表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の冒険者  作者: 水室二人
68/102

死の大陸

 空から見たそこは、廃墟と呼ぶには不思議な場所でした。

「不思議と、涙が出てきます」

 猫になって、私のひざの上にいるさんが、そうつぶやきました。私も、同じ気分です。

 アマテラスで、大まかな状況は確認していました。

 私達のいた大陸以外は、人というか生き物が確認できていません。

 人間だけでなく、不自然なぐらい生物を感じませんでした。

「艦長、指示をお願いします」

「そうですね。見とれていても、仕方ありません。この付近で、着艦できる場所はありますか?」

「前方に、街の跡があります。広場と言うか、飛行場と思われる場所があります」

「そうですか、ではそこに一度降りてみます。一号、お願いします」

「了解です。名前は、本当にちゃんと付けてくれますよね?」

 アニマルロイドの一号が、現在この艦の操縦をしています。

「一号は、駄目ですか?」

「数字の名前は、三姉妹さんがいます。にいさん達を差し置いて、一を名乗れません」

「そんな事を、考えていたのですか。そこまで優秀なAIだとは思いませんでした」

「私達の、生みの親ですよね?」

「みんなで、色々とやったからね。魔法陣を改良したり、人の脳の解析結果を混ぜ込んだりして、基礎を作ったので、知らない間に、凄いのができたみたいです」

「・・・」

「皆さんが、色々とがんばってくれたおかげですよ。よんの次で、ごうにしますか?」

「数字から、離れてください」

 ロボットですが、微妙に表情がわかるというのは、凄いです。一号に呆れられながらも、空港跡地にニャウは着艦しました。

 この大陸は、現在の日本よりも文明が進んでいた可能性があります。

 残されている色々なものは、これから調査する事になります。

「まずが、ドローンを飛ばします」

 格納庫から、数百のドローンが飛び立ちます。

 無音ヘリが進化して、ドローンとなっています。無音ヘリという名前でもいいのですが、プロペラ無しでも飛ぶ物体になったので、ヘリという名称を外しました。今の外見は、丸い物体です。

 ふよふよと、50センチほどの丸い物体が、辺りに飛び散っていきます。

「今の内に、空港の調査をしておきましょう。奄美は私と一緒に来てください」

「私は護衛。当たり前」

「白百合の5人はアンディの準備、他のメンバーは、データの解析を頼みます」

「我も、連れて行って欲しい!」

「シーリアですか・・・。奄美の予備の戦闘強化装甲貸してもいいですか?」

「駄目。あれは私のお気に入り」

 奄美のために作った、戦闘強化装甲がありますが、貸すのはいやみたいです。この子、色々と複雑な育ちだったので、甘やかしたら、甘えっこになってしまいました。

 そうした責任もあるので、今は甘やかせています。

「仕方ありません。シーリアは、これを使ってもらいましょう」

 虹色小隊用の戦闘強化服です。

「それも、駄目。あの子達が悲しむ」

 製作中の、試作品が異世界倉庫にあったので、使ってもらおうと思いましたが、奄美に駄目といわれました。

「この子には、必要ない」

 そう言いながら、奄美はシーリアに襲い掛かります。

「何をするのじゃ!」

 一瞬の出来事ですが、シーリアはそれを交します。

「確かに、必要ないですね」

 この子は、かなりの強さを持っているみたいです。冒険ギルドの切り札だったのかもしれません。

 手加減したとはいえ、奄美の動きを私は把握できませんでした。

「解析機でも、強さを全て解析出来ませんからね・・・」

 勇者と言う称号はわかっても、それを意味する事は理解できていません。

「なんなのじゃ、我にも、解るようにしてほしいのじゃ!」

 蚊帳の外になっているシーリアは、文句を言う、

「その辺も、今から説明しますよ。歩きながらですけど」

 ドローンで安産を確認した場所を、私達は歩きます。

「電力は、生きているみたいですね・・・」

 空港跡は、自動ドアが開いたり、証明が自動で点灯したりと、機能が生きています。

「色々と、おかしいですね」

 この状況は、かなり不自然です。

 過去に何かが起きて、この星のほとんどが死の大地となったと推測しています。

 文明レベルが高く、高度な設備を持っていると思われるので、過去に見た機神と戦闘なっても、撃退できるかもしれません。

 空港にあった飛行機は、正直SF映画に出てくるような代物でした。解析機で調査中ですが、かなりの結果が出そうです。

 病気などで滅んだ可能性も考えていたのですが、その可能性は低いです。

 大気に以上は無く、普通の空気があります。

 多くの人が、突然いなくなったという感じはあります。

 所々、作業中と思われるものが散乱しています。その割には、床だけが綺麗です。

「薄気味悪いのじゃ・・・」

 シーリアは、私の横にくっついて離れません。それを少し恨めしそうに見ながら、奄美は前を歩いています。

「艦長」

 奄美が私を呼びながら、前を示します。

「これは、酷いですね・・・」

 その部屋は、黒焦げになっていました。火災が起きたのでしょう。

「これ」

 焼け焦げた跡の中に、人型の空間があります。恐らく、そこに死体があったのでしょう。

「生々しいですね・・・」

 人の死になれたと思うのですが、ここで人が焼け死んだと思うと、気分が悪くなります。

「あれ?」

 焼け焦げた跡を見ると、違和感を感じました。人の形が、あまりにも綺麗過ぎです。

「死んだ後に、火災が起きた?」

 それでも、何か違和感を感じます。

 この部屋は、どうやら書類を保管する場所のようです。火の気は、無いような気がします。

 何故、この場所で火災が起きたのか、今となっては確認できません。

「少し、調べてみますか」

 探査球を使い、念入りに調べてみます。ドローンよりも詳細な調査が出来ますが、数が無いので、私が直接使用しています。

 少しの間、この場所を調べてみましたが、結局火事の原因はわかりませんでした。

 その代わり、残っていた書類からこの部屋は空港職員の娯楽室だった事がわかりました。

 燃えていたのは、本でした。電子機器が多いので、紙の本があったことが驚きです。

「娯楽室なら、タバコか、調理の不始末の可能性がありますね」

 タバコがあったかどうかは解りません。可能性の一つでしょう。

 ここで使われている文字は、どうやら賢者の国と同じ文字でした。あちらの大陸は、言葉と文字が統一されています。

 今まで疑問に思いませんでしたが、これは不自然かもしれません。

「中央司令室は、あちらですか」

 ドローンが集めた情報は、ニャウでさんが解析して、こちらの送ってくれます。

 既に空港全体の地図は完成しています。格納庫に、巨大な輸送機があったそうです。

 ただ、武装に関しては何もなかったという返事です。

 この空港だけでなく、周辺の施設に関しても、武器になりそうなのは、今の事ころ確認できていません。 軍用の施設らしいものを、遠くに確認したそうなので、そこの調査はこの場所が終ってかになります。

「白百合隊に、連絡。火事場泥みたいになりますが、安全第一で、この街にある色々なものを収集してください」

 命令後、アンディの乗った白百合隊のメンバーが、調査に出かけます。空間収納に入れられるだけの素材を集めてもらうのが目的です。

 珍しい物だらけなので、期待できます。

「ここのシステムは生きていますね」

 この大陸に何が起きたのか、中央司令室に到着したので、調べてみます。

「といっても、私は専門家で無いので、人任せになりますね」

 機械の規格や、システムがわからないので、解析機で調べます。

 研究室の中だけでなく、外で解析できるようになったので、非常に便利です。ただ、解析には時間がかかります。

 全体を調べるのは、時間がかかりすぎなので、ノートパソコンみたいなものを見つけたので、それを解析してみました。

 それは、管理室の操作端末でした。簡単な操作方法が解ったので、記録を見ることにします。

 残っている映像の記録の量は膨大で、全部確認するのは難しそうです。

 試しに、昨日と50年前の監視カメラのデータを見てみても、同じ景色が残っているだけです。

 思い切って、500年まで検索してみると、記録はありませんでした。

 一番最後の記録を再生してみると、450年前で、この空港が完成したときの記録みたいです。

 その後は、動き回る人の映像が延々と続いています。

 この中から、問題の時間を探すのは難しそうです。

「これは、なんなのじゃ?」

「過去の映像ですよ」

「過去の映像?」

「監視カメラというのが、見ていた記録です」

「我の事も、みているのかや?」

「見ているでしょうね」

 恐らく、知識ある存在が、こちらを監視してます。

「さっきの事も、見られたのかや?」

「?」

「この子、火事のあった部屋で、驚いて転んでいます」

「そうだったの?」

「見事な受身でした」

「むぅ・・・」

 見られていたとは思っていなかったのか、声なき不満で、奄美の事を睨みます。

 しかし、奄美は私達の前にいたのに、それに気づくとは流石です。

「そうか、火事のあった時間を調べればよいのです」

 娯楽室でも、火災が起きれば映像を記録してあるはずです。

 データベースを絞り込み、火災で検索します。

 その結果、同じ時期に何箇所かで火災があった記録があります。

 その時の映像は、色々とショッキングなものが写っていそうなので、時間だけを確認して、同時刻の別の場所の記録を再生します。

「これは・・・」

 正面ゲートの映像です。かなりの人が、倒れています。何が起きたのかは解りませんが、確実なのは、ここに写っている人はみな死んでいます。

「奄美、悪いけど」

「我も見る」

 私の言いたかったことを、察したのか、言葉をさえぎられました。

「リーリア、悪いけど」

「私も、見ます」

 奄美も、経歴は凄いけどお子様です。あまり見せたいものではありません。

「仕方ありませんね・・・」

 そのまま、映像を撒き戻します。数分戻したとき、変化が起きました。

「・・・」

 撒き戻しを解除して、普通に再生します。

 そこには、多くの人が歩いていました。楽しそうに歩く家族連れも見えます。

 ですが、ある瞬間を境にして、音が消えます。

 光が消えます。

 世界が消えます。

 糸の切れた操り人形のように、全ての存在が、その瞬間、終わりを迎えます。

 記録は、今から399年前。

 過去の記録とはいえ、現実にあった出来事です。

 これだけでは、何があったのかはわかりません。

 衝撃の大きさに、私達はしばらくの間、動けませんでした。







 3日に1度のペースで更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。


 オーバーラップWEB小説大賞に、応募してみました。

 第7回ネット小説大賞に参加中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ