殺戮の3日間 その1
「最初から、軍隊が来ますか・・・」
上空からの映像を分析した結果、こちらに接近しているのはどこかの国の正規軍の様です。
「3日の掟ですか、土饅頭の世界ではあるまいし、過去の異世界人が、真似をしたのでしょうね・・・」
今の状況を、振り返ります。
特定の魔獣を討伐した事を、ギルドに報告しました。証拠を提出すると、魔法道具を使い、確認され、承認されました。
この辺は、謎のネットワークが出来ているみたいです。
その際、私が稀人なので場所を維持できるのか、テストすると言われました。強い魔物を倒した場合、縄張り争いが激化して、更なる混乱を生み出すことがあるそうです。通常、それを防ぐためにギルド支援があります。
しかし、私はギルドに所属していないので、それを受ける事ができません。こう言う時、ギルドがメンバーを選び、周辺の討伐とともに、私を試すそうです。ギルドの攻撃を、3日間凌げば、土地の開発を認められるというものです。
「この間に、ギルドの人が死んだ場合は、どうなりますか?」
「何もならない。殺し合いなんだ、どっちが死んでも、文句はなし。この3日間だけの事と、割り切る」
「流石に、こちらに不利な話では?」
「これは、予め決まっている事だ」
「そんな決まりは、無かったはずですが?」
「これは、ギルド権限での、特例の中にある。拒否は出来ない」
「特例ですが・・・。今後も、そう言うのが、増えるのですか?」
「今回だけだ」
ギルドの長に呼ばれて、説明を受けたときの会話です。
「このギルドの人は、私を殺したいみたいですね・・・」
ここに来てから、私に向けられている感情が、凄い事になっています。これが、殺気と言うものでしょう。
「当たり前だ。許されるなら、今すぐ俺もお前を殺したい」
「なぜです?」
「お前のせいで、ノノが殺された」
「ノノ?」
「昨日、お前と話した受付だ」
「それは、私のせいではありませんよね?」
「お前が、小細工しなければ、あの子は死なずにすんだ」
「誰が、殺したのですか?」
「ギルドの掟で、私が手を下した」
「そこまで、私を憎むなら、誤魔化すとか方法は無かったのですか?」
「ギルドに属する者にとって、掟は絶対だ。たとえ、それが何であれ、破る事はできない」
「そう言う、真面目なところは、評価しますよ」
「とにかく、お前が、魔物を討伐した場所についてからが、試練の始まりだ。せいぜい、足掻いてみるが良い」
そんな事を言っていたので、最初に来るのは、ギルドのメンバーだと思っていました。
空き地に戻り、無人迎撃装置を解除します。かなりの数の、魔物の死骸がありましたが、人のはありませんでした。流石に距離があるので、すぐに来る人はいなかったみたいです。
空き地に、簡単な基地を作成します。
空き地を囲むように、土魔法で壁を作ります。中心に、櫓を設置して、周辺を見れるようにします。
他にも、捕虜となった人を収容できるように、穴を掘って、部屋を作りました。大部屋、個室、色々あります。
今回は、出来るだけ遠距離狙撃で、戦います。接近戦は、最後の手段です。
無音ヘリを大量に周辺に散布して、情報を集めます。
アンディをパワーアーマーモードに変形させ、身にまといます。これで、狙撃銃が利用できます。質量弾と、通常弾を切り替える事で、恐ろしい威力があります。
「さて、始めますか」
無音ヘリが、接近する集団を発見しました。
「あそこが、目的地のようです」
「我々が、出撃するほどの、者でしょうか?」
「ギルドからの要請を受けての、正式な任務だ。余計な詮索はしなくても良い」
聖王国の属国である、黒の国。その国民のほとんどが、軍人として徴用されていると言う軍事国家である。聖王国の為に、使い捨てにされる悲しい軍隊でもある。
「魔法使いは、長距離攻撃の準備をしろ。斥候部隊は、もう少し接近して、状況を確認しろ」
体調の命令で、部隊はは展開していきます。この手の作戦は、過去に何度も経験しているので、行動は迅速で、正確です。
おごる事も無く、機械のように正確に、50人の軍人が、行動をしています。
「斥候から、敵の所在を確認」
「魔法攻撃、用意!」
「斥候から、緊急連絡。魔物の接近を確認」
「近接部隊を、迎撃に当てろ!」
「了解」
空白地帯を狙う、魔物の群れが、こちらに向かっています。狼のような、中型の魔物がおよそ60匹確認できました。
こちらより先に、軍人の方に接触するみたいです。
「まずは、目から奪いましょう」
斥候役と思われる、3人の存在を確認しています。ここを中心に、等間隔で囲むように存在しています。
「出来れば、こちらの人材として欲しいのですが・・・」
これからのことを考えると、人で不足なのは確実です。この3日間で、出来れば灰化となりそうな存在が欲しいです。
「強制的に、支配するのは、趣味ではないですね」
メリアムのように、無理矢理相手を支配するのは、出来るだけ止めておきます。
「戦闘意欲を、奪うとしましょう」
慎重に狙いを定め、標準を決めます。使う弾は通常弾です。それが、魔法の補助により、音速を超える速さで、直進します。魔法の怖いところは、距離を進んでも、ほとんど速度が落ちません。
複雑な魔法処理を、薬莢に施してあります。複製機を使えば、大量に用意できるので、問題はありません。
現在、三姉妹に頼んで、必要と思われるものを研究室で生産しています。
転送の魔法陣が設置してあるので、準備ができ次第、こちらに届けてもらう事になっています。
こちらも、あいている時間に、演算機で色々と設計だけは進めています。
「まずは、1人・・・」
相手の足を狙い、攻撃しました。弾は、相手の足を貫き、地面に到達しています。速度がありすぎたため、衝撃で片足が、吹き飛んでしまっています。
「次を、急がないと・・・」
残りの二人も、同じように足を狙い、戦闘力を奪います。
「死にたいのか、生き残りたいのか、選んでください」
無音ヘリを、斥候役のそばに飛ばして、無線から問いかけます。突然の事に、理解ができていないようでしたが、少し時間を置いて、3人とも生き残る事を選びました。
「余計な事をすれば、命はありませんよ」
無音ヘリから、ポーションを投下します。それは、強力なもので、欠損部位を強制的に修復できるものです。
「これがあれば!」
斥候役の1人が、足が治った瞬間無音ヘリを攻撃してきました。声の位置から、存在を確認していたのでしょう。中々、優秀な人材だったです。無音ヘリからの情報は、こちらに伝わっています。これを、さんが、研究室で確認しています。あの子の推理は、予知といっても良いレベルです。
結果、3人の内1人が、攻撃してくるのを予測していました。最初から、この人物は、スコープに囚われていたのです。
それでも、もしかして、何もしないという選択もありましたが、さんの予測が正しい結果となりました。
その男の攻撃を、無音ヘリは交わします。今は、自動である程度の事ができるようになりました。
「ちっ!」
攻撃をあきらめ、本体に連絡を取るつもりでしょう。何かの魔法を準備しています。
「ここで、動きを止めたら、駄目ですよ」
そこで、その人物の人生は終りました。
「ふぅ・・・」
少しの時間でも、色々と疲れるものです。
残りの二人は、こちらに投降の意思を示したので、無音ヘリの誘導で、拠点に招き入れました。
まだ、戦闘中なので、個室に閉じ込めてあります。
「意外と、狼は侮れませんね・・・」
確認すると、狼により12人が戦闘不能になっています。狼は半分駆逐されていますが、まだ戦闘を諦めていません。
「作戦は、失敗ですよね・・・」
あれだけの被害が出れば、軍隊なら作戦失敗になると思います。規模も、小さいですし、色々と思惑があったのかもしれません。
「こちらに、降伏すのであれば、手助けしましょう」
隊長と思われる人物に、投降を呼びかけます。
「情けは無用。魔法使いは、目標に対して攻撃を!」
その命令で、魔法使いが、こちらに向かって何かの魔法を発動させます。
「遅い・・・」
ですが、魔法が発動するよりも早く、こちらの攻撃が、魔法使いの命を奪います。何処に魔法使いがいて、どの順番で魔法を使うのか、こちらにはある程度、予測がついていました。
「降伏を、拒否したので、殲滅します」
「ま、待ってくれ!」
戦力の切り札を失い、隊長は動揺しています。
「降伏する、命だけは助けてくれ!」
「貴方以外は、運がよければ助けましょう」
「何だ」
と、だと思いますが、その人は、最後まで言葉が続けられませんでした。
直後、爆発がそこを襲いました。小型ミサイルを、撃ち込んだので、あたり一面大爆発になりました。
隊長だけは、生き残ると困るので、狙撃しています。
元々、狼との乱戦で、損害があったのでしょう。生き残れたのは6人だけでした。
あの爆発の中、どんな形でも生き残れたのは運が良い証拠でしょう。こちらも、約束どおり、助ける事にします。
無音ヘリを使い、無地に回収すると、次の集団を確認しました。
まだまだ、色々とありそうですね・・・。
こうして、長い3日間が、始まったのです。
3日に一度のペースで更新予定です。
アルファポリスさんでも投降しています。




