表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の冒険者  作者: 水室二人
42/102

殺戮の3日間 その5

 怒号とともに、襲い掛かってくる炎の魔法。

「っち!!」

 私は、素早くレミントンで打ち落とします。狙いを付けるのは無理なので、散弾で、弾幕を張ります。

「ガイア、天馬、こいつは、私がひきつけておくから、そっちはお願い」

「解った」

 伊藤さんの横から、二人の少年が駆け抜けます。

「させるか!」

「こっちこそ、させない!」

 伊藤さんは、立て続けに魔法を連射してきます。この子は、魔法に関してかなりのポテンシャルを持っているのでしょう。

「さん、状況は?」

「子供は全員収容しました。後は、そこのけが人です」

「聖王国の、狂人なんて、助けるだけ無駄だ!!」

 そう言いながら、少年たちが、攻撃してきます。一人の男の子は、素早く倒れている人を狙って、飛び落ちます。

「破っ!」

 振り上げた拳を打ち抜き、少しの躊躇いも無く、相手の命を奪います。

「ウリィィィィ!!」

 もう1人の少年も、奇声を上げながら、大きな剣を振りまわし、残っている命を刈り取っています。

「そう言えば、アンデットでしたね・・・」

 伊藤さんの魔法を打ち落としながら、少年に向けて攻撃をしてみたのですが、散弾が当たったのに、二人は特に気にした様子がありません。1人は、片腕が吹き飛んだのですが、すぐに復元してしまいました。この子の魔法は、かなりの高レベルみたいです。

「何故、それを知っているのですか?」

 私の呟きを聞いた伊藤さんは、攻撃の手を止めます。

「よん、出番です」

「はい」

 次の瞬間、アメリカントラックの荷台から、よんが飛び出しました。

 チャイナ服ではなく、戦闘用の強化服に着替えています。

 猫人の、1メートルぐらいの少女ですが、あっという間に少年二人を投げ飛ばし、伊藤さんの目の前に叩きつけます。

「ぐぎゃ・・・」

「うぅ・・・」

 かなりの衝撃のはすですが、アンデットの二人はすぐに動き出します。

「さん、そちらの状況は?」

「全滅です・・・」

「ブルーは?」

「亡くなりました」

「その二人は、そこまで行っていませんでしたよね?」

「ブルーさんが、姉と呼んだ人に、作戦を失敗する無能者は要らないと・・・」

「その、姉は?」

「逃げている途中に、そちらのアンデットに殺されています」

「そうですか・・・。狂人と言うのは、あながち間違っていないのですね」

「そうよ。あの国の連中は、みんな狂っている。そんなのを、貴方は助けるというの?」

「解りません。私の今の目的は、ここを守りきる事と、人材確保ですからね。ブルーに関しては、残念ですが、救いが少しだけあります」

「救い?」

「彼には、強力な事前ポーションを飲ませていますからね」

 そう言いながら、私はヘルメットのカバーを外します。

「貴方は・・・」

「お久しぶりですね。どうやら、こちらのメッセージには気づかなかったみたいですね」

「メッセージ?」

「私から奪った、魔法の籠手の中身、確認しましたか?」

「あんなもの、すぐに処分しました。中身のせいで、血だらけで、大変だったのですよ」

「そう言えば、あのときの落とし前を、付ける必要もありますね」

 正体が私と気づいた、少年二人は、明らかにこちらを敵としてみています。

「ウリィィィィィ」

 奇声を上げながら、少年が大剣を振り下ろす。

「無駄です」

 それより早く、よんが駆け抜けます。

「精霊猫の、恐ろしさを思い知りなさい!」

 よんが着ているのは、戦闘力を100倍以上に引き上げる戦闘服です。単純に、魔法陣を刻んであるだけでなく、重量も底上げしてあるので、その一撃は重く、凶悪なものになっています。

「ぐぎゃ・・・」

 相手のすぐ側に回りこみ。正拳突きを叩き込みます。その一撃で、少年のお腹が吹き飛び、行動不能になります。

「次は、貴方です」

 そう言った次の瞬間、よんはもう1人の少年の背後に移動していました。

「なんとぉーーー」

 少年は、何とかよんの動きを捉えたみたいで、回り込んでの踵落としを両手でガードして受け止めます。

「えz?」

 受け止めたのはいいですが、そのまま体は地面に埋まります。

「頭をつぶすつもりでしたが、残念です」

 埋まってしまった少年から距離をとり、残念そうによんはつぶやきます。

「さて、色々と話すことがあると思いますが、おとなしくしてもらえますか?」

「解りました」

 二人が行動不能になったので、伊藤さんはおとなしく従ってくれました。

「さん、子供たちと、伊藤さんたちを頼みます」

「了解しました」

 アメリカンなトラックは、コンテナを収容して砦に戻ります。伊藤さんと、おとなしくなった少年二人も一緒です。

「よんは、先に砦に戻って、遺体の処理を頼みます」

「はい」

 次の瞬間、よんの姿は消えています。

 基地に戻ったよんは、探索球を使って、残された遺体の回収をする事でしょう。

「さて、出てきてください」

「気づいて、いたのね」

 地面の中から、1人の少女が姿を現しました。それは、ブルーが姉と呼んだ人物でした。

「何故、ブルーを?」

「任務に失敗した挙句、敵に寝返る存在は、必要ない」

「弟ではないのですか?」

「黒の国では、そう教えているだけ。肉親なんてものは、存在しない」

「任務の内容を聞いてもいいですか?」

「機神を奪うことだ。そのために、魔王討伐としくんで、行動をコントロールして、別行動させたのに、貴様のせいで計画が破綻した」

「それは、悪い事をしましたね。それで、任務を失敗した貴方はどうするのですか?」

「こうするさ!」

 その人物は、何かの呪文を唱えました。

「なるほど、無駄な事をしてしまったのですね、私は」

 この子達を、助けようとしたのは無駄だったのでしょう。人と言うのは、ここまでできるものなのですね。

「せっかく助かったのに、何でこんな事を・・・」

「確実に、貴様を殺すためだ!」

 次の瞬間、その子のいた場所を中心に、猛烈な炎が弾けました。

「無駄なんですけどね」

 自爆攻撃は、私に何の影響を与えていません。アンディの防御力は、対魔法の処理もしてあります。

「・・・」

 何一つ残ることなく、黒くなった地面。黒の国と言うのの闇は、深いような気がします。

「一応、打ち落としておきますか・・・」

 ライフルを構え、狙いを付けます。こちらを監視している存在がいました。探索球が、こちらを見ている存在を確認しています。ギリギリ射程圏内です。

「私も、人のことは言えませんが、情報は大事ですからね」

 無音ヘリなどを使い、各地で色々と情報を集めているので、逆に色々と集められるのは困るのです。

「ふぅ・・・」

 私の攻撃は、その存在に命中しました。無音ヘリで回収してもらうと、一羽の鳥でした。

「使い魔と言うのでしょうね」

 これも、後で調べましょう。現状、こちらに接近している存在はありません。

 伊藤さんのこともありますし、砦に戻りましょう。



「二人を、何とかする手段がるのですか?」

「アンデット以外の存在にする事は、出来ます」

「本当ですか?」

 砦に戻り、伊藤さんと話し合っています。こちらの事情を、ある程度説明して、相手のことも色々と聞きました。

「魔法大全には、書いてないのですか?」

「生き返らせること、そこにしか注意意は向いていませんでした・・・」

 彼女の能力は、この世界の魔法に関しての知識です。魔力が高く、使いこなせれば強力場武器になるでしょう。

「異世界召喚と、送還に関する魔法は?」

「知識はありますが、私では実行できません」

「何故?」

「種族に関する制約が大きいです。精霊、もしくは神に匹敵する存在が必要になります」

「そうですか。では、こちらが二人を何とかするとして、協力はしてもらえますか?」

「勿論です」

 お互いに、出来ること、やりたい事を再確認します。私がやりたい事は、勇気を元に戻す事。

 この世界は、甘い異世界ではありません。

「私は、ただ、二人と一緒に旅をしたいです」

「そのために、私に協力をしてもらいます」

「暖かい二人と、一緒にいられるなら」

「勿論です。ただ、準備が必要なので、今すぐにとは行きません」

「どれくらい、かかりますか?」

「召喚された日、そこから一年後の日が、送還に一番適した日になっています」

「まだ、先なのですね・・・」

「星の巡り会わせだけは、帰ることが出来ません」

「それ以外なら、何でも変えられそうですね」

 そうつぶやいた感情の顔には、少しだけ笑顔が戻っています。

「元の世界には戻れませんが、よろしいですか?」

「元凶なのは、私です。私がもっと慎重に行動していれば、二人が命を落とすことは無かったでしょう。それに、元の世界ですと、難しかった事が、この世界では出来るかもしれません」

「それは?」

「三人で、ずっと一緒に暮らす事ですよ」



 3日に1度のペースで更新予定です。

 アルファポリスさんでも投降しています。


 オーバーラップWEB小説大賞に、応募してみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ