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灰色の冒険者  作者: 水室二人
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もしも、過去に戻れたら?

「これはいったい、どういうことですか?」

「ん?」

 部屋に入ってきたメイドさんは、目の前の出来事が理解できていないみたいです。

「見て、解りませんか?」

「・・・」

 部屋の中には、私がいます。その横には、真っ白な戦闘強化装甲2メートル程の、鋼鉄の塊です。

 その手は、メリアムに刺さっています。背中から、ざっくりと、体を貫いています。

 ですが、不思議な事に、血は飛び散っていません。

 その周辺には、吉良さんのものと思われる、装備が産卵しています。

 髪の毛が、辺りに散らばっていますが、それ以外は何も残っていません。

「私を操っていたのは、貴方の命令ですか?」

 懐から、銃を取り出し、銃口を向けながら問いかけます」

「物騒なものは、しまってください」

「これが何かと言う知識は、あるのですね」

 銃口はそのままに、アイさんに問いかけます。

「この世界にも、銃はあります。再現が出来なくて、異世界人が持ち込んだ数丁があるだけです」

「数丁ですか・・・」

「それに、私は何も命令していません。その女は、賢者の国の所属ではありません。私達の敵の国の人間です」

「敵の国?」

「聖王国は、異世界人を多く抱え込んでいる国です。受け入れることは出来ません」

「では、何故そこの国の人間が、ここにいて私を操っていたのです?」

「国の上の取り決めです。私では何も出来ません」

「そうですか・・・」

「銃口は、降ろしてもらえないのですか?」

「騙されるのは、一度でいいですからね」

 そう言いながら、私は引鉄を引きます。


 パン!


 乾いた音が部屋の中に響きます。引鉄を引いても、音しか出ません。玩具の拳銃ですから、当たり前ですが、間抜けの尻尾は、見つけられました。

「っち」

 アイさんの前に割り込んで、守るように立っているのは、浅野でした。後ろには、大石もいます。

「お二人は、吉良さんを見捨てたのですか?」

「お前こそ、あいつを何処にやった?」

「そこに転がっていますよ」

 私は、散らばっている吉良さんの装備を指差します。

「それが、何だと?」

「こうした結果ですよ」

 戦闘強化装甲に指令を出し、メリアムの生命力を吸い尽くします。あっという間に、その体は干からびて、最後は塩になって崩れて消えました。

 後には、身に着けていた装備だけが、散らばっています。

「何をした?」

「生命力を抜き取っただけですよ。こいつの命令で、私は今まで強要されてましたからね、やり返しただけですよ。魔力も、魂さえも、奪いました。こいつの、魔力は無かったけど、生命力は、凄いですよ。私の魔力となって、有効活用させてもらいます」

「・・・」

「直前に、誰か取り込んだ気がしますが、そちらも、中々でしたよ」

「貴様!」

 後ろにいた、大石が、剣を抜いて、襲い掛かってきます。

「馬鹿ですか・・・」

 私は、もう一度引鉄を引きます。

「ぐぎゃっ!」

 次の瞬間、銃から光線が飛び出し、大石を貫きます。

「殺しはしませんよ」

 光線に撃たれた大石は、しびれて行動不能になりました。

「そんな事も、出来るのですね」

 アイさんは、冷静に銃の事を分析しています。

「多くの命を奪いましたからね。おかげで色々と作れましたよ」

「それも、そうですか?」

「えぇ、戦闘強化装甲、虐殺者とでも名付けましょうか」

「物騒な名前ですね」

「多くの犠牲で、出来ていますからね。これからも、多くの命を奪うでしょう」

「そうですな・・・」

「アイさんは、何故ここに?」

「貴方は、何処まで状況を把握していますか?」

「異世界人排斥ですか?多くの人が、ここに集まっているのはしっています」

「強硬な、一部の人が、ここを狙っています」

「それで?」

「館にいる異世界人を、避難させるために来ました」

「そこの二人は?」

「彼等は、私の協力者です」

「吉良さんは?」

「お前が、殺したんだろ?」

「記憶にありませんよ・・・」

「メリアムが、命令したのでしょう。でも、おかしいですね・・・」

 禁呪を、吉良さんが発動したなら、メリアムはそのときに気絶しているはずです。

 吉良さんに対して、命令できるはずがありません。

「私が覚えているのは、誰でもいいから、生命力を奪い取れという命令だけです」

「そうですか」

「私は、どれだけの命を奪ったのでしょうね・・・」

「後悔していますか?」

「え?」

「過去に戻れるとしたら、どうします?」

「戻れるのですか!」

「一度だけ、過去に戻る事のできる道具があります」

「一度だけですか?」

「はい。異世界人が召喚された時間に戻る事のできる、道具です」

「そう言えば、他のメンバーはどうなっていますか?」

「他の?何を言っている、お前と、吉良を入れて、4人だろ?」

 浅野が、不思議そうにそう言います。

「あれ?そうでした?もう少しいませんでした?」

「4人ですよ」

 アイさんがそういった瞬間、そうなんだと心が認めました。異世界に、一緒に召喚されたのは4人。

 取り合えず、この場は合わせましょう。

「あのときの戻れれば、私は人殺しにならずに住みますか?」

「先の事を知っていれば、回避できるはずです」

「過去に戻れる道具があるとは、異世界は凄いですね」

「試作品故に、数はありません」

「効果は、確認できたのですか?」

「勿論です」

 それが出来ていれば、今の状況は無いはずです。それで、騙せると思っているのでしょうか?

「どうやって使えばいいのですか?」

「魔力を込めて、発動させれば言いだけです」

「どれくらいの魔力が必要ですか?」

「今、メリアムの生命力を取り込んだのですよね?」

「はい」

「それを、注ぎ込めば発動するはずです」

「時間がかかりそうですね」

「外の事は、私達に任せてください」

「お願いします」

 しびれて動けない大石を、浅野が担ぎ、三人は部屋から出て行きます。

「過去に戻るか・・・」

 それが出来ないというのは、実証済です。アイさんと話していると、それが出来るという機敏になっていました。

 召喚者の人数も、4人だと思えてしまいました。しかし、何故5人ではないのでしょうか?

 消えた人間は、正確には4人です。勇気、伊藤さん、天馬とガイア。

 もう1人、斉藤がいたはずですが、彼は私が知らない間に、消えてしまったのでしょうか?

 一応、マークしているので確認すると、王宮にいるみたいです。

 これも、確認する必要がありそうです。

 色々と、やるべき事が増えすぎです。

「さて、どうしましょうか・・・」

 この道具を発動すれば、この周辺の魔力が消えます。禁呪を封じ込めた道具です。吉良さんが使ったのも、これでしょう。

 予備なのか、いつも持ち歩いているのか、疑問に思いますが、これも後の課題です。

「髪の毛を、拾って行ったか・・・」

 散らばっていた吉良さんの髪の毛が、減っています。

「記憶を読み取る能力者が、何処かにいるみたいですね」

 その可能性を考えて、わざと残しておいたものです。メリアムの時、装備しか残っていない事との違いに、気づかなかったみたいです。

「自動操縦は、駄目ですよね。やるからには、自分の手でやらないと・・・」

 虐殺者に乗り込み、過去に戻る道具に魔力を注ぎます。ある程度、魔力を込めると、道具が光りだしました。

 魔法陣が膨れ上がり、光が溢れます。

 そして、次の瞬間、飛び散り、戻ってきます。

 光は、体から魔力を吹き飛ばし、次の主観道具に引き戻します。道具には、膨大な魔力が集まる予定だったでしょうが、虐殺者は、魔法に対しての高い抵抗力を持っています。最初の魔力を奪う魔法の影響は受けていません。

 吉良さんが道具を持っていなかったということは、何処かに彼女達の魔力が集まっている可能性もあります。

 魔力を集める道具がある、それを知れた事は、今後にプラスになりそうです。

 敵の情報は、少しでも多いほうがいいですからね。

「戦闘強化装甲、虐殺者起動」

 魔力を流し、機体を動かします。道具を使った反動で、意識を失って、これが暴走した。 

 後で聞かれたら、そう答えましょう。

 アイさん達3人は、近くの部屋で気絶しています。

 私がこんなに早く、道具を作動させるとは思っていなかったのでしょう。

 この場で命を奪う事もできますが、それはしません。

「まずは、外から始めましょう」

 後の世に、赤い悪魔と呼ばれた存在。その伝説は、ここから始まったのです。




 3日に1度のペースで更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。


 オーバーラップWEB小説大賞に、応募してみました。

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