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灰色の冒険者  作者: 水室二人
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猫たちの事情

 新しく研究室に精霊猫が増えた。名前は”さん”と”よん”。

 三毛猫がさんで、白猫がよん。名づけのセンスに関しては、私もないことは自覚している。ちなみに、統一させるために、つーの名前をにぃに変更した。スリー、フォーでも良かったけど、なんとなくフォーは縁起が悪い気がしたので、つーにお願いしてにぃと名残る事にしてもらった。

「お姉ちゃんですから」

 と、にぃは受け入れてくれたので、助かっている。

 三姉妹がそろったことで、にぃにこの世界の事を色々と今更だけど教えてもらった。その結果、思った以上にひどかった。


・今から100年前に大災害と呼ばれる大規模破壊事件が起きた。

・その後、大陸に10の国が出来て、覇権をかけて戦っていた。

・20年前に、大規模な異世界転移事件が起きて、1000人の異世界人が召喚された。

・5年間で、5個の国が滅び、3個の国が異世界人にのっとられ、2個の国が生き残った。

・10年前に、戦争は一応停戦となった。

・異世界人の召喚は、この時禁止された。

・ここ、賢者の国は18年前に滅んだ国の末裔で、再建を目指している、

・異世界人に支配された聖王国の支援の下、再建中で、異世界召喚は、聖王国に内緒で行っている。

・国内には、異世界人に反感を持つ人が多い。

・三姉妹は、異世界人とのハーフで、両親は既に死亡している。

・異世界人の館の側にある塔は、ハーフの子達を集めた組織の拠点となっている。

・20年前に異世界人の生き残りは、確認されているので100人、未確認で300人となっている。


「私たちは、何のために召喚されたのでしょう?」

「異世界人の技術が欲しかったと聞いています」

「禁止されているのですよね?」

「禁止されていますが、偶然転移される事例は、何件か確認してます」

「では、私たちは?」

「偶然転移した人を、10人保護していると言う状態です」

「この国が、ほかの国に認められるには、条件があるのか?」

「少なくとも、果て無き迷宮の10階層を定期的に確保できる戦力を必要としています」

「なぜ?」

「地上は、魔力の影響で凶暴な魔物があふれています。10階層の魔物を倒せるぐらいの戦力が無ければ、国を維持できません」

「なるほど・・・」

 やはりこの世界は、力がないと成り立たないらしい。私たちは、あまりに無力である。ほかの異世界人tの連携は内意に等しい。一番頼りになるのが、猫たちと言う凄い現状になっている。

「十色のほうは、何か解ったのか?」

「敵は、鼠にゃ!」

「鼠?」

「訓練された鼠が、組織だって猫を殺害しているにゃ」

「そんなこと出来るのか?」

「私も、何度か戦ったにゃ」

「主任、よろしいでしょうか?」

「よん、何か知っているのか?」

「鼠をあや角能力を持った子は、諜報部に所属しています」

「そんなこと、出来るのか?」

「異世界人は、召喚の時に何かのスキルを授かります。一つか二つ、色々なスキルを複合した一つのスキルを持っている人もいると、聞いています」

「異世界人の子供は、そのスキルを親から受け継ぎます」

「私たち姉妹も、親からスキルを受け継いでいます」

 にぃは、調査。さんは、推理。よんは格闘と言うスキルを受け継いでいた。なぜ格闘なのか謎だけど、父親は探偵と言うスキルの持ち主だったそうだ。

 元からの住人は、スキルを持っているが、完全にランダムで、能力的に異世界人よりも効果が弱いらしい。その辺も、異世界人が嫌われる原因になっている。

「鼠使いは、北の塔にいます。主任のメイドのアイと同じ組織です」

「やっぱり彼女は、反異世界人的な組織の所属ですか」

「この世代のリーダーが彼女」

「私は、よく無事でしたね・・・」

「主任、無事ではないですよ。あの女、色々と主任の食事に薬物を混ぜてる」

「それは知っています。解毒剤は食膳に必ず飲んでいます」

「部屋の周りに、色々と魔方陣を仕掛けて洗脳しようとしている」

「それに関しては、若干効果の薄いのは残してあります」

「なぜ?」

「一応、相手の油断を誘う為です」

「流石です。私たち三姉妹は、主任のために働くことを誓います」

 よんがそういうと、ほかの二人もそれに習って頭を下げる。

「急にどうして?」

「私たちは、三姉妹ですが、母親は違います。父親同じです。異世界人と結ばれた、穢れた女はこの世界にいらないと、反異世界人組織に殺されました」

「父親も、同じ運命をたどったと聞いています」

「人の身である時は、私も洗脳されていました」

「猫になって、それが解けました。人として、あのまま親の敵の下で働いていたと思うと、悔しいです」

「敵を討ちたいとは、言いません」

「忌まわしい呪縛を解いてくれた人の下で、働きたいです」

「猫にしたのは、十色だぞ」

「十色様は、精霊猫でも高位の存在であられます。その飼い主である主任に、忠誠を奉げたいのです」

「飼い主?」

 そう言いながら、十色を見る。そういえば、この猫抱いたことも無ければ、なでたことすらなかった気がする。

「にゃぁ、撫でたいなら、撫でてもいいにゃ」

「良いのか?」

「人の心はあっても今は猫。飼い猫と言うよりは、仲間だにゃ」

「そうか・・・」

「私は、猫世界を支配するにゃ。そのために、刈谷さんの力が必要にゃ。ほら、撫でるにゃ!」

 そう言って、近づいてくる。

「では、遠慮なく」

 ぽんぽんと、尻尾の付け根を軽く触る。

「それは、反則だにゃぁぁぁあ」

 どうやら、敏感な部分だったらしく、十色は混乱している。

「改めて、よろしく頼むよ」

「にゃあ」

 取りあえず、なんとなく仲間だった十色との関係がはっきりした。

 飼い主と言うのは抵抗があるが、保護者として見守ろう。

 この世界の事も少しだけ見えてきたので、次は何をするべきか、情報を集めて迷宮を走っているバギーを見ながら、考えるのだった。

 1週間で2話ぐらいのペースで更新予定です。



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