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魔法と魔法学と科学

「そして会議は盛り上がり、『魔法学』と『科学』が生まれました」

「その違いは?」

「そうですね……はい、判る人は居ますか?」

「「「はーい!!」」」


うおっ! 全員の手が挙がってるじゃないか。

初等部の授業内容で皆が知ってる事。それを知らない大人の俺。

……異世界人って言っても理解されないから…………使徒だから!って事にしておこう。

外界の事には詳しくないんだよ、うん、そうなんだ。


そんな事を考えてたら、一人の子が指名された。


「『科学』は物事の事象を調べる学問で、『魔法学』は魔法を科学で検証する学問です!」

「その通りです。よく出来ました」


おいおい、すげーな。

小学生くらいの子が「事象」とか「学問」とか「検証」とか言ってる。

しかもそれを理解しているっぽい。

……あ~そういえば、この学校はノートルダムでもトップレベルだったわ。

だからハズキ君を入学させたんだった。

今は引退しているけどホウズキさんも教員をしてたくらいだもんな。


「はい、この2つが生まれた事により、『魔法』も飛躍的に進歩しました。

 その際に何が出来たか判りますか?」

「「「「はーい」」」」

「では君」

「魔法陣です!」

「正解です」


へ~、そうやって出来たのか。

魔法陣の説明は前にホウズキさんに受けたな。


「こうして3つの分野が出来て、今日に至るという訳です」

「お~」


分かりやすい授業だ。

思わず感心してしまい声が出てしまった。


考えてみれば……当たり前だな。

よくラノベには、魔法があるから科学が発展してないってのがあるけど。

そんな訳がない。どうやったら便利なモノが作れるか、工夫するのが人間だ。

石器時代だって、棍棒から剣や槍に進化していった。効率を求めるからね。


魔法で水を作れるとなっても、全員が可能じゃないだろ。

それに畑に撒くとなれば、魔法で作っただけじゃ少なすぎる。

となるとやはり井戸が必要。

井戸を作れば、汲む方法が必要。

最初は紐をつけた桶を放り込んで汲み上げる。

そこから滑車が使われるようになり、もっと楽な方法は無いかと考える。

そうなれば、誰もが閃くであろう、魔法との融合。つまり魔法道具。

地球でいうところのポンプを作れば良い。

今はそれが発展して水道設備まで完成している。

それが当たり前だよなぁ。


ラノベの主人公に都合の良い魔法道具ばかり開発されていて、ポンプのような物が無い訳が無い。



おっと考え込んでたら、話は次の魔法会議になってるわ。

ちゃんと聞いてなきゃ。

確か、魔法を戦争に使う事に対する会議だったな。


「第二次魔法会議は紛糾しました。何故か判りますか?」

「「「「は~い!!」」」」

「戦争になった時に、この魔法は使うなって決めてても意味無いからです!」

「ほぼ正解です。福田さん、判りますか?」

「えっ?! 俺?! えっと……協定で決めていても使う者が出てくるからって意味ですか?

 えっと例えば、知り合いが今にも襲われそうだったら、咄嗟に使うかもしれません」

「正解です。

 個人が知っていれば、それはもう防ぎようが無いのです。

 そこで生まれたのが、『禁忌魔法』です。個人が知らなければ使いようが無いので。

 当時禁忌魔法を使える者は戦争に出てはいけない、と各国で決められました。

 ただし居城を攻められた場合はその限りではありません。

 なので国を落とす事は、なかなか難しかったようです」


ま、多大な被害を受けてまで相手の王城まで攻めようとは思わないわな。

領土拡大くらいが妥当だろう。

逆に言えば、この禁忌魔法があったから小国のノートルダムは生き残ってるとも言えるね。


「そして何十年も経つと、禁忌魔法は各国から忘れられるようになりました」

「えっ? 普通は後継者とか作るんじゃないですか?」

「その通りです。その者を選別する為に各国は王立の学校を設立しました」


納得! 優秀な子を集めて勉強させて、禁忌魔法を使える子を探し出すもしくは育てるんだな。


「しかし、なかなかそれでも素質のある子は居ませんでした。

 それよりも文官に向く子や武官に向く子が多く育った為、そちらに力を入れるようになりました。

 そうする内に、禁忌魔法を使える人が無くなっていき、最後には居なくなってしまったのです」

「文献等は無かったのですか?」

「そういう物は問題ある人物に渡ると危険なので、中立国であるこのノートルダムが回収しました。

 現在までノートルダムに禁忌魔法があるのは、その為です」


そういう事か~。

うわ~、すげぇ勉強になった!


魔法があるからか科学が発展しない、なんてのは幻想なのね。

ラノベ自体創作物だから当たり前か。


「それにしても福田さん」

「はい?」

「知らないフリをしての質問、実に的確でした。

 皆さんにも良い復習になったでしょう。ありがとうございます」

「えっ、いや~、そ、それほどでもありませんよ…………」


ヒヨの呆れた視線は無視しよう。そうしよう。

少しかたい話でした。説明回と言うのかな?

次はふざけた話になると思います。

お読み頂きありがとうございます。

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