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インモラル アルセア-黄色い葵-

作者: ごんべ~

初投稿でよく判ってません、よろしくです。

アルセアはタチアオイの花の学術名だそうです。一般的に葵と言うと今はこのタチアオイを指します。

ウソ半分と思って読んでください、うそっちょの人です。

問題あるかもなので年齢もボカしてます。ご想像にお任せします。

驚くほど整った顔立ちの少女が玄関のドアの向こう側に居た。

だが誰もがその幼さを内包した美しい顔より先に大きなお腹に目を見張った。小鹿のように細い四肢と年相応のスレンダーな身体には似つかわしく無い、痛々しいほどに膨れ上がったお腹だったからだ。

葵「フフフ…しばらく一人にしてゴメンね、寂しかった?」美しい顔と美しい仕草でモデルのようなオーラを発しながら可愛らしくおどけてみせた。

「!!!???、!?!?」

葵「わっ!人って本当に目を白黒するんだね、可愛い!」と面白そうに笑った後、家に上がりこむなり膨れ上がったお腹で私の部屋の掃除を始めようとするのでとりあえず座らせて話を聞こうとした。

葵「聞きたいことは山ほどあると思うけど…まずは騙してゴメンね、ピルは途中で辞めてたの」

「なんで…と言うか、それもだけど相談も無しに…なんで…」

葵「うん、どうしようもなくキミの一部を身体に宿したくなったの、最初は産む気は無かったんだけどキミがお腹に居るって思うともう手放せなくなってて…」

葵「産むって言ったら絶対に許してくれないだろうからお腹が大きくなる前にしばらく距離を置いたの、相談したら許してくれた?」

絶句した男は言葉が上手く出てこずゆっくり首を横に振るだけだった。



「な、名前は…もう決まってるの?」

しばらくしてようやく状況を飲み込み始めた男が上擦った声で聴いた。

葵「うん、名前はヒマワリ、私と同じ色の花だしとってもいい名前なんだ…」

少女は母性に溢れた表情で嬉しそうに大きなお腹をさすりながら応えた。

「ん?アオイって赤とかピンクの花じゃないっけ?」

葵「フフ、そうだっけ?でも…もう決めたから」

「そ、そうだよ…タチアオイは普通は赤とかピンクの花だよ、ハハハ…」

どうして良いか判らず、当たり障りのない会話で場を繋ごうとして困り果てた乾いた愛想笑いが部屋に響く。


葵「この子の名前はお母さんと一緒に付けたんだよ、お母さんが私の名前を父の誕生花にしたようにお腹の子もお父さんの誕生日に、ちなんだ花から貰おうって」

「へ、へぇ~…ってことは葵のお父さんは六月生まれなんだね…そ、その…もう出産は近いの?」

葵「うん、8月16日が予定日だね夏休み中に産みたかったし」

「ひ、ひょっとすると僕と同じ誕生日になるかもね、僕が8月18日で夏だから向日葵ひまわりか…ハハハ…」

改めて”お腹の子の父親は貴方ですよ”と言う無言の圧力を感じずには居られず、少女の誘導的な会話の術中にハマっていることを痛感させられた


少女の一挙手一投足が男に緊張を走らせたのを見て、少女はその状況を楽しんでいた。

スッと立ち上がるとビクッと猫のように怯えて小さくなる男の頭を少女はお腹ほどではないが少し大きくなった胸に抱きよせて頭を撫でながら囁いた

葵「何をそんなに怯えてるの?私が怖い?ん?」

男は少女の変化に戸惑っていた…匂いも以前の少女の匂いではなく妊婦の甘く優しい匂いが混ざっていたし何より彼女の行動も以前にも増して自信と余裕でみなぎっていた。


彼女はこの圧倒的に有利な立場を利用して以前から気になっていた男を困らせる質問を投げかけてみたくなった。

もっと怯えて困惑する男を抱きしめて安堵させてあげたいと言う相反するサディストにも似た感情が沸いてきたのだ。

男の耳にキスをしながら唇を当てて小声で言葉を発した。

葵「(ねぇ…私の名前がキキョウじゃなくて良かったと思ってたんでしょ?)」

それを聞いた途端、男が完全に硬直したのを少女は全身で感じて心の底から歓喜し、男の顔をもっと強く抱きしめた。


突然突拍子もないことを聞かれて混乱したが男はスグに合点がいった、葵の母は葵がまだお腹の中に居た頃、子供の名前には父親の誕生花に因んだ名前にしたいと話していたのだ。

自分の誕生日である8/18の花はトルコキキョウ、もし自分の子であれば桔梗になると確信していた。

しかし目の前の少女と始めて出会った時に名前を聞いて少し落胆したことをこの少女は知っていたのだ。

葵「お母さんがね…向日葵ひまわりって名前を聞いた時、”ごめんね”って言ったのよ…”おめでとう”じゃなくてね…」

男の顔を胸の中で抱きしめながら深呼吸したあと、男の耳を小さな舌でネブリながらヒソヒソと忍び声で囁いた

葵「(ワタシもお腹の子も黄色い葵なんだよ…)」




…15年前

私はまだ学生で葵の母は一人目を出産して婚約を破棄して実家に帰ってきたばかりの二十歳そこそこの女だった

名前は智子、笑顔が可愛いくとにかく性格の良い美人だったが男運には見放されていて二人のヒモを渡り歩いた後、結婚直前まで行った男は裏では詐欺で生計を立てていた男で結婚直前に逮捕され破談して実家に戻ってきたという話だった

そのタイミングで私は智子と出会ったが、彼女も私も結婚までは考えていない純粋に恋を楽しむ関係だった。

その彼女が経済的な理由や諸々の理由で私との交際を続けながら他の男と結婚したことはお互い大して触れる事は無かった。むしろ不倫というスパイスが気分を盛り上げる程度にしか認識していなかった。

お互い、恋ではあるが愛では無い…と言う関係のつもりだった。


その後、智子の妊娠と私の大学入試やらが重なり大学進学後は県外に出たことも手伝い、しばらく疎遠になっていたが数年後に地元で就職してからは再び定期的な繋がりはあった。

…が以前までの関係とは違っていた、身体の関係が皆無という訳ではないがほとんど無いに等しい関係だったし、むしろ智子の娘の姉妹を預かる子守の役目がメインになっていた。

表向きは私は智子の甥で親類ということで姉妹を預かっていることになっていた。

智子の娘の姉妹の名前は姉がカオリ、妹がアオイ

カオリは智子によく似て笑顔が愛らしい少女で元気なお転婆娘だったが幼い頃に良く懐いた反動だろうか、思春期が近づくにつれ徐々に距離を置いていた。

アオイの方は対照的で長い艶髪をなびかせる、お淑やかで静かな美少女で当時から何とも言えない色香を纏っていた。

幼い頃から男の欲望を知り尽くしたかのような行動をよく取り、銭湯に連れて行った時は怪しい行動を取る男の湯船の前にワザと座り、気付かぬフリをしながら股を開いて誘惑して彼女の裸体を盗み見ようとする滑稽な男の無様な姿を見て楽しんでいたのを見たときは二度と男湯に連れて入ってはいけない子だと実感した。

カオリが進級して距離を置き始めたのを機にアオイは私の家によく1人で遊びに来るようになっていて家事をしてくれることが多かったが、私がアオイを女として見ることは無かった。


そんな疑似的な親子関係が崩れたのは私の母が亡くなった時だった。

通夜の夜、親類に涙を見せるのを嫌った私は翌日の告別式の朝に出席する段取りで棺に入れる写真や、忘れ物を取りに一旦家に帰った日だった。

その日偶然何も知らないアオイが私の家にやってきたが、一度出た涙はもう既に我慢できる段階には無くアオイの膝と胸元で号泣していた。

彼女の服がダメになるくらいの涙を流して泣き疲れて眠ってしまった時に彼女は着替えが無いからと言いながら裸で私を抱きしめて慰めてくれた。

彼女の慰めの言葉からは徐々に敬語が薄れ、私を大人とは見なくなっていったのを肌で感じた。

葵「私の前だけでは子供で良いんだよ…がんばる必要は無いんだよ…私にはちゃんと甘えて、ゆっくり眠ってね…」

安堵と疲労の中で聞く彼女の癒しの誘惑は私をダメ男にするには十分すぎるほど魅力的だった。

今にして思えば、彼女と私を隔てる大人と子供の精神的な壁など無いという事を彼女はこの件で知ってしまったのだろう。


彼女の中で生まれた母性本能は今まで以上に異様なまでの色気を纏い、すれ違うだけで少女愛好の趣味の無い男までも振り向かせる独特の色香や魔力を秘めるようになっていた。

そんな少女と同衾を許してしまってから身体の関係が始まるのは至極普通の話でもあった。

葵は「痛くて臭い」との理由でとにかくコンドームを嫌ったので日常生活に支障が出るほどの生理不順と重い生理痛と言う理由で処方された避妊用ピルを服用させていた。

しかしコレは彼女の作戦であったことに気付かされたのは全てが手遅れになってからであった。

ピルを服用したのは避妊の為ではなく妊娠時期をある程度コントロールするための方便に過ぎず、中で果てるのを習慣化させる罠でもあった。

葵との恋人関係が1年を過ぎようとした頃から次の三年間の受験準備と言うことで葵は私との距離を置いたのを見て、私との関係を清算し年相応の彼氏を見つけたのだろうと勝手に思い込んでいた矢先に突然大きなお腹の彼女が現れたのだった…




葵「(ワタシもお腹の子も黄色い葵なんだよ…)」

嫌な予感がして思わず甘えてしまいそうな彼女の甘い匂いのする胸元から無理やり自分を引き剥がした。

「黄色い…葵?」不安とアッケにとられた情けない表情で聞く

葵「フフフ…その顔可愛いね、アオイは色によって誕生花の日が違うのよ、一般的には6月の花だけどね…知らなかった?スマホ使う?」

必死で否定の可能性を求めてスマホを触るが肯定される予感しかせず、スマホを触る手が震えて抗おうとしていた。

葵「やっぱりダメ」鮮やかにスマホを取り上げた

葵「ずっと我慢してたんだから私が満足したら教えてあげる…ね、キスしよ」

「その…あの…いや、何というか…良いような関係なの…か?」

今更自分でも呆れるほどに間の抜けた質問しか出来ないほどに追い詰められていた

葵「表向きには全然無関係の他人だよ?少し待てば正式に結婚も出来るんだから何の問題もないでしょ?それともダメな何かがあるの?キミの口から言ってみてよ…何がダメなの?ん?」

もはや八方塞りで口に出しにくい言葉を濁すにはキスをして受け入れてもらって誤魔化すしか方法が無くなり無理矢理キスをした。

葵「んむっ!ん~…そんな気の無いキスじゃダメ、誤魔化さずにちゃんと言ってよ、私はキミの何?ホラ」と私の頬を抓りながらニシシとイタズラっぽく笑った。


葵「幸せにしてあげるからね…”お父さん”」

私の拘束を解いた細い指で大きなお腹をさすりながら嬉しそうに話す彼女は逆光に照らされて美しい髪の毛を透けさせてまるで聖母のように見えた。

”お父さん”の言葉はどちらの意味で言ったのか私は少しだけ考えてみたが考えが堂々巡りに陥り、降参しながら甘い匂いのする胸に顔を埋めた。

甘える私を嬉しそうに文句を言いながら受け入れてくれる彼女に私は一生頭が下がらないのだろう。

目を閉じながら「娘って漢字は良い女なんだよな…」と自分でもよく判らないことを唱えながら考えるのを辞めた。

最終的な判断は読んだ人のご想像にお任せします。そんな投げっぱなしの人が私です。

誕生日の誕生花がいくつもあると言うのはマジで最近になって知りました。昔、花屋で聞いた時は一種類しか教えてくれなかったです。

そうです、花屋が全部悪いのです。お花屋さんの陰謀だったのです。ごめんなさい、こんな大人です。


ちなみにタチアオイの花言葉は「大望」「野心」「豊かな実り」「気高く威厳に満ちた美」全部の言葉が何となく当てはまってると言う…

そしてひまわりの花言葉は「私はあなただけを見つめる」「愛慕」「崇拝」

向日葵と葵は最悪の組み合わせっぽい予感…ナニコレ(;´Д`)

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