祭り
今日はサミットの日。
一時期呼び名が変わっていたが、いつの間にか元に戻ってた。
島の利用を戻したからかなぁ?
「今回の議題だが、福田君の神社での神事、つまりはお祭りについて、だ」
「ん? 待て待て。何で祭り? 神事って言うなら拝むとかでも良いじゃないか。
今日に限って絶対に参加しろって言うから変だと思ったんだ」
「福田君。祭りは大事な神事だぞ?」
「どこが?」
俺の中では、屋台が出るのと賽銭をしに行くくらいなものなんだが。
「祭りをする事でのメリットは沢山ある」
「例えば?」
「知名度が上がる。賽銭が増える。周囲の住民との友好度が上がる。税収が増える。まだまだあるぞ」
「知名度が上がるとか賽銭が増えるってのは判るけど、他のが判らないな」
「祭りをする事で、道中に屋台が出るのだ。これは主に周囲の住民が行っている。
普段は農民の者も、その日は自分の家の前に屋台を出すのだ。自分の家の前なら、祭り限定だが許可が要らないからな。
屋台を出さない者は、家の前を使用する権限を他の者に売る。
これによって住人は儲かるし、屋台を出したい者も出す場所が出来て助かる。
こういう状況から、祭りをする事で住民との友好度が上がるのだ。
ついでに、それらで稼いでくれれば税収も上がる、という寸法だ」
長々と話してくれたなぁ。どうやら周辺住民からもやらないかと言われてたみたいだね。
まあ理解出来た。
つまりは色々メリットがあるから祭りをしようって事か。
「それで?」
「やるにあたって、福田君に許可をもらおうと」
「そういう事か。良いよ別に。俺は参加しなくても良いだろ?」
「参加してくれた方がありがたいが、まぁどっちでも良い。祭りをする事が大事だからな」
うわっ、本末転倒な事を言ってる。
俺の神社で祭りをするのに、俺が出なくても良いなんて。ありがたいけど。
普通なら強制参加なんだろうに。
あっ、そうか。強制参加って事にしたら、祭りの企画自体がポシャってしまう可能性もあるもんな。
「ま、気が向いたら出席するよ」
「そうしてくれ。では祭りの内容について決めよう。
俺としてはホニャペレが良いと思う」
「待て待て。ここはサルウサキジブタじゃろ?」
「いえいえ、スルットフンデポイでしょう」
何を言ってるのだろう?
ちょっと楽しそうな名前が出てきているが、それ何?
「ホニャペレって何?」
「福田君は知らないか。グランザム伝統の祭りだよ」
「どんなの?」
「頭に草履をつけて、足に帽子を履いて、逆立ちしながら踊るモノだよ」
意味がわからん!!
そんな祭りが伝統?! 最初に考えたやつの名前を教えろ!
三途の川まで行って、名簿で調べて文句を言いに行ってやる!
「……サルウサキジブタってのは?」
「これはロッツギルでの有名な祭りじゃな。猿とウサギと雉と豚の格好をするのじゃ」
「こっちはまともそうだな」
「その4チームに分かれて、武器魔法無しのガチンコバトルロワイヤルじゃ」
動物のコスプレで可愛いかと思わしておいて殺伐!
これ考えたやつも調べよう。苦情対象だ。
「……スルットフンデポイは?」
「セキハイムでの祭りだよ。まぁ、うちも伝統と言えるかな?」
「……内容は?」
「そんなに警戒しなくてもホニャペレやサルウサキジブタみたいな奇妙な祭りじゃないよ」
「「失礼な! 伝統的な祭りだぞ!」」
「まぁまぁ、落ち着いて」
ふむ、やはり俺以外にも奇妙と思う人は居るか。
良かった。俺だけが変なのかと思ったぜ。
「スルットフンデポイは、石畳の上に油を撒いて、その上に立って『あっち向いてホイ』をするだけさ。
首を動かした瞬間にバランスを崩す事が多いから、面白いよ」
「意味不明! そしてめっちゃ危険!」
どう考えても怪我人が出るだろ!
日本のテレビなら炎上する事案だわ!
面白く無いわ! 心配するわ!
これの開発者も調べて苦情だ。
「ノートルダムの伝統的な祭りはな……」
「あっ、もう結構。お腹一杯です」
「聞いてくれよ!」
「聞きません! 普通の祭りをします! はい決定! 使徒命令です!!」
「「「「「え~?」」」」」
「うるさい! 普通が一番!」
「普通って何をするんじゃ?」
「うっ! えっとえっと……あっそうだ。富くじにしよう」
「富くじ?」
「あぁ。神社に来た人に一枚だけくじを渡す。
で、最後の日に抽選して、1等~4等に賞品や賞金を渡すんだ」
「ふむ。運を操る福田君らしい祭りかもしれんのう」
「確かに。ではそれに決定だな」
確か江戸時代とかはこんな感じだったと思う。
俺のまつりは普通になったぜ。一安心だ。
「じゃあ、それでよろしく」
「ん? 福田君どこへ行くのだ?」
「もう俺が居なくても良いだろ? 用事が出来たのでちょっと出掛けてくる」
用事があるんだよ。
発案者探しっていう用事がね。
これで一旦終了です。
またネタが出来たら、書こうと思います。




