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灰色の冒険者  作者: 水室二人
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魔王との遭遇

 現在、勇気を特殊な空間に閉じ込め、時間稼ぎをしています。

 彼女の力は、恐ろしく強く、個人の力で立ち向かうのは厳しいです。新兵器のテストを兼ねた、十色との戦闘で、危険度の高さが判明しました。

 精神的に、何かの取り付かれている可能性もあるので、早めに救出する必要があります。現状、こちらの戦力で、倒す事は可能です。この場合の倒すとは、殺す事。正直、全開の村雨で、それは可能でした。

 でも、この手は使いたくありません。私の望みは、彼女を物との世界に戻す事。私みたいな、元々世捨て人みたいなものはともかく、彼女みたいな未来ある人物は、普通の道を進んでもらいたいです。

「解析機の稼働率は80%・・・」

 残りの時間で、出来ることを考える。メリアムの魔眼の解析は終らない。これが終れば、新しい力を得られると思います。

 今までのペースから、予測できる時間はあと3日。それまでに、出来ることをしていきます。

「予定通り、外でテストを行います」

「お気をつけて」

 素性がわからないように、黒の騎士の装備を身にまといます。これも改良して、現状RPGゲームに出てくる西洋の鎧から、現代風のコンバットアーマーに変更しました。黒を基調していて、軽量で動きやすい物になっています。

 魔法陣が細かく刻まれていて、防御力はかなりの物です、ほかにも、筋力強化などのアシスト能力もあります。魔力電池を、背中と腰の部分に設置してあり、これを交換する事で、長時間の活動も可能です。

 これは、先日作った可変式戦闘二輪車の運用上、こちらのほうが都合がいいので変更しました。

 腕の先から、鋼糸を飛ばしたり、手甲から刃を出せたりと、細かい武装を装備しています。

 この装備を纏う事で、毒針の位置情報検知の魔法を封じ込め、私が外に出た事を悟られなくしています。

 図書室に行きながら、街の外に出る手段を模索して、ついに実現しました。

 この世界、転移魔法は禁じられていますが、転移の魔法陣に関しては、使用を認められ、かなり普及しています。

 それを手に入れたので、研究室の中でテストして、実用化しました。

 後は、透明化した無音ヘリを外に飛ばして場所を探しました。

 賢者の国の辺境の町のそばに、良い場所を見つけたので、そこに転移の魔法陣を設置して、移動してみました。


「予定通り、着くことができましたね・・・」

 転移魔法陣は、無事に作動しました。テストを兼ねて、アンディも一緒に転移しています。

 この辺境の町は、かつて戦争で滅んだ町です。少し復興されていていますが、変な特徴があります。

 ここは、過剰なほどの兵力が配備されています。冒険者ギルドの支部があり、国のトップランカーが在沖しています。賢者の国が誇る、魔法騎士団の半数が、駐留していると言う物々しさがあります。

「原因は、これですか・・・」

「人を、これ扱いは酷いかな?」

 私が転移すると、目の前に1人の子供がいました。この場所、町のはずれで、誰も使用していない空き家です。数日間監視して、誰も利用していない事を確認していました。

 それなのに、転移してみると、目の前に不振人物。

「貴方、凄い物を持っているかな?」

「なぜに疑問系?」

「細かい事は、気にしない。私は、始穣香しじょうこう。魔王と呼ばれる存在の一人かな」

「魔王ですか・・・」

「そうよ、八魔王の序列2位、始穣香とはこの私かな。私の家が、そこにあるから、この町は、兵隊さんで溢れてるかな」

「その事は、知っていました。元々、あなた方に接触するつもりでここに来ました」

「そのバイクは、手土産ですか?」

「これは、ここでテストをするためにもって来ただけです。あげませんよ?」

「残念かな・・・」

 目の前、自称魔王は、そう言ってにやりと笑う。身長150CMぐらいの、男の子か、女の子か、見分けが出来ません。顔つきも体つきも、中性すぎて、どちらでも通用できます。

「僕に、用事かな?」

「魔王と呼ばれる存在が、どんな者か、知りたかったのです」

「それで?」

「時期早々だったと、後悔しています・・・」

 この子は、完全に化け物だった。鑑定能力の無い世界なので、それに近いものが出来ないかと、色々と試行錯誤しています。現状、魔力量を自分を基準にして相手との差を解析する事に成功しています。

 魔力の量=火力ともなり得る世界です。目の魔の人物は、測定不能なほどの巨大な魔力を持っています。

 戦闘になれば、負けるのは確定でしょう。

「諦めるのかな?」

「戦うのは、諦めます」

「では、どうするのかな?」

「あげるのは無理ですが、後ろに乗りますか?」

「今は、それで我慢するかな」

 仕方なく、バイクで二人乗りとなってしまった。アンディの実践テストは、後ですることにします。

 今は、この規格外の魔王の相手をどう過ごすかが、大切です。

 目立たない場所を選び、町の外まで出ます。

「バイクは、この世界ではないから、新鮮かな」

「まるで、ほかの世界に行ったことがあるみたいですね?」

「あるかな。僕は、世界を歩き渡る者。世界の傍観者かな」

「戦争の原因を作っても?」

「あれは、この世界の人が、異世界人を迫害するからかな。世界は、もっと楽しく生きないともったいないかな」

 アンディで草原を駆け抜ける。時速300Kmまで設計上出る恐ろしいバイクになっている。現時点で100KMは出ていますが、普通に会話が出来ているのが怖いです。

「そう言えば、貴方の名前は?」

「刈谷正義と言います」

「ジャスティス?」

「それは、出来ればやめてもらいたいです」

「正義は嫌いかな?」

「嫌いですね、その言葉は・・・」

「じゃぁ、貴方はこの世界で何がしたいのかな?」

「解りません・・・」

「そうかな?」

「今すべき事は、わかっています。それが終ったら、何をするかは決めていません」

「なら、僕達の仲間になるかな?」

「仲間ですか?」

「僕たち、魔王の仲間かな。この世界を生きるために、何が出来るか考える仲間かな」

「魔王は、この世界の住民の敵では?」

「僕と、もう1人、序列3位の那由他は、この世界で楽しく生きるために色々と模索中かな。ほかの魔王は、復讐とか、支配欲とか、色々かな」

「僕たちって、二人だけですか?」

「序列一位の魔王が不在だからかな。2位と3位の二人でほとんどの魔王かな」

「一位が不在?」

「今の段階では、教えられないかな。仲間になるなら、教えるかな」

「私も、やるべき事がありますから、今の段階で返事は出来ません」

「それでいいかな。このバイク、中々速いかな。色々と仕掛けがある見たいかな?」

「ありますが、今のままでは、何も出来ませんよ」

「なら、試すかな」

 そういうと、始穣香は、空に浮かび私の前に飛び出しました。

「その力、試すかな」

 そして、前に立ちふさがります。

「では、遠慮なく・・・」

 勝てるとは思いませんが、全力で攻撃できる相手です。

「ミサイル、発射!!」

 後部に搭載しているミサイルを、発射します。続けて、前輪に搭載してあるレーザーを撃ちます。

「中々、面白いものかな」

 それらを、余裕で受け止める魔王。

「少しは、攻撃してみるかな!」

 魔王の周りに、魔力で作られた矢が浮かび上がる。

「バイクは、所詮猪かな!」

 それらが、一斉に襲い掛かる。

「こういう、使い他かもありますよ」

 手元のレバーを操作して、アンディを変形させます。前輪部分は分裂して両腕に、後輪部分は足とを強化します。胴体部分は体をカバーして、人型の戦闘状態へとなりました。

「それ、欲しいかな!」

 人型になることで、飛んできた矢を交わす事ができました。強化される動きが、通常よりも大きくなり、パワーも増加します。魔力電池も、大型のを搭載しているので、戦闘服よりも、大技がつかるようなります。

「お返しです」

 両腕のレーザー砲を、連続で発射します。それらは、魔王に当たりますが、ダメージを与えている気配はありません。

「うん、そのバイク、頂戴」

「これは、私専用だから、あげられませんよ」

「なら、作って!」

 今までと、魔王の態度が違う気がします。

「時間がかかりますよ?」

「待つ」

「私のやる事に、協力してくれますか?」

「する」

 なんだか、調子が狂います。

「急にどうしたのですか?なんだか、別人みたいですよ」

 言葉が、幼くなっただけでなく、雰囲気も、中性的から女の子的なものに変わっています。

「だって、これがホントの僕。長いときを過ごしすぎて、少し自我がおかしくなった存在」

「色々と、ありそうですね」

「そうだよ、色々とあるの。貴方の攻撃が、強すぎて、表の子が隠れたの。久しぶり」

「そうは、見えませんでした」

「伊達に、色々な世界で魔王をしていない」

「ずっと魔王?」

「神様もやった事あるよ」

「それは凄いですね・・・」

「ほめていいよ」

 そう言いながら、えっヘんと、誇らしげなポーズをとります。

 出会ったときに感じた、勝てない事への絶望感は、消えてしまいました。

 これが、後に色々と厄介ごとを招いてくれる疫病神兼福の神でもある、始穣香との出会いでした。





3日に一度のペースで更新予定です。

アルファポリスさんでも、投稿しています。


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