管理者の希望
画面に映るのは、多くの動かない人たち。
動かないだけでは、ありません。画像を見ただけで、死んでいると解りました。
ただ、原因がわかりません。
「白百合隊に、連絡。作戦は中止して、すぐに戻る事。さんは、メトロ・ギアに連絡して、映像の解析を頼む」
「「了解」」
どんな危険があるのか解らないので、メンバーをいったんニャウに集めます。
今、このときに、同じ事が起きたらそれを防げるのか?
正直、防げません。
「あの死体は、どうなったのでしょうか?」
奄美の疑問に、私は映像の続きを確認しました。
しばらくすると、人型のロボットがやってきて、遺体を回収していきます。見た感じ、異空間収納のようなものを展開しています。
しばらくすると、ロボットは何処かに立ち去って行きます。
「あれは、機神でしょうか?」
「恐らく、違いますね。機神は人が乗っていた感じはありますが、今のは無人のような気がします」
映像だけでわかりませんが、なんとなくそう思います。
「さん、あの映像の中心地は解りますか?」
人が倒れた順番を調べれば、どの方角からの出来事かわかるかもしれません。
「ほぼ、同時に起きています。恐らく、上空で何かが爆発した可能性があります」
「上からか・・・」
「現時点で、その大陸に危険な成分は何も無いと判明したにゃ」
「そうですか」
「ただ、空港の地下にエネルギー反応。大陸の各地の地下に、同様のエネルギー反応を多数確認したにゃ」
「ありがとう」
「アマテラスの分析だと、その反応は、発電機らしいです。生命反応は確認できません」
「ただ、何者かが、管理しないと維持できない電力が動いているにゃ」
「無人の、大陸ですか・・・」
「人は、いないけどね、僕がいるよ」
メトロ・ギアとの通信に、割り込みがありました。
「ここまで来るとは、流石です。歓迎しますよ」
「管理者が、歓迎ですか?」
この声は、一度聞いた事があります。私と話した、管理者です。
「南極大陸のサーバーの管理者。名前は無いけどね」
「ペン太とでも呼びましょうか?」
「南極大陸を、冒険するつもりは無いですよ」
「貴方は、どの世界の人間ですか?」
「僕は、人間ではないよ。人工知能かな。君たちの水準よりも、高度な文明の遺産です」
「映像にあった人たちは、みんな死んでいるのですか?」
「その通り。一瞬の出来事で、状況を理解するまで、僕たちは100年以上の時間を無駄にしてしまった・・・」
「人工知能が、時間を無駄にする?」
「決められたこと以外の出来事に弱いですから。まさか、一瞬で文明が滅びるなんて、想定されていませんよ」
「一瞬ですか・・・」
「貴方たちのいた、遊び場以外は、ほぼ全滅。偶然助かった第2大陸のサーバーは、色々と努力していましたが、100年前に滅びました」
「原因は?」
「自分で調べてください」
「何故?」
「見て、感じてください。僕たち管理者は、所詮人工知能です。人に管理される存在です。現時点で、貴方が一番私達の希望をかなえてくれる気がするのです」
「人工知能、希望ですか?」
「違います、この人たちの、無言の希望です。絶望とも言いますけど・・・」
次の瞬間、空港の地下から、ロボットが姿を現します。先程の映像に写っていたものです。
全高10メートルほどの、飾り気の無い人型をしています。
「あの時、回収したのは20億を超える存在です。人だけではありません。全ての生き物が、死に絶えました」
伝わってくるのは、怒りと悲しみ。とても、機械とは思えません。
「可能性を、試させてもらいます」
人型の数が増えます。全部で、12機。
「3分で、倒せというのですか?」
「・・・」
返事はありません。仕方ないので、こちらも打って出ます。現状、アンディでの戦闘は無理なので、私がリバティで出撃します。
「ハッチを開けてください」
「御武運を」
組織のトップが、最前線で戦うなんて、本当は最低最悪の出来事だと思いますが、この場合は仕方ありません。今後も、こういう状況は続くでしょう。
「お手伝いします」
奄美が、生身で出撃しようとしています。
「大丈夫ですか?」
「私には、これがあります」
次の瞬間、奄美の体が巨大な装甲に包まれます。
「宇宙人の技術です」
奄美の世界の、宇宙人の技術での戦闘強化装甲みたいです。全高5メートルの、人型兵器へと、奄美は変身しました。
「AAと、呼ばれてました」
「了解。手伝って、もらいましょう」
同時に、格納庫から出撃します。
それにあわせて、相手も動き出します。
「先手必勝!」
ブースとを全開にして、相手に突撃します。
「特殊改造した成果、ここでお見せしましょう!」
前回から、色々と改良を重ねています。
腹部の魔導砲は、エネルギーの効率が上昇したので、羽の消費をかなり節約できるようになっています。
そのほかの武装として、刀を実装しました。巨大ロボに日本刀は、男の浪漫です。
「我に、絶てぬ物は無し!」
液体金属はまだ作れないので、巨大な剣に変形させるという野望は実現していません。それでも、切れ味は凄く、一刀の元、相手の機体を切り伏せました。
「私も、負けません」
AAは、高機動型の戦闘をしています。小型ですが速度が速く相手に補足される前に接近して、手刀で相手を貫きます。
「てりゃ!」
相手の腹部に手を当てた瞬間、その部分が消えてなくなりました。
「魔手のAAの名前は、伊達じゃないです!」
どうやら、そう呼ばれていたみたいです。
彼女の機体は、手に特殊な空間を作り出し、相手を消滅させる機能を持っているそうです。
「相手に接近しないと、駄目なのが欠点です」
そう言いながらも、高速で移動して次々と敵を葬ります。
「私も負けていられません」
背中の羽を切り離します。
「1人で操作するのは、難しいですね・・・」
私の思考を、リバティが読み取り、敵と認識したものを攻撃します。
「意識を拡散する訓練をしなければいけませんね」
前方に敵は4。先程から、相手は移動はしますが、攻撃はしてきません。何らかの意図を感じます。
「貫く!」
意思のある言葉には、力が宿ります。私の意志を読み取り、4枚の羽はそれぞれの敵を貫きます。
「最後は、これです。魔導砲、発射!」
最後の一機を、魔導砲で破壊します。
「12機のロボが、3分で全滅ですか・・・。ば、化け物と呼べばいいのかな?」
「それは、貴方の設計者が入れた知識ですか?」
「えぇ、どんな時も、遊び心を忘れるな・・・。忘れたいのに、忘れられない・・・」
「何を?」
「全部です。僕を残して、消えていった人たちのことも。やらないといけない事も、全部忘れたい」
「それを、私に望むのですか?」
「まだ、解らない。でも、可能性は見た」
これは、本当に人工知能なのでしょうか?
管理者は、本当に、泣いているみたいな感じがします。
「また、後で・・・」
それだけ言うと、管理者の気配が消えます。この場からいなくなったと、理解できます。
「一度、ニャウに戻りましょう」
「了解しました」
奄美は、一瞬で元の姿に戻っています。AA状態には、すぐになれるとの事。もう一つ、長距離狙撃タイプも可能との事ですが、ある理由からそれの使用は禁止します。
その後、作戦会議を再開しました。
三姉妹の検証結果、謎の現象の中心地の一つが判明しました。
同時期に、いくつ物場所で、生き物が滅びる現象が起きたみたいです。
その中心の一つが、空港の側にあります。アマテラスからの映像で、何かの物体が刺さっているのが確認できました。
上から見ただけだと、未来的なビルに見えたので、見落としていました。同じもので検索すると、世界中で確認できました。
不思議な事に、私達がいた大陸にも存在しています。
同じような現象が起きて、あの大陸だけは無事だったのでしょうか?
それを確認できれば、今後役に立つでしょう。
予備を要していなかったので、アンディは私が使うことにしました。
内部を調査する必要があるので、リバティでは無理があります。
その代わり、白百合隊は、使用したリバティの整備と宗純訓練を行います。
「我も、乗って見たいのじゃ」
と言い出したシーリアは、今回ここで訓練をするので調査についてきません。
警護役のの奄美と、猫の姿になったさんをつれて、建物の調査です。
あの建物は何なのか?
不安を感じながら、私達は向かうのでした。
3日に1度のペースで更新予定です。
アルファポリスさんでも投降しています。
次の投降は1日遅れるかもしれません。
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