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ザラキとロッツギル

はい、やってきましたロッツギル。

今更思ったんだけど、神様の権限で信仰とか貰ったけどさ、自由に転移出来る能力が欲しかったよ。

結局、船か馬車移動なんだもん。

あっ、ウソウソ! 馬車移動最高!

だから、銀星号とショスコムよ、悲しそうな目で見ないでくれ!!


到着した場所は、ザラキが近いロッツギルの東側。

こんな所にまで神社を建てたのか。爺は何を考えてるのだろう?


国選の神主(?)さんが居るので、話を聞いてみる。


「これはこれは! ようこそ福田様!」

「こんにちは。ザラキ関連のお祈りが多かったので、来てみました。

 何か事情をご存知ですか?」

「実の所、直接的な害は無いのです……」

「害が無い? どういう事ですか?」

「言葉は悪いですが、判りやすく言えば『ウザい』んです」

「ウザい?!」

「例えばですね、農業です。ジャガイモを植える農家に対して、

 『まだジャガイモなの? サツマイモは良いよ? しかもザラキで品種改良されてるからね!』

 と話しかけてくるのです」

「それくらい、よくありそうな話ですよね?」

「それでサツマイモを植えたとしましょう。

 しかし土地柄か上手く育たなかったりするんです。でも賠償等はしてくれません」

「は、はぁ……」

「そういう事があるので無視してると、毎日のように話しかけてくるのですよ」


それは確かにウザい。

責任無く言ってくるのか。ネットのSNSみたいだな。匿名じゃないけどさ。

しかし、1つ疑問があるな。


「ちょっと待って下さい。国が違いますよね? 国境を超えてくるんですか?」

「この辺りの国境は農家ばかりなので。国境が畑の中にあったりするんですよ。

 農業用の小さい川が国境の所もあります」

「それは何故?」

「昔は戦争であっちの土地だった時もありまして。行ったり来たりしてたのです」

「柵を作ったりして通行を出来ないようにはしないんですか?」

「それをしてしまうと、用水路の水はどちらの物かといった問題が起きるので……。

 国も曖昧にしていますね」


確かに。

はっきりさせた場合に、用水路の水源がザラキだったら大変だ。

止められても文句をいう事が出来なくなる。

別で用水路を作ったりする必要があるけど、柵作りも込みで整備にお金がかかる。

それなら双方で利用した方がお金がかからなくて済むか。

その弊害で、今回の問題が起きてるんだけどさ。


「つまりは行き来は自由なんですね?」

「まぁ、そういう事になります。

 ただ許されているのはこの付近までですね。

 この先には通られたと思いますが、砦がありまして検問をしています」

「え~と。カンダさん、砦があった?」

「ありましたよ。馬車を見ただけで通してくれましたけど」


砦、あったのか。

この辺は俺の馬車の欠点だな。

そういうのがあっても、馬車の中の部屋に居たら気づかないわ。

カンダさんは御者をしてたので知ってたようだけど。


そうそう、俺の馬車には家紋のような物がペイントされた。

家紋は俺に相談も無く決まってたんだよなぁ。

丸の中に上皿天秤が描かれていて、片方に傾いてるんだよね。

だから一見すると商人の紋章に見える。

デザインしたのはナグラさん。

理由を聞くと、「常に運が福田さんに傾いているから」って事だそうだ。

この家紋、神社にも使われている。

と言うか、俺に関係する所にはどこでも付いているらしい。

そんなに広めるなら、一言相談して欲しかった……。

まぁ、俺にはセンスが無いので、相談されたらいつまでも決まらなかったとは思うけど。


とにかく、各国共通で、この家紋の入った馬車はどこでも通れる事になっているそうだ。

服につければ、どこでも入る事が出来るらしい。

だからと言って、好き勝手にする気はないけど。

ちなみに、勝手にこの家紋を使った場合、問答無用で死罪なんだってさ! 怖いね!


おっと、話が逸れた。

なるほどね。国境に柵が作れないので、主要道路に検問を作ってるのか。

密入国しようと思えば、自由に出来そうだな。

砦を回避して山越えでもすれば、引っかからずにロッツギル内に入れそうだ。


「砦の無い所はどうなってるのですか?」

「兵士が巡回しています。犬を連れているので不審な者は捕まえるそうです」


この世界だと、それくらいが限界だろうね。

地球だと、機械で警戒してるだろうな。仕組みは知らないけどさ。赤外線?


「えっと、それで結論なんですけど……。

 ザラキが『ウザい』って事は判りました。どんな解決を望まれているのでしょうか?」

「実害がある訳では無いので、国は何もしてくれません。

 先程話した例にしても、個人が勝手に作物を替えただけなので……。

 しかし、ウザさが限界なのです! どうにかしていただけないでしょうか!」


こりゃ難しい問題なぁ。

うん? もしかしてこれを解決させようと考えてここに神社を作ったのか?!

あの爺の事だ。ありそうだな。後で問い詰めよう。

それにしても、こんなのどうやって解決させれば良いんだ?

次話も来週末に投稿予定です。

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