表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の冒険者  作者: 水室二人
48/102

VS勇気 その1

 準備は完了しました。予想外の事が色々とありましたが、その結果こちらの戦力は大幅に向上しました。

 果て無き迷宮の中は、特殊な転移魔法陣が必要になるのですが、伊藤さんの強力で製作する事ができました。

 十色に頼んで、先行してもらい、勇気を閉じ込めてある場所の側に設置が完了しています。

「では、いって来る」

 私の装備は、戦闘強化服で身を固めています。この服は、装着した人の身体能力を引き上げ、防御に関してはかなりの強度を持っています。

 オリハルコンが無いので、魔法陣を組み込む事で、似た性能を引き出す事に施工しています。

 基本武装は、コンバットナイフです。銃は、今回は使いません、果て無き迷宮の中は、色々な組織の目があるので、いろいろと制限ができてしまいました。

 にいに頼んで、しろとらになってもらい、一緒に行動しています。しろとらには、色々な武器が乗せた鞍を装備しました。

 刀、太刀、槍、大筒などがバランスよく配備してあります。

「探査球の操作は、任せます」

「任せてください」

 メトロ・ギアの司令室には、モニターがあり、そこにさんとよん、十色もいます。

 彼女達は、探査球を捜査して、こちらをサポートしてくれる事になっています。

 その後ろで、虹色小隊のメンバーも、勉強のため見学しています。


「さて、色々と邪魔者がいるYみたいですね・・・」

 転移魔法陣を抜け、勇気の場所へと向かう途中、色々な反応を見つけました。

「賢者の国の騎士と、黒の国の傭兵団です」

 探査球から、よんの声が聞こえてきます。

「何をしているか、解りますか?」

「不明です。結界を破壊するという形跡はありません」

「敵対している様子は?」

「ありません。どちらかと言うと、協力している感じです」

「あの二つの国、敵同士ですよね?」

「賢者の国は、聖王国の表面上は独立自治区扱いなので、黒の国と通じる可能性はあります」

「ここで、悪巧みする理由は、不明か・・・」

 考えても仕方ありません。解らないのなら、聞いてみるのも良いでしょう。

 いったんしろとらから降りて、徒歩で近づきます。一応、武器として槍を選び持っていきます。


「何をしているのでしょうか?」

「冒険者か?」

 私が声をかけても、そこにいた人達はあわてません。

「そんな所です」

「ここまで来るとは、よほど腕の立つ冒険者なのだな・・・」

 そう言いながら、私を包囲するように、相手は陣形を展開します。

「私は、何か見てはいけないものを見てしまったのですか?」

「そう言うことだ」

 そう言いながら、正面の男は斬りかかってきます。

「甘すぎですよ!」

 私は、それを素早く交わして、距離をとります。包囲網がまだできていなかったので、その輪の外側まで一気に移動します。

「これは、予想以上に動けるものですね」

 戦闘強化服のおかげで、通常よりもかなり早く移動できます。それだけでなく、筋力が上がっているので、こういう事も出来てしまいます。

「うりゃ!」

 槍を薙ぎ払い、近くにいた騎士を吹き飛ばします。

「突き、突き、突きぃぃぃ!」

 三連続で、突きを行います。筋力ががると言うことは、それだけ動けるという事で、3回の突きで、側にいた兵士3人が倒れました。

「ついでに、これも!」

 背中の、コンバットナイフを、後ろに回ろうとしていた騎士に投げます。相手の急所に一撃で刺さり、命を奪います。

 探査球のおかげで、周りの動きは把握できます。危険がある場合は、よんの予測で解るので、危険度の高い相手から、確実に排除します。

「隊長、そいつは異世界人です!」

「そうか・・・」

 陣形の影で、こちらを監視していた男がそう言うと、隊長と呼ばれた男は気配を変えました。

「何処まで、お前たち異世界人は我々を苦しめれば気が済むのだ!」

 怒りに任せた一撃が、襲い掛かってきます。

「そんな事を言われても、私をこの世界に呼び込んだのは、貴方たちではないですか?」

 その一撃を、槍で受け止めます。

「我々が苦労して得た力を、お前たちは何の苦労も無く、手に入れて、我々を苦しめる!」

「それに関しては、少し申し訳ないと思うけど、敵対するなら、こちらも容赦はしません!」

 素早く蹴り飛ばし、相手と距離をとります。隠し持っていた、もう一つのナイフを、隠れていた男に向けて投げます。

「ぐぎゃ・・・」

 そのナイフは特性で、突き刺さった瞬間、電流が流れ意識を奪います。

「しろとら、そいつを確保!」

「がぅ」

 人の目があるので、話せる事を隠すため、にいはあえて返事を”がぅ”としました。

「っち」

 隊長と呼ばれた男は、しろとらが現れた事に驚いたが、すぐにこちらに視線を向けます。

「黒の、頼む!」

「・・・」

 騎士団と別のグループは、最初包囲に加わっていましたが、今はこちらと距離をとっています。

「我々は、今現在世界人と争うつもりは無い」

「裏切るのか?」

「われらが盟主の命令は、ここにいれば魔王すら倒せる存在が生まれる。それの確認だ」

「だからこそ、それを手に入れる必要がある」

「それが、異世界人でも?」

「何だと?」

「そこにいるのは、異世界人ですよ。それに、あなた方は頼るのですか?」

「異世界人でも、こちらで制御できれば、ただの道具だ。元々、異世界人は我々の下僕。当然の事だ」

 これは、図書館の歴史書には無かった出来事です。多分、間違った事を言っているのではいでしょう。

「その下僕に、部下を殺された貴方は、何なんでしょうね?」

 私は槍を振り、血を掃います。

「五月蝿い!黒も裏切るなら、まとめてここで始末するだけだ!」

「出来ますか?」

「これでも、食らえ!」

 隊長は、筒状の何かをこちらに投げました。

「手榴弾ですか。まさか、これが切り札ですか?」

 私は、すぐにそれを槍で打ち返します。

「馬鹿な、これを知っているのか?」

「知らないと、思われたのが心外です」

 打ち返された手榴弾は、隊長の背後で爆発します。これで、残っていた部下は全滅です。若干命がある人がいますが、手遅れでしょう。

「国王様からいただいた、破壊の道具が・・・」

「国王?賢者の国の国王は、異世界人なのか?」

「そんな事はない。国王様は・・・」

 そこまで言いかけて、隊長は絶命した。後ろから、何者かに狙撃されたようだ。探査球によると、直線で500メートル先に、銃を構えた何者かがいるみたいです。

「無駄ですよ!」

「次の弾が、私めがけて襲ってきますが、それを槍で打ち落とします。戦闘強化服と、探査球のおかげで、そんな事が可能になっています。

「部下を信じていない、国王とは、最低ですね」

ここを監視していて都合が悪くなったので、部下を処分したのでしょう。近代兵器を持っていることを、恐らく黒の国に知られるのは不都合なはずです。

「投!!」

 槍は突くだけでなく、投げても武器になります。レーザービームのように、意直線に狙撃主に向かい、貫きます。

「姿を見られたスナイパーは、すぐに隠れるか、逃げないと駄目ですよ」

 物言わぬ屍に、言っても無駄なのですが、銃を回収するついでに、呟いてしまいました。

「さて、あなた方は、どうします?」

 黒の国の傭兵は、総勢20人。

「異世界人に手を出すなと言うのは、絶対の命令だ。ここは、大人しく引き下がろう」

「その前に、何故ここに来たのか、教えてもらえますか?」

「盟主様が、ここに来れば、魔王を倒せるほどの力が手に入ると、言われたので、それを回収に来た」

「回収しろと言う命令でしたか?」

「そこに、行きなさいという命令だ」

 生きて変える為に、団長は情報を提示しました。嘘を言う、質問に答えない、そう言う選択肢は、この場所に無い。それだけは、理屈抜きで解っていました。

「その盟主さんは、異世界人ですか?」

「盟主様は、この世界の人間です。ただ、部下に何名か異世界人がいます」

「そこの彼も?」

「否定はしません」

 私が示した先には、1人の少年がいます。その少年は、先程から何かの魔法を使っています。伊藤さんの魔法事典に無いので、異世界人のオリジナルの魔法みたいです。

「準備できました」

「時間稼ぎでしたか・・・」

「まあ、死にたくないからな」

 次の瞬間、光が辺りを包みます。巨大な転送魔法が完成しました。

「じゃぁな」

 光が消えたとき、黒の国の傭兵は姿を消していました。勇気を閉じ込めた結界ごと、転移する予定だったと思います。ただ、この結界を甘く見ていたのでしょう。中からは、力しだいで破壊できます。

 しかし、外からは、よほどの魔法使いでないと破壊するのも難しいでしょう。強度もありますが、空間を歪めているので、転送魔法で運ぼうとすると、失敗の可能性が高くなります。

「転移魔法対策、この方法は止めたほうがいいですね・・・」

 転移魔法に失敗するとどうなるか。その一つの見本が目の前にあります。色々と、混ざり合った不気味な塊。回復するのは、恐らく無理でしょう。オリジナルの魔法もかかわっているので、時間がかかりますし、そもそも、助ける理由がありません。

 その不気味な塊は、数秒後に消えてしました。恐らく、転移した先の場所に移動したのでしょう。

 その先が、どんな風になったのか、少し気になりますが、それを確認する時間はありません。

 結界の中から、恐ろしく不気味な力が溢れてきました。

「ここは、暗い・・・」

 結界が、静かに消えていきます。

「ここは、寒い・・・」

 黒いオーラを身にまとった、勇気が姿を現します。

「小父様、私を暖めてめぇぇえ!」

 負のオーラを身にまとい、黒くなった勇気が、そう言いながら向かってきます。

「いいよ、思う存分、暖めてあげましょう!」

 しろとらの隣に立ち、鞍から一本の刀を抜きます。

 勇気がまとう負のオーラは、かなりの量です。勇気自身も、前にあったときよりも遙かに強力になっています。探査球からの警告は、危険領域になっています。

 今の戦闘強化服では、こちらが負ける可能性があります。

 奥の手を使います。

 刀をかかげて、稲妻を集めます。

「武装、展開!!」

 何処かで、鼓の音が聞こえます。大事な戦いの前ですが、遊び心は忘れません。心にいつも余裕を持ちたいです。

 殺伐した殺し合いをするつもりはありません。

「さしずめ、剛炎とでも名乗りましょうか・・・」

 赤く、燃え盛るような武者鎧を身にまとい、刀を構えます。

 こうして、勇気との戦いが始まりました。

 黒の国の盟主が言っていた、魔王を殺せるほどの力、確かめさせてもらいましょう。




 3日に1度のペースで更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。


 オーバーラップWEB小説大賞に、応募してみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ