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灰色の冒険者  作者: 水室二人
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殺戮の3日間 その3

 無音ヘリを使い、辺りを監視します。周辺に人影はありません。魔獣の気配は、いたるところにありますが、こちらに敵意を向けている存在は確認できません。

「回収の状況は?」

「最初の軍隊と思われる人達の遺品は全て回収しました」

「生き残った人の装備品も、回収終了してあります」

「了解。念のため、解析機で解析をお願いします」

「既に、半分は終了しています」

「ありがとう」

「はい」

 声を聞いただけで、三姉妹たちが嬉しそうなのが伝わってきます。褒められたのが、嬉しいみたいです。

 少しの間、時間が出来たみたいです。今の内に、捕虜の様子を確認しておきましょう。

 先程の戦闘で、8人の捕虜を得ました。偵察部隊の2人と、生き残りの6人です。生き残りの中に、戦闘に向いていない人物が2人いました。これが、那由太の言っていた貴族かもしれません。10代の少女と、20代の青年の二人です。少女のほうが、偵察部隊の生き残りなので、貴族なのは青年のほうかもしれません。

「私たちは、捕らえられたという事でしょうか?」

「その通りです」

 8人は、知れじれ別々の折に閉じ込められています。所持品は、全部回収してあります。

「他のメンバーは?」

「ここにいる人以外は、全員死んでいます」

「そうですか・・・」

 先程から、偵察部隊の少女が話をしています。他の人は、無いも言いません。

「そちらの、所属を教えてください」

「拒否します」

「なぜ?」

「稀人と、交渉するつもりはありません。一刻も早く、私たちを解放しなさい」

「すると思いますか?」

「断れば、我が国が、敵になります」

「我が国と言われましても、何処か解りませんよ」

「聖王国です」

「貴方は、聖王国の人間ですか。それが、ここを狙った理由は?」

「そんな事は、貴方に関係ありません。私たちを、解放しなさい!」

「待ちたまえ!」

 今まで黙っていた、青年が話しに加わってきました。

「私は、黒の国の、傭兵団のラックルと言う者だ。部下が申し訳ない」

「聖王国ではないのか?」

「黒の国は、聖王国の属国だ。私たちは、連中に使いつぶされるだけの、哀れな捨て駒だ」

「その捨て駒が、何か?」

「私たちは、ギルドを通じて、ここを攻撃するように言われた。ギルドとは、捕虜になった時、身代金を払う事で開放する契約がある。確認してもらえないだろうか?」

「確認したが、今は3日の掟と言うのの最中です、開放は、その後になるのでは?」

「その間の、身の安全はどうなる?」

「相手次第ですね。無節操に、広域の巨大な魔法を使われた場合、貴方たちも被害を受ける可能性はあります」

「なら、私たちの荷物にあった、信号弾を打ち上げてもらいたい」

「なぜです?」

「この中に、聖王国の貴族がいる。幸い、生きのびているから、国際問題にはならないだろう。信号弾を上げれば、聖王国から救援が来る。3日の掟とは別で、救助だけなので、その人物だけでも、渡してもらいたい」

「その言葉に、偽りは?」

「命を懸けて、誓おう」

「その貴族とは?」

「私です」

 違う折の中から、1人の中年が声を上げる。先程からの二人だと思っていましたが、違うようです。

「聖王国公爵家の三男、フィリップです」

「何で、そんな人物が、こんな事を?」

「家督争いに勝つために、手柄が欲しかったのです」

「貴方を解放する見返りは?」

「この土地の、所有権と、税の免除を永久に約束する」

「そんな事を、約束してもいいのか?」

「こんな辺境の土地など、私の命を比べる事は出来ない」

「良いだろう。信号弾と言うのは、どういうものなんだ?」

「銀色の、短剣だ。魔法の発動体でもある」

「確認してみますね」

それだけを告げると、檻からいったん離れます。

「該当するものはありますか?」

「銀色の短剣は、一つあります」

「どんな魔法が、仕掛けてありました?」

「収納魔法です。中に、恐ろしいものが収納されていました」

「恐ろしいもの?」

「古代の、機神です」

「機神?」

「この世界に、定期的に襲い掛かる災害です。100年ごとに現れ、破壊をもたらす存在です」

「それが、短剣に封じられているのですか?」

「はい。機神も、解析機で解析できています」

「封じられていても、解析できる他のですか?」

「はい」

 我ながら、恐ろしい能力です。研究所でしか使えないのが、惜しいです。

「解析の結果は?」

「異世界の機械仕掛けの英気です」

 にぃからのデータを受け取ります。演算機を通して、その機神と言うものを調べます。

「このままですと、機動時間が短いですよね?」

「エネルギーが、ありません。未知の動力が使われています」

「それでも、この構造と、技術は凄いですね。遠慮なく、使わせてもらいましょう」

 この機神と言うのを作った世界は、かなりの科学が発達した世界です。日本のおもちゃが優れていても、所詮玩具です。実際に使う兵器にはなりません。

 ただ、この機神に使われている技術は、それを可能にする物が詰まっています。

 正直、憧れの玩具を、人殺しの道具に使いたくはありません。でも、この世界で生き残るために、使えるものは使わせてもらいます。

 私は、思い描いていた夢を形にする為に、演算機をフル活用します。実際にかかった時間は5分ぐらいでしょう。それだけで、憧れの人型ロボットのパイロットになるということに、手が届きました。

 魔力だけでは、全部作るのは無理なので、素材が必要です。それは、すぐに手に入りそうですが、今は我慢しておきます。


「銀の短剣と言うのは、これの事ですか?」

 少し時間を置いて、檻に戻り、確認します。

「はい。間違いありません」

「どうすれば良い?」

「私に、貸してもらえますか?」

「下手な動きをしたら、どうなるか解るか?」

「もちろんです」

 フィリップは、そう言いながら、短剣を受け取ります。

「我が呼びかけに、答えよ!」

 フィリップが、短剣を掲げながらそう叫びます。

「変な動きを、するなと言ったはずだ!」

 そう言いながら、私はレミントンを構えます。

「ひっ!!」

 銃口を突きつけられ、変な声を出したのは、偵察部隊の少女でした。

「今、何をした?」

 彼女は、フィリップの声にあわせて、何かの呪文を唱えました。

「姫様、後は頼みます」

 フィリップがそう叫んだ瞬間、上から何か落ちてきました。衝撃で、銃口は彼女からそれてしまいました。

 落ちて来たものに、フィリップは飲み込まれます。光の固まりとなり、檻から抜け出して、機神へと吸い込まれます。

「古の機神の力、思い知るが良い!」

 10メートルぐらいの、人型兵器が、そこにいました。おかげで、砦の一部が壊れてしまいました。

 機神は、デザインははっきり言って無骨で好きではありません。単純に、足と手がついた箱型の何かと言う感じです。

「何が出てくるか、解っているから、対処は簡単ですよ」

 焦ることなく、レミントンの引鉄を引きます、

「そんなものなど、機神には効かない!」

 無駄なのは、最初から解っています。

「ぐぁ・・・」

「命に、誓ったのなら、当然の結果ですよ」

 銃弾を全身に浴びて、ラッセルは絶命しました。

「そんな事をしていて、良いのですか?」

 機神が、こちらに向かい、歩いてきます。

「そっちこそ、無駄に歩いて大丈夫なのですか?」

「何だと?」

「後、2秒ですね」

「何うぅぉぉ・・・」

 そして、機神は歩みを止めます。

「言い残す事はありますか?」

「なぜ、フィリップは、私を助けない?」

「死んだ人に、何を望むのです?」

「では、なぜあいつは死んだ?」

「あの兵器は、この世界の人間が乗ると、動かせますが生命力奪われて、死にます」

「あれは、我が一族が先の大戦で、敵から奪って多大な戦果を上げた、機神です」

「恐らく、多くの人の命を犠牲にして、築き上げた戦果なのでしょう」

「・・・」

「あの素材は、色々と使えますから、こちらで回収します」

「私たちを、どうするつもりですか?」

「貴方が、聖王国の貴族で、間違いないですか?」

「・・・間違いないです」

「それなら、このまま捕虜にしておきます。使い道がありそうですからね」

「・・・」

「さて、夜が来ますか・・・」

 話し合いは、これで終了ですね。もうすぐ、夜が来ます。魔物たちの活動が活発になる時間。

 そして、暗殺者や、盗賊などが動き出す時間です。

「準備は出来ましたか?」

「はい、今、そちらに完成したものを運び込んでいます」

「こちらも、中々のものを手に入れましたよ」

「おめでとうございます」

「悪いけど、これを回収して変換機で素材にしておいてください」

「了解しました」

 手似れた機神は、正直使えないので、素材として利用します。定期的に、侵攻してくるとか、気になることはありますが、今は素材になることのほうが大事です。

「さて、夜のための準備を、始めましょう」

 届けられた荷物を見ながら、私は行動を始めるのでした。




3日に一度のペースで更新予定です。

アルファポリスさんでも、投降しています。


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