生達は、2人が行方不明になっていて、残った一人が高校生2人とパーティを組んでいる。
斉藤は、国に取り入って、何かやっているみたいだけど、ここ数日姿を見ていない。
紗枝の協力で、強い武器を製作することが出来た。
魔導銃という物を作った。
弾に魔力を込め、引鉄を引くことで、込めた魔力が爆発し弾を跳ばす。
殺傷力は高く、物理防御の高いスライムさえ、一撃で殺害できる。
研究所の機能をフル稼働させ、大量の弾を作り出し、迷宮探索の準備をする。
ほかにも、無人探索機の開発もした。ドローンを作るのは、最終的には失敗した。
迷宮内を飛行させるのは、色々と制限があり実現できなかった。
しかし、多足歩行探査機械の開発は成功した。蜘蛛型の、探索機で、現在100機が迷宮内を探索中だ。
戦力は無いが、隠密行動に優れていて、事前に情報を収集することで、探索速度が向上している。
「正義さん、これは?」
完成した物を見て、紗枝は首をかしげる。この子は、美人さんと言うよりも、かわいい系の女の子なので、こういう仕草は、似合っていると思う。
「魔導鎧の試作品だよ」
「見たことあるような気が済ますけど?」
「なかなか、マニアックなもの知っているね・・・」
「赤い瞳と言えばいいのでしょうか?」
「配慮に感謝」
「兄が、この手の作品が好きだったので、私も読んでいました」
「みんな、オタクだったののか?」
「否定できる要素はありませんね」
召喚されたい世界人、全員結結構マニアックなのかもしれない。
「迷宮を探索するに良さそうだったので、あれに出ていたのを参考に魔導鎧を作ったんだ」
デザインは、多少変えたつもりだけど、似てしまうのは仕方ない。結局俺は、独創力の無いオタクなのだろう。
魔導鎧”虐殺者”
名前に負けない、凶悪な物になっている。
自分の力の無さをカバーするために、機械によるパワーアシストを魔法と絡めることで成功させた。
全身真っ黒の死の使い。
全身を鋼の装甲で包み込み、凶悪な武器の数々を仕込んでいる。欠点は稼働時間だけど、迷宮探索で大量の魔石というのを手に要れらたので、大幅に改良できた。探索部隊が発見した、勇気の消息が途絶えた場所までは、何とかいけそうだ。
もっとも、ここまで出来るのに、半年以上が過ぎていた、
希望は無いかもしれないが、何もしないと言う選択肢は無い。
俺は、虐殺者を身にまとい、迷宮奥へと突き進む。
移動は魔法により数センチ浮かび上がり、スライドして移動が出来る。探索金情報を、ディスプレイで確認しながら、最短距離を進む。
パワーアシストのおかげで、普通に殴るだけで魔物を倒す事が出来る。
強敵には、魔導銃を乱射したり、両腕に搭載されたパイルバンカーを使い蹂躙した。
途中、ドラゴンの亜種もいたけど、背中にマウントしてる電磁砲を使い一撃で粉砕した。
数え切れないほどの魔物を倒し、その場所にたどり着く。
この虐殺者の性能のおかげでここまでこれたのだが、騎士数人と一緒にここまで行った勇気は、どれだけの強さを持っていたのだろう?
そんな子が、命を落とすということはありえるのだろうか?
その甘い考えは、現場についたとたん消え去った。
「国には気をつけて」
魔力で消えないように工夫された文字。日本語で書いてあるそれは、異世界人にしか読めないだろう。まるで、ダイニングメッセージだ。
念入りに調べたが、それ以外の手がかりは無い。
「勇気・・・」
迷宮の奥への進行は、思った以上に時間がかかってしまった。
往復で一月近い時間が過ぎた。
帰り道で、虐殺者は大破してしまった。戻ることを急ぐあまり、配慮が足りなかった。
嫌な予感が色々とあふれてくる。
この手の予感ほど、当たって欲しくないのにあたってしまう。
急いで戻ったとき、既に紗枝は行方不明となっていた。
1週間で2話ぐらいのペースで更新する予定です。




