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灰色の冒険者  作者: 水室二人
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召喚されて殺されるまでの1年間(表) その4

 少し、シリアスに。

 ゆっくりと、一ヶ月の時間が流れた。勇気になつかれみたいで、迷宮探索に行かないときは時々部屋に遊びきている。

 迷宮で見つけた珍しい物を何点か預かり、解析機で調べて色々な道具を作ってみた。

 最初に作った甘口ポーションが人気になり、今では貴重な収入源となっている。

 研究室のレベルは上がったけど、おれ自身のレベルは上がっていない。

 魔力の最大値を上げるため、果て無き迷宮に俺も行く事にした。

「先輩である、私の言う事を聞いてくださいね、小父様」

 勇気は、俺の事を小父様と呼ぶ。さえないおっさんには似合わない呼び方だと思うけど、一月たった今では、それほど違和感無く受け入れている。

「何か、気をつけることは無いのか?」

「今日は、最初だから私が守ってあげるから、大丈夫!」

「それじゃぁ、よろしく頼む」

 そういわれても、色々と心配だから、作った道具を色々と準備する。

 国からは、迷宮探索に行く人用に魔法の籠手を借りる事になった。これは空間魔法の魔方陣が刻んだあり、空間収納と言う機能がついている。ある程度の荷物を収納できると言う、優れものだった。

 その中に、甘口ポーションや、色々な道具を詰め込む。

「では、いくよ!」

 今回は、勇気のほかに、俺のメイドでもあるアイさんが一緒だった。彼女は、戦うメイドさんでもあった。


 目の前には、RPGの定番モンスター、スライムガいる。このせかいのスライムは、ぷにぷにした可愛らしいタイプのスライムだった。

「うりゃ!」

 手にした剣で、スライムに切りかかる。手ごたえも無く、スライムは真っ二つになり、消えてしまう。

「次は、あれですよ」

 勇気が指差す方向に、別の魔物がいる。色違いのスライムが5匹。

「これを、試してみるか・・・」

 空間収納から、一つの道具を取り出す。

「火の札!」

 魔方陣を勉強した結果、簡単な札を作る事に成功した。攻撃魔法を使う事ができない俺は、この札を使う事で、擬似魔法を使う事ができた。

 札からでた炎が、スライムを襲う。

「!!!」

 炎はスライムを包み込み、あっという間に5匹倒してしまった。札に関しては、魔法陣に色々と工夫をした結果、なかなかの威力となっている。勇気は、その威力に疑問は無いみたいだけど、アイさんは凄く驚いていた。

「なかなか、上手く行ったな」

「小父様、凄いです!」

 札の威力は、上出来だった。下級とはいえ、魔物を5匹倒せる力。

「正義様は、この魔道具を作れるのですか?」

「まだまだ、改良中だよ。使い捨てだし、一枚作るのにとにかく時間がかかるんだ」


 その言葉を聞いてアイは考える。魔法陣の作成は、複雑だ。賢者の国でも色々と研究はされているが、このようなものは作られた事は無い。あれだけの威力を出すのに必要な魔力を、正義は持っていない。

 国の監視役として送り込まれているアイは、相手の能力をある程度鑑定できる。異世界人それぞれに、同じような力を持った従者がついている。

 結局、この国は異世界人を利用するために召喚したのだった。この世界の人間と、違った視点を持つ異世界人。過去に何度か召喚して、そのたびに色々な革命が起きている。もっとも、それはこの国ではない別の国。賢者の国は、召喚はしても、革命は出来ていない。

 何度も失敗した、技術革新。もしかしたら、今回は成功するかもしれない。

「正義様、その札を、いただくことは出来ますか?」

「これ?まだ改良中だから、難しいかな」

「では、見せてもらうことは出来ますか?」

「それなら」

 見るだけなら、何も出来ないだろう。そう思い、アイさんに札を見せる。数秒間、凝視した後、アイさんはお礼を言う。

「ありがとうございました」

「どういたしまして」

 何かの、スキルを使われた気がする。この札には、盗難防止用の仕掛けもある。さらに、見ただけでは複製できないようになっている。

 札のことは、これくらいでいいだろう。俺は、焼け跡を見る。

 スライムたちは死ぬと同時に姿を消した。果て無き迷宮は、この世界の不思議の一つで、そこで死んだ魔物は一瞬で消えてしまう。

 そして、その後には魔石というものを残す。これは、魔物の核でありエネルギーの結晶だった。魔道具の備品として使えるし、売るとお金にもなる。魔物によっては、素材と呼ばれるものも残す。まるで、ゲームのような場所。ゲームと違うのは、こちらが攻撃を受けた挙句、死ぬと言う事。実際、召喚された異世界人の一人が、命を落としている。

 ニートと言っていた人は、もういない。一人で行動して、あっという間に死んでしまったらしい。

「ゲームじゃないけど、ゲームみたいな世界か・・・」

 魔物を倒す事で、経験が入りレベルが上がる。それに似た効果がこの世界にもある。全ての生き物が持つ徳と言うものがあり、相手を倒す事で、それを取り込み成長する。この場合、人間に徳はあり、人を殺しても成長するらしい。

 もっとも、魔物を相手にしたほうが成長率は高いので、この世界の人たちは、魔物と戦っている。大陸の地下全てに通じる大迷宮、果て無き迷宮。その出口にある5つの国。地上は比較的人の害にならない魔物がいるだけなので、その戦力のほとんどを地下に向けていると言う。

「小父様は、強くなりましたか?」

「今日は、あまり変化はないかな?」

「そうですか?」

「俺の場合は、身体能力よりも、研究室に徳は流れるみたいだしね」

 実際、身体能力は変化無かったけど、研究室は進化した。研究室の中に、倉庫が出来ていたのだ。

「魔力が、上がらないから、大変だよ」

「では、また明日も迷宮に行きましょう」

「そうだね」

 勇気は、甘口ポーションのファンでもある。毎日2本あげる約束をしているので、後11ヶ月、600本以上は作る必要はあると、このときは思っていた。

 しかし、俺が勇気に作ってあげた甘口ポーションは、これから30本ぐらいの時に、止まってしまった。



 1週間に2回くらいの更新ペースで行く予定です。

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